いろいろネタが尽きませんね。
10月28日、松下金融・郵政担当相の死去に伴う衆院鹿児島3区補選が投開票され、自民前職で公明推薦の宮路和明氏が当選した。
選挙は、各党が党幹部ら「大物」を選挙区に投入し、自民・公明が押す宮路氏と民主が公認並みに支援した野間氏との間で激しい戦いとなり、接戦の末の勝利だった。
宮地氏はこれまで、連続6回当選していたのだけれど、前回の衆院選で松下氏に破れ、今回返り咲いた形になるのだけれど、前回2009年の総選挙時と今回の補選を比較してみると次のとおり。
前回、宮地氏は、得票率で、松下氏に15ポイント近くつけられての敗北していたところ、今回は3.9ポイントの差をつけての勝利。まぁ、これだけみれば、20ポイント近く逆転しての勝利になるから、相当、自公に追い風が吹いているかのように見えるかもしれないけれど、得票数でみるとそう喜んでばかりもいられない。。
今回と前回の総得票数は、前回が18万9781票あったのに対して、今回は、14万4578票と、4万5000票ほど少ない。
出口調査の結果、宮路氏は自民支持層の73%、公明党支持層の77.8%の票を集め、松下元金融担当相の票の4分の1近くを取り込むとともに、敗れた国民新党の野間健氏を推薦した民主党支持層の21.3%、無党派層の32.7%を抑えた。
一方、野間氏は民主党支持層の75.4%、自民党支持層の22.5%を取り込み、無党派層の54.3%から得票している。両候補とも、自党支持層から75%程度、相手陣営から25%近くを取っているから、双方の組織票では互角。無党派層の取り込みで野間氏が宮路氏を20ポイント以上リードした。
民主と自民双方の組織票の母数にどれくらい差があるのか分からないから、確たることはいえないのだけれど、接戦になったということは、宮地氏は、無党派層の票で野間氏に追い上げられていた可能性がある。
城島財務相は補選について「大善戦だった」と指摘し、「無党派層の6割は与党候補に投票し、あと2日間あれば逆転できた」と述べているから、或いはそうなのかもしれない。
自民は自民で、当初「圧勝」だと楽観していたところが、この辛勝。安倍総裁は「選挙なのでいろいろある。投票箱が閉まるまで身を引き締めていかなければならないという教訓としたい」と記者会見で述べているけれど、応援演説で安倍総裁・石破幹事長、小泉進次郎青年局長をも投入しての結果だけにショックは決して小さくはないものと思われる。
次期総選挙では、国民新党以外にも、石原新党、維新の会など、保守層の票の奪い合いをするともみられる新党も割って入ってくる。それらを考えると、自民で単独過半数を取るなどど甘い考えは捨てたほうがいいように思う。今回の結果について、詳細な分析と対策が必要だろう。
一方、善戦したと、与党なのに野党のような発言をしている民主党は、もっと酷い。支持率は落ち込むばかり。そして、29日には、熊田篤嗣衆院議員と水野智彦衆院議員の2名が野田政権の消費税増税や原発政策に反対するとして離党届を提出した。両名は減税日本に参加すると見られている。
この2議員の離党にあたっては、民主党執行部が引き止めにあたったようなのだけれど、敢え無く失敗しているところをみると、執行部の求心力も相当落ちている。今後、任期が近づくにつれ離党の動きが活発化してくると予想されるし、野田首相が一度解散を宣言したら、どっと離党者が出てくるかもしれない。
今回の2名の離党で、与党の衆院過半数割れまであと6人。民主党としては、これ以上の離党者が出ることは何としてでも食い止めなくちゃいけないから、少しでも内閣支持率、政党支持率が持ち直すようにしないといけない。
そこへきて、前原国家戦略相の事務所費問題が浮上した。これは、前原国家戦略相の政治団体「まえはら誠司東京後援会」が2002年に秘書宅のマンションの一室を「主たる事務所」として、総務省に届け、2004年から2010年にかけて、事務所費と人件費に光熱水費、備品・消耗品費など、計1232万円を経常経費として申請していた問題。
勿論、この秘書氏のマンションの一室が本当に事務所として使われていれば、何も問題ないのだけれど、玄関には、政治団体の看板もない。しかも、「まえはら誠司東京後援会」の「主たる事務所」の筈なのに、収支報告書にある連絡先は、この秘書氏の一室ではなく、都市の前原氏の事務所の電話番号になっている。
前原氏の事務所によると、秘書氏宅に事務所を置いた理由は、東京に常駐事務所を構える余裕がないためで、連絡先を京都事務所としているのは、秘書は自宅で常勤しているわけではないためだということなのだけれど、どう言い繕おうと、事務所として使用した実績がないのであれば、それは事務所とするべきではなく、増してや、経常経費を上げるなどもっての外。
部屋には会議室など専用スペースはなく、常勤職員も雇っておらず、マンションの住人は「事務所として使われていない。事務機器などはなく、郵便物も届かない」と話しているというから、ほぼ確実にペーパー団体とみていいだろう。
元々、事務所費については、過去に、複数の国会議員の資金管理団体が、主たる事務所を家賃等がかからない議員会館においているにも関わらず、多額の事務所費を計上していることが発覚したことがあり、本来であれば政治活動費として詳細を報告すべき経費を事務所費として報告している政治家がいるのではないかと問題視された経緯がある。
そこで、政治家が代表を務めている「資金管理団体」に限定して、2008年分の政治資金収支報告書からは、「経常経費」についても1件5万円以上の支出については、明細報告と領収書の写し等の添付が義務づけられることになっている。
また、2009年分からは、「国会議員関係政治団体」に限定して、経常経費も政治活動費も、1件1万円超の支出については、報告が義務付けられ、更に、支出に関して、「登録政治資金監査人」による監査を受けなければならないようになっている。
前原国家戦略相は、今回の問題についての釈明会見で、この"事務所"で年1回、政治資金パーティーを行っているから、主たる事務所ということで、全く問題ない、と説明しているけれど、であれば、その明細報告と領収書の写しを提出しなくちゃいけない。少なくとも、2009年、2010年のものの提出は必須。
ところが、過去、前原氏の領収書には偽造疑惑があったりする。例えば、2005年6月に、ホテルニューオータニで、前原氏名義での宴席があり、「まえはら誠司東京後援会」宛で198万円の領収書を受け取っているのだけれど、印紙も貼られていない上に、当のニューオータニ側は当日そんな宴会はしていないという。
しかもその領収書は、どうみても市販のコクヨか何かの領収書で、一流ホテルが使うものとは思えない。まぁ、これは2005年のものだから、報告義務対象外だけれど、こんな杜撰さでは、2009年、2010年のものだって、どうだか怪しい。たとえ、前原氏が、その"事務所"の経常経費の領収書を提出したとしても、筆跡鑑定と領収書の原紙の経年劣化をチェックすれば、本物かどうか直ぐ分るのではないか。
まぁ、どこまで、臨時国会で追及して、どこまで追い込めるかは分からないけれど、法相辞任につづいて、前原氏ともなれば、ガタガタの野田内閣はさらにズタズタになる。
この記事へのコメント
sdi
票数だけから判断すると
「前回、自民に投票した有権者の大部分は今回も自民に投票した」
「前回、自民に投票しなかった有権者の大部分は今回も自民に投票しなかった」
ということになります。無党派層が民主党支持を止めても自民党支持に回っていない状況です。「自民党アレルギーは健在なり」というしかありません。救いは前回の参議院選挙全体の得票率が51:49で僅かに劣勢だったに比べるとやや優勢に転じてることでしょうが、とても楽観材料にはなりませんね。
今回の補選だけで判断するのは早計との誹りは免れないかもしれませんが、この有権者の動向が大して変化しないまま年内解散なんてしていいんですかね?といっても、来年には衆議院が任期切れになりますから総選挙実施はこれ以上先延ばしできません。またこのネタかといわれるかもしれませんが安倍総裁含め執行部は、自民党地方票がなぜあれほど石破現幹事長に集まったかその原因をもう一度噛みしめる必要があるんじゃないですかね。
日比野
>谷垣前総裁は確かに選挙に強かったのですが、その理由の一つが風頼みの選挙に依存せず、候補者を地元の地方支部が自主的に選定することにありましたが、それが間に合わなかったり、適切な候補者が見つからなかった、あるいは調整がつかず分裂選挙になってしまった場合には取り零しもしています
なるほど、重要なポイントですね。維新の会とは政策の違いが明確化できそうですけど、石原新党とは難しいかもしれないですね。尤も、石原慎太郎氏は、第3極連合を作ろうとしているわけですけど、ここらあたりは、ちょっと流動的で読みにくいです。
opera
鹿児島3区を見ていて思うことは、未だに小選挙区導入時、あるいは郵政解散時の保守分裂の影響が尾を引いているということです。かつて保守地盤が強かった所ほどその後遺症は深刻で、東北などは全体的にその典型かもしれません。
谷垣前総裁は確かに選挙に強かったのですが、その理由の一つが風頼みの選挙に依存せず、候補者を地元の地方支部が自主的に選定することにありましたが、それが間に合わなかったり、適切な候補者が見つからなかった、あるいは調整がつかず分裂選挙になってしまった場合には取り零しもしています。こうした場合、かなり早い段階から党中央の介入や調整が必要ですが、都市部ならまだしも、地方では小泉時代のような落下傘候補では長続きしませんし、現・前職優先ということもあって差し替えも困難でしょうから、難しいところでしょう。
いずれにせよ、選挙は近いのですから、有権者の選択権の確保という意味でも、自民党にはこの辺りの調整を急いで欲しいところです。これは、石波幹事長
八目山人
それに同じ日だし。
此れで問題にならないなんて、日本のテレビはどうかしてる。
ス内パー
まとめサイト廻ったところ
・地元では最初から接戦と報じられていた
・野間氏は松下金融相の秘書で地盤看板を引き継いでの弔い選挙だった
・宮地氏は小泉時代に大臣になるもスキャンダル(裏口入学の口利き)で辞任
・その他の言動と合わせて宮地氏は人気が低い(民主党向きの人材)
・両者とも政党による支援、応募演説を受ける
とのことで本来は野間氏に負ける要素がなかったとのこと。
そんな選挙にダブルスコアでの勝利を目指した自民党…おそらくバンドワゴン効果狙いのビックマウスだったのでしょうが。