嘘つき民主党が支払う「代償」

 
10月28日放送のフジテレビ「新報道2001」の世論調査で、また野田内閣と民主党の支持が下落した。

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1.嘘つきと認識され始めた野田首相

民主党支持率は、前回11.6%だったから3ポイント以上の下落して、8.2%ととうとう10%を切った。まぁ、自民の支持率も前回から4ポイント減っているけれど、それでも32.4%から28.2%と、30%台からの下落。30%からの4ポイントと12%からの4ポイントでは意味合いが違う。それに自民の支持は去年からずっと20%から30%をキープしていて、今回急に支持が落ちたというわけじゃない。

こちらのサイトでは、過去1年の報道2001の世論調査による内閣支持率と各党の支持率の推移をグラフにしているけれど、民主党の支持率下落もさることながら、内閣支持率の下落が酷いことがよく分かる。特に、内閣支持率は、前回の27.6%から今回の19.0%と8.6ポイントも落ちている。

では、内閣支持率の下落に関して、この一週間(18日調査と25日調査)にどんな出来事があったかというと、大きなものとしては、3党党首会談決裂と田中法相の辞任と石原知事の辞任の3つが挙げられると思うけれど、これがトリプルパンチで、支持率に効いた可能性は十分考えられる。

10月21日のエントリー「解散密約と内戦に突入する日本」で、今後、世論は「嘘つきは許してはいけない=政治は信頼である」と「党利党略で政治をするな=民主・自民どっちも悪い」の2つに分かれて対立していくのではないかといったけれど、早くも、「野田首相=嘘つき」という認識が広まっているように感じている。

10月26日、自民党の安倍総裁は、産経新聞のインタビューを受け、次のように述べている。
「野田佳彦首相との党首会談ではっきりわかったのは『首相が嘘をつく』ということが国民の前に明らかになったことなんです。残念ながらね。野田さんは谷垣さんに「予算編成をしない」と述べた。谷垣さんはそれを信じて賛成した。それを否定されれば、いったい人間として信じていいのか考えるのは当然のことです。私も政治家ですから、その相手の状況による変化は予測はしますけども、今回は予測を超えていたといってもいいですね。

前原さんは、「野田さんは真面目で誠実な人だから年内に解散する」と言った。年内に解散をしなければ、野田さんは不真面目で不誠実な人になる。前原さんは不誠実で不真面目な人の下で閣僚を務めることはできないということになるんじゃないでしょうか。

 もはや、首相がどんな政策を語ろうとも国民の耳には入っていきませんよ。役所も動かないし、各国と外交を展開しようにも「近いうちに辞めていくんだな」という人でしかない。

安倍総裁インタビュー「首相がうそつきだとわかったこと」より抜粋
と、はっきりと、野田首相はうそつきだと批判している。

また、高村副総裁も、10月24日、自民党本部で記者団に対し「民主党政権のうそつき体質こそほとんど病気だ」と述べている。これについては、産経の阿比留氏のブログで紹介されているけれど、次に一部引用する。
自民・高村副総裁と「嘘つき」の刻印を押された野田首相

[前略]

《田中法相がまさに体調不良、病気を理由に詰め腹を切らされたが、本当の理由は体調不良、病気でないことは国民のだれもが知っているわけだ。本当の理由をいわないでこうやって詰め腹を切らすという民主党政権の嘘つき体質こそほとんど病気だと言ってもいいのではないかと思う。

 田中さんが内閣にとって迷惑だから辞めろということ以上に、今の内閣は国民にとって迷惑だから、早く国民の信を問うてもらいたい。

 党首会談が「近いうち」についてより具体的な提案があるという鳴り物入りで行われたが、実際は何もなかったということだ。どうも野田首相は解散権というのは首相の大権であるから、具体的な時期を明示することは大権を持っている総理の沽券にかかわるというふうに思っているようにも受け取れるが、消費税を上げないと言って選挙に勝っておきながら消費税を上げた。国民による政治というものが失われているわけだから解散を年内にもすると、例えば年内にもするということを明示して、国民による政治に一歩でも近づく意向を示すことができるし、それからそれによって特例公債法案も通す環境整備もできる。それは国民のための政治ということに近づくことができる。

 そのことと総理の沽券とどっちが大切か。これは自明のことだと思う。百歩譲って総理の沽券というのはそんなに大切であるとしても、その解散の時期を示すことによって立たなくなる沽券と、消費税を上げないと言って上げる嘘、無駄を省けば16兆8千億円出ると言った嘘、あるいは谷垣総裁との間の党首会談で0増5減を切り離してでもやるといってやらなかった嘘。すでに嘘つきの3冠王になっているが、近いうち解散まで嘘ということになれば、嘘つきの4冠王ということになる。そういう汚名が定着することによる沽券が立たなくなることとどちらの度合いが高いか。これも自明のことだと思う。

[中略]

 野田総理に一言申し上げたいことは、「至誠に悖るなかりしか」「言行に恥ずるなかりしか」といった難しいことではなく、ただ一言、嘘はいけませんよ。こういうことだと思う。(了)》

と、これまた、野田首相を「嘘つき」とした上で、嘘つきの汚名と総理の沽券とどっちが大事なのか、と問うている。これ以上は、もうはっきりと「嘘つき」のレッテルを張られていますよ、と指摘している。




2.「嘘つき」の代償とタカ派と中立

嘘つきのレッテルが張られることは、実はボディーブローのように地味に効く。何故なら、支持率一つとってみても、「嘘つき」は、何を言っても嘘なのだから、良いことを言った、もしくは、良いことをしただけでは、支持には結び付かない。嘘つきの言動は信じない。結果を出して始めて支持に結びつく。

だから、首相に「嘘つき」のレッテルが貼られたら、何かの発表だとか、内閣改造だとかに伴う、期待値もしくはご祝儀での支持率アップというものは一切無くなるということ。

今の野田首相について、その結果にあたるものは何かというと、外交では日中関係改善、内政では景気回復になるだろうけれど、既に、中国は野田政権は相手にしないという態度だから外交は望み薄だし、景気回復だって、大規模な公共投資が必要になるから、直ぐにどうこうというわけにはいかない。

このまま、「野田首相=嘘つき」の認識が定着し、外交も内政もどうにもならなくなったら、惰性でただ政権についているというだけになって、民心は離れてゆく一方。

ここにきて、民主党幹部の民主の自民批判や石原新党や第3極に対する批判が目立ってきている。

10月20日、岡田副首相は、テレビ番組で先の決裂した3党党首会談について「私は今回の会談でね、安倍さんが野党の党首として振る舞われるのか、あるいは近い将来、総理大臣になり得る人として振る舞われるのか、そこを見極める一つの機会だと思っていたんですが、見事に野党党首としての演じ方であったというふうに思いますね」 と皮肉っている。

また、10月26日、民主党の安住幹事長代行は記者会見で、石原慎太郎都知事の辞職について、「任期途中で投げ出す形だ。都知事でありながら政治的発言を繰り返し、地方行政をきちっとやっていたのか疑問に思う…都民のためにもっと仕事をしなければならないのに、都庁に出勤するのは週何日とか。あまり行儀が良くない。…現行憲法破棄などの考え方に共鳴する民主党議員がいるとは思えない。選挙目的としか考えられない」と離党者を牽制している。

更に、細野政調会長は「選挙で勝てそうとか、得ではないか」ということで、新党に移るのは、議員の本質的な役割から言ってあるべきではない。これまで民主党でそういう動きがあったとすれば、民主党の立ち位置が必ずしも明確にならず、いろんな疑念を持たれる中で出ているのだろう。もう一度、立ち位置を確認し、党を離れていくことがないように執行部全体としてしっかりやっていきたい」と引き締めに掛かっている。

どことなく、民主党の焦りを感じなくもない。

先日、前原国家戦略担当相が年内解散論を発言し、党内で物議を醸したけれど、党内では、この発言は「野田降ろし」を誘発させるのを狙ったとの見方が強まっているのだという。

ついこの間まで、代表選で自分達で野田首相を再任しておきながら、分が悪くなったからといって、「野田降ろし」をするのなら、やっぱり、選挙のためじゃないかと言われても仕方がない。

仮に、野田首相が解散ではなく、総辞職を選んだ場合、ポスト野田の有力候補の一人として、細野政調会長が挙げられるのだけれど、その細野氏は28日、名古屋市内での講演で、次の衆院選に向けて、「平和主義の理念をしっかり守ることが必要だ。外交や憲法の問題でもう一度、立ち位置を示したい。…(自民党の安倍晋三総裁や日本維新の会の橋下徹代表、石原慎太郎東京都知事の)3人は極めてタカ派的な言動をしてきた。…戦後日本の平和主義、専守防衛という考え方は間違っていない。世論がタカ派の方向に流れるかもしれないが、民主党は真ん中にどっしりと立つ」と注目すべき発言をしている。

細野氏は、自民・維新の会・石原新党を「タカ派」とし、民主党を「中立」と位置付けることによって、対立軸をつくりだそうとしている。

筆者は10月5日のエントリー「安倍総裁の控えめ戦略」でマスコミは今後、安倍総裁に"右翼"のラベルを貼り、野田首相には"保守"のラベルを貼ることで、「右翼vs保守」の構図を作ってくるのではないかと述べたことがあるけれど、今回の細野氏の「自民・維新の会・石原新党はタカ派、民主党は中立だ」発言は、この「右翼vs保守」の構図と非常に良く似ている。

細野氏は、民主党の政調会長で次期衆院選のマニュフェストづくりに大きく関わるであろうことを考えると、民主党は、やはり、この路線で衆院選を戦っていくものと思われる。

それがどこまで世論に通じるのか、また通じないのかは、おそらく、首相に対する信頼度は勿論のこと、民主党に対する世間の信頼が大きく効いてくるように思う。やはり「嘘つき」の代償は軽くない。




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この記事へのコメント

  • opera

    石原新党の意外な効果として、アメリカのマスメディアでは、石原氏を「far right」安倍氏を「moderate right」と表現するようになっているそうですね。安倍氏が国際的に『穏健(中道)保守』と認知されるのだとすると、国内的にはもちろん、国際的にも民主党のレッテル、イメージ戦略は通用しそうにありません。
     まぁ、現実には民主党は「left」どころか、マトモな政治集団ですらなかったわけですが。
    2015年08月10日 15:24
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    ルックスだけの八方美人氏の主張はポイントを外している.
    そもそも過去の自民党の中立政策が嘘付の無策で破綻した
    から現在の危機があり国民が目覚めつつある.
    結局, 駄目な組織の駄目さ加減が明々白々になった時は
    全てが駄目になる. 最早, 嘘付党が被害を最小に
    とどめたいなら早期解散しかあるまい. 粘った末の
    どうしようもなくなっての解散総選挙であるなら崩壊状態,
    つまり, 現在の嘘付上層部も落選する事態となろう.

    嘘と言えば, 地球温暖化も, 放射能の恐怖も, 自然エネルギー
    も五十歩百歩であろう. 自然エネルギーに群がる利権屋
    が利をむさぼる内に毎年三兆円もの富みが失われていく.
    渡邊昇一の「日本興国論」にいたく賛同する.
    2015年08月10日 15:24

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