解散と問責と国民政党の責務
8月21日、民主党は衆参合同の選挙対策本部を立ち上げ、初めての役員会を開いた。
これは、勿論、総選挙や来年の参議院議員選挙への準備を加速するためなのだけれど、"近いうち"に解散で自民と合意し、10月解散と言われている割には、民主の選挙態勢は整っていない。というのも、衆院選の小選挙区で候補者がいない、いわゆる「空白区」が71にも上っているから。
71といえば、全国300小選挙区のうちの4分の1近い数。それだけの選挙区に候補者がいない。役員会では、全選挙区に候補者を擁立することや、新人候補は女性の擁立を最大限念頭に置いて努力すること、そして、他党との選挙協力も積極的に推進する方針などを確認し、候補者の擁立を急ぐとしているけれど、10月解散であれば、もう1~2ヶ月しかない。そんな短い期間で71人もの候補者を擁立できるのか。
輿石幹事長は役員会の挨拶で「在任期間も衆・参で1年。遅きに失している感じがしないでもないが、全員で協力しあって次の衆・参の選挙を勝ち抜く、ただ一点に集中していただきたい」と述べているけれど、1年で遅きに失しているのなら、1、2ヶ月ではどうにもならない。民主党の役員会では、肝心の空白区の現状について誰も言及しなかったという。
71の空白区のうち、民主党を離党した議員が立候補を予定しているのは39選挙区あって、うち29人が「国民の生活が第一」に所属している。
更に、小沢氏は、20日の記者会見で、「政権交代時の約束をほごにし、増税に走ることを是とした人たちだ」と、次期衆院選で民主党岩手1区の階猛氏と3区の黄川田徹氏に対して、対立候補を擁立すると発表しているのだけれど、民主党執行部が消費増税の造反議員に対する刺客候補として正式決定できたのは、宮城2区の今野東参院議員だけ。早くも不戦敗の気配が漂う。
8月21日、一川保夫参院幹事長は記者会見で「ばんばん手を上げるような状況ではない」と新人候補の擁立が難しい現状を認めていて、民主の都連幹部からは、「民主党から立候補するのは自殺行為だ」との声も上がるほどだという。
だけど、国民は"近いうち"の解散を望んでいる。時事通信が実施した8月の世論調査によると、衆院解散・総選挙の時期については、5割強が「年内」を求めているし、同じく読売新聞が行った8月の世論調査でも、今国会の会期中が25%、秋の臨時国会が28%と合せて53%が年内の解散を求めている。
そんな国民の声とは裏腹に民主党は、解散の引き伸ばしを図っている。8月21日、民主党の樽床幹事長代行と国民新党の下地幹事長は国会内で会談し、解散総選挙は来年3月以降に実施すべきだとの認識で一致したと報道されているけれど、来年3月以降なんて、任期満了の半年前、殆ど任期満了まで辞めないと言っているようなもの。
まぁ、先頃の竹島・尖閣問題を鑑みて、解散はしばらく先送りするという理屈もないわけじゃない。新党大地の鈴木宗男氏は、自身のブログで、「特に今、竹島、尖閣と国家主権に係わる問題が起きた以上、政治空白を作るべきでない。国益の観点から与野党結束してこの難局に対処するのが国民から選ばれた国会議員の責務である。本筋を間違わない政治をして欲しいものだ。」と述べている。
であるなら、それこそ速やかに国会で審議すべき。今回の尖閣上陸事件で、海上保安庁法がクローズアップされているけれど、海上保安庁法の改正案が今国会に提出されているから、その法案可決に力を注ぐというのなら、まだ分かる。
国会では、重大事案が起こった時には、衆参の予算委員会で集中審議を行う。これは、外交委員会や外交防衛委員会といった常任委員会では、総理の出席を求められず、また関連閣僚以外の大臣を呼ぶのも難しいという事情から、広く国民に関わる重要案件は、総理や要求大臣が出席して、TV中継もある予算委員会で行なう慣例がある。
自民党は、先頃の竹島・尖閣問題について、衆参両院での予算委員会を週内に開くよう要求しているのだけれど、民主党はこれに難色を示している。
自民党の石原幹事長は記者会見で、「自分たちのボロが表に出るのを恐れてか、応じない。与党としての責任の欠片もない」と厳しく批判しているけれど、当然だろう。国防安保といった広く国民の生活に影響する事案について、国会で議論せずにどうやって国民の理解を求めるのか。
自民の脇雅史参院国対委員長は、「予算委の開催要求をしているが、何ら返事がない。民主党の対応次第では問責提出も視野に入ってくる」と述べていて、衆参予算委員会の開催に民主党が応じない場合、月内にも野田首相への問責決議案を参院に提出する考えを示している。
問責が可決すれば、参院での審議はストップするから、海上保安庁法の改正案はもとより、その他重要法案も軒並みストップする。民主党が本当に国民のことを考えているのであれば、速やかに予算委員会を開いて、集中審議すべきだし、先の消費増税についても国民に信を問う必要がある。
民主党は国民政党であるか否か。それが問われている。
←人気ブログランキングへ
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
真っ赤な朝日と同じように言い方に聞こえる.
嘘付は民主主義の原理に反するのだから,
元より国民政党たる基本条件を満たしていない.
民主党に「何か」を期待するのは本質から目を
逸らせる欺瞞だと思う.
昔から主張してきたように, 日本の問題の本質は自民党.
自民党が訳も分からずに伝統から乖離し,
河野一家のようなおかしな人達を有難がった事が
日本の衰退を(もし起きているとすれば)もたらしたのだ.
良識あるもの達が言うように, 自民党は自ら破れてきたのだ.
だから, 「自民党は国民政党であるか否か。」
それが問われているのだと思う.
なぜなら, 最近の自民党総裁は国民と正対していないからだ.
ス内パー
いえ、別に他意はありませんよ______
135 :Trader@Live! :sage :2012/08/21(火) 20:41:33.11 (p)ID:QQEZdZGQ(7)
冷戦の終結がいつかとか、
中国の台頭がいつかとか、
踏み越えちゃいけないラインとか、
自民党内にいたサヨクがいつどうなったかとか、
技術の発達による半島の地政学的価値の変化とか、
無視して今日もジミンモー。