自民党新執行部人事にみえる意図

 
今日は簡単に…

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9月28日、自民党の安倍総裁は、新執行部人事を決め、総務会で了承された。

幹事長には石破茂氏、幹事長代行に菅義偉氏、幹事長代理に鴨下一郎元環境相、国体委員長に浜田靖一氏を据え、副総裁として、高村正彦元外相、総務会長に細田博之元幹事長、政調会長に甘利明元経済産業相を起用した。

記者会見で、安倍総裁が「政権を奪還するための強力な布陣だ。経験に裏打ちされた重厚な執行部を構成した」と強調するだけあって、要職に主要閣僚や党要職を歴任したベテランを配置している。

また単に、ベテランを並べただけではなくて、党内外の声やその受け皿をも考慮したバランス人事を行った印象を受ける。

たとえば、石破氏の幹事長起用は、総裁選で地方票300票のうち165票を獲得した石破氏の存在は、次の総裁選で挙党態勢をつくるために不可欠と判断したためと思われるのだけれど、石破氏は、総裁選を「脱派閥」を掲げて闘い、派閥領袖やベテラン議員から疎まれている面で不安を抱えている。事実、党内には「石破氏が幹事長でまとまれるのか」との声もあるという。そこで、 幹事長代行に、安倍総裁の側近で派閥長老らともパイプがある菅氏を起用することで、バランスを取ったように見える。

安倍総裁、石破幹事長は、総裁選で領土問題などで中国に対しても、強硬路線を訴えていたから、外交的にはその路線でいくのかと思いきや、副総裁に高村正彦氏を起用した。

高村氏は外相や防衛相を歴任し、中国の要人と個人的なパイプも持っていて、現在、日中友好議員連盟会長でもある。だから、その高村氏を副総裁に据えたということは、中国に対して、強硬一辺倒ではなくて、話し合いもやりますよというメッセージになる。だから、ここでもバランスを取った人事だといえる。

また、最大派閥の町村派からは細田氏を起用し、伊吹派の河村建夫選対局長、小泉進次郎青年局長を留任させるなど、派閥や若手に配慮をしている。

更に、安倍総裁は、「小泉氏が全国を回って吸収した若い人たちの意見も謙虚に聞きながら政策に生かしたい」とし、小泉進次郎青年局長ら若手議員と週1回のペースで意見交換する方針を示すと同時に、派閥のあり方を見直す考えも示している。

これは、「自民党は古くて守旧的だ」というイメージを払拭すると共に、党の発信力や政党支持率を高めるのが狙いとみられていて、次の衆院選に向けての党内外への配慮だといえる。

まぁ、党内への配慮という意味であえて言うならば、総裁選で、1回目の投票から支援してくれた麻生派(12人)、高村派(7人)と、決選投票で一致して支持に回った額賀派(28人)への配慮がまだといえばまだになるけれど、野党の身では、回せるポストにも限界はある。これは政権を取ってからどうするかを見ていくしかないだろう。

今回の自民党新執行部の人事は、筆者がみる限り、全体的にやはり党内外に配慮して、どこからも批難されないように気を配った人事のようにみえる。政権奪取までは、さぐりさぐりというか慎重に事を運ぶようにするのではないか。

マスコミは早速、新執行部を「お友達」人事だと批判しているようだけれど、これのどの辺が「お友達」になるのか、ちょっと理解できない。

安倍自民党は、静かに船出しようとしている。


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この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    > 小泉進次郎青年局長ら若手議員と週1回のペース
    > で意見交換する方針を示す

    ここら辺が面白いと思う.

    小泉進二郎は勢いはあるが, 親父譲りの新自由主義者.
    安倍氏が反TPPや反増税を進めるに当たって彼らの理解を
    得ることは非常に重要だ. なんせ, 勢いのあるものほど
    逆境を好むから賛TPPや賛増税になりがちだ.

    個人的には, 国対の浜田靖一が問題を起こす気がする.
    嘘付党と一緒になって田母神氏を不名誉退任を仕掛けた
    帳本人だ. 田母神氏らの保守層との和解の障害になる.

    後は石破氏がどの程度信頼できる人間なのかと言う点に
    かかるだろう. これからの対メディア戦争は半端ではない.

    写真: 今日はカツカレーにすべきだった.
    2015年08月10日 15:24

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