8月7日、「国民の生活が第一」や共産党など自公以外の野党6党(みんな、共産、社民、「国民の生活が第一」、新党きづな、新党日本)が、内閣不信任決議案を衆院に、野田首相に対する問責決議案を参院にそれぞれ提出した。
これを受けて自民党は、7日夜から幹部が集まり協議をしたのだけれど、「官邸から事態を打開すべく鋭意検討しているので、しばし待ってくれ」という話が来ているとのことから、8日の午前中までに野田首相から衆議院の解散を確約しなければ、独自の内閣不信任案と問責決議案を出すという方針を決めた。
さて、ここで、解散の確約有無と不信任の可決有無をそれぞれ場合分けしてみると、次の6通りが考えられる。
1.解散を確約して、不信任否決→増税法案成立この中で、増税法案が成立する条件は1と2で、3から5は廃案。そして、6は自民が法案に賛成した場合に可決する。
2.解散を確約しないで、不信任否決→増税法案成立
3.解散を確約しないで、不信任可決→解散
4.解散を確約しないで、不信任可決→総辞職
5.解散を確約しないで、不信任否決→問責可決→辞任
6.解散を確約しないで、不信任否決→問責否決→増税法案成立
(不信任と問責を出した野党6党の参院議席は全部で33なので、単独では増税法案を否決できない)
これら6パターンについて、自民、野田首相、民主、財務省視点で、星取表を作ってみると次のようになると思われる。
表にすると4者の利害得失が全く噛み合っていないことがよくわかる。敢えていえば、比較的"丸"が多いのは2ということになるのだけれど、解散を確約しないで、増税法案を通してしまったら、次は国債特例法案だ、来年度の予算編成だとなるのは目に見えている。実際に野田政権は2で押し通そうとして自民を激怒させた。だから2の目はもうないと見ていい。
また、同様に6についても、解散の確約がない状態で、自民が法案に賛成することはないから、これもない。
次に"丸"が多いのは1なのだけれど、例え野田首相に解散する気があったとしても、お膝元の民主党自身が猛反対している。輿石幹事長は会見で、「解散権は首相にしかないが、すぐに『じゃあ解散します』ということには多分ならない」と述べているし、輿石氏に近い党幹部は「法案は成立しなくていい。首相は代えればいい」という声や、中堅幹部が自民党幹部に「解散なんか絶対しないから。何なら野田首相を辞めさせる」と言ったそうだから、野田首相が解散で突っ張るのは相当難しい。それこそ、郵政解散のときの小泉元総理のように"殺されてもいい覚悟"が必要になる。尤も、野田首相は増税法案に"命を賭ける"と言っていたから、正に今、その言葉が試される時がやってきたとはいえる。
恐らく、野田首相にとって最悪なのは3のケースだろう。増税法案が廃案になる上に、民主党が大敗北する結末が待っている。何一つ得るものがない。だから、何が何でも、3の事態になるのは避ける筈。
8月7日、野田首相は国民新党の自見代表と会談し、野党が内閣不信任決議案を提出した場合、民主、国民新両党が協力して否決する方針を確認している。また、6日夕には枝野経済産業相、細野原発事故担当相、古川国家戦略担当相に、政府が取りまとめる2030年の電源構成に占める原発比率を「0%」にする可能性の検討を指示しているけれど、これも、不信任案の採決で党内の造反を抑えるために、鳩山氏や菅氏らに配慮したものではないかという観測がある。
野田首相自身、7日夜、野党が提出した不信任案について「粛々と否決するということです」と記者団に答えている。
あとは、4か5のケースだけれど、今のところ不信任案は否決される公算が高いと見られているから、可能性としては5が一番高い。ただし5のケースでは増税法案は廃案となる。野田首相がそれを受け入れるのか。それが嫌なら、解散を確約して法案を通すしかない。たとえ党内がどれだけ反対しても、それしか手は残されていない。
民主の敵は民主党そのものだった。
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この記事へのコメント
日比野
政権運営不能の件については、ひとつ、ウルトラcがあるかも、とおもっているんです。
今回のエントリーで触れようかとも思ったのですが、自民が、不信任をだしたらエントリーしたいと思います。
ちび・むぎ・みみ・はな
ものが何もないことが明らかなのではないか.
「何とかするからちょっと待って」と言われて
ちょっと待ったのが大間違い.
自民党執行部の限りない甘さに呆れ果てると共に
クレージーキャッツと植木等の歌が頭を横切った.
opera
1.解散を確約して、不信任否決→増税法案成立→解散
2.解散を確約しないで、不信任否決→三党合意破棄→増税法案廃案
(1)問責可決→特例公債法案等一切の法案も成立不可→政権運営不能
(2)問責否決→ (事実上)同上 → 同上
2の(2)は、民主党は参議院では過半数を割っているものの、自公だけで過半数を持っているわけではないので、可能性としてはあり得ますが、結果はあまり変わらない気がします。
そして、2を選択した場合でも、最終的には解散か首相辞任しか無いのですが、解散には名分は無く、首相を交代しても、時間稼ぎにはなっても基本的状況はほとんど変化しないのではないでしょうか。
要するに、野田政権だけでなく民主党自体がすでに詰んでいるのですが、問題はマスゴミがそのことを正直に認めて正しく報道するかどうかでしょうね。でないと、当分gdgdするような気がします。