3党合意破棄と話し合い解散

 
フジテレビ番組「新報道2001」で7月26日に行った世論調査で、内閣支持率28%、不支持率68%との結果が出ている。

画像


まぁ、不支持率68%といっても、今年に入ってからの「新報道2001」の世論調査では、野田政権の不支持率は殆ど6割以上で推移していて、変わっていないのだけれど、民主党の政党支持率は4月半ばくらいまで10%台後半だったのが、それ以降は10%台前半になり、今回の調査では9.8%と6月21日調査以来の一桁パーセントにまで下落している。

次に、今年になってからの民自公3党の政党支持率推移グラフを記す。

画像


これをみると明らかなように、自民・公明の支持率は殆ど変化がなく、民主党の支持率だけ下落傾向にあることが見て取れる。マスコミはよく、民主は駄目だが自民も駄目という風に、さも既成政党全部が駄目なような報道をしているのだけれど、3党合意などで実質、民自公の連立状態になっているのに、民主の支持率だけが下落して、自公がそれに連動していない状況を見る限り、世論は、民主と自民・公明をちゃんと区別しているように見える。

自民は、増税法案の成立後の早期解散を求めているのだけれど、民主党は、「衆院選をしたら民主党は壊滅だ」とばかり、先送りを模索している。

民主党の岡田副首相は、7月に都内で自民の派閥会長と会談し「解散は来年の1月ではどうか」と打診したことが明らかになっている。それに対して自民は「遅すぎる。消費増税法案が成立した後、秋に解散するべきだ」と平行線に終わったのだけれど、遅くとも来年1月までには解散になることはほぼ確定したといっていいだろう。

ただ、解散が、秋になるにしても、来年1月になるにしても、今度の総選挙では第三極が一つのポイントになることは間違いない。先の山口知事選でも、「脱原発」を主張した飯田氏が次点となっているし、小沢氏の「国民の生活が第一」も2~3%の政党支持率がある。それに何より、一番の注目(期待)を集める「大阪維新の会」がある。

7月27日、民主党の石井一副代表は、ロイターのインタビューで、自民党が主張する増税法案成立後の早期解散は「自爆解散だ」として、「年明け早々の1月解散」の見通しを述べ、選挙後の各党勢力について「自民と民主とその他の政党が3分の1、3分の1、3分の1ではないか。…第1党は自民、第2党が民主、第3党以下が中間政党…自民・公明に、維新の会がくっついているとすると、この3党が与党を形成する可能性が一番高い」と述べている。

さて、その維新の会なのだけれど、8月1日、松井大阪府知事が記者会見で、「政党の形をつくらなければ戦いにならない。悔いなく戦うためにも政党と同じ扱いをしてもらえる態勢をつくりたい」と述べ、維新の会が現職国会議員を5人以上取り込んで、維新の会の政党化を図る方針を表明している。



維新の会が現職議員を取り込むことについては、「小沢造反戦略の奥を読む」のエントリーでその可能性について触れているから、筆者としては特に驚きもないのだけれど、やはり選挙が近いとなると、こうした現実的な動きが顕わになってくる。

ただ、維新の会に現職議員を送り込むのがどの政党になるのか。民主党の石井氏のいうように自公からなのか。それともその他の政党になのか。まぁ、常識的に言って、与党になるところとくっつくのが一番お得なことは間違いない。だから、現時点では、自公とくっつくのが一番可能性が高いだろうと思われる。既に、維新の会と公明は選挙協力することを確認している。

だけど、そうはいっても、実際、解散しないことには始まらない。

野田首相は、解散先延ばしのために、解散のハードルをどんどん上げている。7月9日の衆院予算委員会で、野田首相は、解散は特例公債法案の成立が前提になると答弁していたのだけれど、8月1日に連合の古賀伸明会長と会談したときには、日本再生戦略の実現に向けて、「試金石となるのが2013年度予算編成だ。衆院任期中における最後の予算編成なので、政治主導でやり抜いていく」と予算編成までやると一段階ハードルを上げている。

こういうのを見ていると、民主党相手に"話し合い解散"なんて成立しないのではないかと思えて仕方がない。そもそも"話し合い解散"は互いの信頼があって成り立つもの。一種の「契約」。その契約を履行しないのであれば契約そのものを破棄するしかない。

8月1日、自民党の小泉進次郎議員ら若手の衆院議員7人が、谷垣総裁と会い、参院で審議中の増税法案について、3党合意を破棄し、参院で否決すべきだとの「緊急声明」を提出している。小泉進次郎議員は、記者会見で、民主党内で法案採決を先延ばしする動きがあることを取り上げて、「政府・与党には3党合意と異なる態度が目立ち、合意の基盤は崩れた。…内閣不信任案は民主党内から乗る保証はなく、空振りもある。自民党が本気になった姿を見せないと到底解散に持ち込めない」と述べている。

また、自民党の伊吹氏は31日、ロイターのインタビューで、増税法案の成立には「まず話し合いをしなければならない…解散の問題や特例公債法案の問題などいろいろ話し合いが行われるのではないか」と述べている。

自民党若手議員の動きと伊吹氏のコメントを合わせて考えてみると、本当に増税法案を成立させたければ、「話し合い解散」をしろ、との自民からのメッセージではないかと思う。

民主党は、小沢氏に奪われた「国民の生活が第一」に代わる新しいキャッチコピーを公募しているのだけれど、ネットで飛び交う案は民主党を痛烈に揶揄するフレーズが並ぶ。

曰く、「トラストミー・アゲイン」、「もう一度だけ騙したい」、「一日一嘘」等々。

約束しても約束しても、次々反故にするのであれば、話し合いなんてやっても無駄。


Twitter
画像 ←人気ブログランキングへ

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    自民党でも小泉氏の様に戦いが何であるかを
    理解している議員は参議院での全面対決を
    主張するのに対して, なあなあでやってきた
    古参議員は話合いを主張する. 自民党でも
    はっきりと勢力が分かれてきている.
    2015年08月10日 15:24

この記事へのトラックバック