世論調査と安倍石破タッグの重要性

 
今日は雑談風に…

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10月21日に放送された、フジテレビの新報道2001の世論調査で、野田首相は約束を守り年内解散を明確にすべきが、69.6%との結果が出た。

この調査は10月18日に行われたものだから、丁度、党首会談の当日。ただ、質問文が「自民、公明両党は野田首相が「近いうち」と約束した衆院解散の時期を、年内と明確にするよう民主党に求めています。この約束についてあなたはどう考えますか」となっていて、党首会談の結果を踏まえての質問というよりは、解散時期を明確にするように迫ることの是非を問うている。それでなお、7割近くが年内解散と回答している。

だから、その後、党首会談の内容が明らかになったこと、谷垣野田会談での解散密約があったことが暴露されたことを考えると、来週の世論調査では年内解散を望む声がもっと大きくなることが予想される。

ただ、これは、来週も同じように年内解散について設問を行うという前提の話で、それをしない限りは公にはならない。それに、この類の世論調査は、質問の仕方によって結構回答がブレてしまうケースがある。

例えば、同じ新報道2001の世論調査での別の質問に特例公債法案についてのものがあるのだけれど、その設問と回答は次のとおり。
【問4】国が赤字国債を発行し借金することができる特例公債法案の成立が遅れ、財源が不足し、地方財政や行政サービスなどに影響が出ています。これについてどこに最も責任があると思いますか。

政府・民主党 61.4%
自民党など野党 25.6%
(その他・わからない) 13.0%
と、この設問で、特例公債法案が成立しない責任はどこにあるか、と聞いているのだけれど、解答欄も与党、野党、分からないの3択用意されていて、それほど偏った設問にはなってない。

ところが、同じような質問でも、10月19日から21日にかけて、日テレが行った世論調査だと次のようになっている。
[問8] 今年度の予算は、半分程度を新たな国債を発行して、賄うことになっています。そのもとになる赤字国債発行法案が、まだ国会で成立していません。自民党は、野田総理が、衆議院の年内解散を約束しないかぎり、法案成立に協力しない構えで、法案が成立する見通しが立っていません。あなたは、自民党の姿勢を評価しますか、評価しませんか?

(1) 評価する 27.9 %
(2) 評価しない 55.2 %
(3) わからない、答えない 16.9 %
日テレの世論調査の質問だと、自民党が年内解散が約束しない限り、特例公債法案に協力しないといっているがこの姿勢を評価するかしないか、と名指しで質問している。普通こういう聞き方をされると、法案が通らない責任は与党にあるとはっきりと自覚している人でない限り、「評価する」とは答えにくい。

なぜなら、質問の前段が、法案が成立していない→年内解散を約束しないと成立に協力しない→法案が成立する見込みがたっていない、という組み立てになっていて、さも自民党だけが悪いかのような予断を与えてしまうから。

こういう質問をするのであれば、法案が成立していない→自民は「近いうち解散」は国民との約束であり守るべきだから、明言しない限り協力しない→法案が成立する見込みがたっていない、という前置きをしてから自民党の姿勢を評価するかしないかという質問にしないといけない。でなければ公平じゃない。

まぁ、それでも、別の設問ででも、特例公債法案が通らない責任は与党にあると思いますか、というようなものが用意されていれば、この質問でも二つ合わせて、公平になるという見方ができなくもないけれど、今回の日テレの世論調査には一切そうしたものは入っていない。

まぁ、世論調査の結果が全てとはいわないけれど、よくよく注意しないと質問だけで、一定の方向に誘導されてしまうことが有り得ることには注意しないといけないと思う。ただ、ある日突然、世論調査の電話がかかってきたとして、何の準備もなしに誘導されず答えることが何処まで出来るかと考えると、質問の受け手だけの努力では難しいところはあるかもしれない。

さて、その近いうち解散について、10月21日、前原国家戦略担当相は記者団に対して、「年明けに解散して『近いうち』とは言えない。…首相は特例公債、0増5減、社会保障制度改革国民会議の三つの条件を言っているが、合意できれば時間のかかる話でもない。おのずと同じところに落ち着くのではないか…首相は自分の言葉に責任を持ち、信義を重んじる方だ」と、自公の歩み寄りを前提に、年内解散はあり得ると述べている。

だけど、そこはそれ、口だけ番長のこと。党内の調整等なにもせずに、言っただけのような気がしてならない。実際、安住幹事長代行に、「周りの方々がどういう感想を持ってもいいが、どうするかは野田総理大臣が最終的に決めることで、周りがいろいろと言う話ではない。前原大臣は、政府・民主三役会議に今入っているわけではないので、新しい体制になってからの執行部の意思ではなく、前原大臣の感覚と党全体の感覚が一致しているということではない」と思いっきり否定されている。

やはり、口だけだったのだろう。

自民党の安倍総裁は、福岡市での講演で、党首会談での野田首相の対応について「輿石幹事長が『野田総理大臣から新しい提案がある』と言うので、党首会談に応じたが、野田総理大臣の口から出たことばは『“近いうち”を真剣に重く受け止めている。私を信じてくれ』だった。英語にすると『トラストミー』で、鳩山元総理大臣がアメリカのオバマ大統領に述べたことばと同じだ。信じるのは無理な話で席を立った」と厳しく批判した上で、「前原大臣は野田政権の重要閣僚で、その発言は重いし、発言には責任が伴うことを承知して言ったと思う。この発言を受けて、野田総理大臣からも何らかの働きかけがあると思うのが常識だ」と年内の解散に向けた何らかの提案を行うよう求めている。

ただ、年内解散に向けて、口だけ番長の発言を引っ張ってこなければならないところに、手詰まり感で一杯になっているように思えてならない。これが国生の小沢代表であれば、水面下での離党工作でもやるところなのだろうけれど、安倍自民党はそうした裏工作をしているのかどうかは分からない。

現状では、昨日のエントリーでも触れたように、マスコミは"与党も野党もどっちも悪い論"で世論を誘導してくる可能性があると思われるから、少なくとも、それに対抗するために、安倍総裁は自身の「政治は信頼である」という世界観を少しでも、国民の多くに理解していただくようにした方がよいと思う。尤も、今の時点では、国民に理解して貰う前に、まず党内に"安倍世界観"を理解し、支持して貰うようにした方がいいかもしれない。

それに、まぁ、こういった、国民に直言するような部分は、どちらかといえば石破幹事長の方が向いているように思うし、丁度幹事長職にあるのだから、幹事長として地方組織を回ると同時に、テレビ等にでるような機会をとらえては、国民が政権選択をすることの意味と責任を語っていく必要があると思う。

この世界観とその理解の関係については、今回の「政治は信頼である」世界観のみならず、今後、安倍総裁が総理になることがあったとしても同様に出てくることが十分に予想される。事実前回の安倍政権で、安倍氏が打ち出した世界観は「美しい国」であったし、それを実現するための政策が「戦後レジームからの脱却」だった。

だけど、それらは、国民や諸外国はおろか、党内ですら十分には理解されなかったのではないかと思っている。今回はその愚を繰り返してはいけない。だから、安倍総裁が何某かの世界観を打ち出したら、その周辺、例えば、石破幹事長がそれをより具体化して、現実的は政策に落とし込んで、国民に丁寧に説明するなど、時には役割分担をしていくことも大切になってくる。

いずれにしても、野田政権に対抗するためには、安倍総裁と石破幹事長のタッグは必須であり、党内で足を引っ張り合うことなく、まずは政権奪取に向けて、慎重に事を運んでいただきたいと思っている。




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この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    東アジア融和を基本的としている石破氏では
    国民は納得しないだろう. だから, 「国民の声」に
    もっとも敏感な国会議員は安倍晋三を選んだ.
    様々な報道を見るところによれば, 総裁は勢力的に
    全国の講演会で信念を語っているようだ.
    テレビより, 講演会で納得する方が印象が大きいから,
    安倍総裁の声は段々と国民に広がっていくだろう.
    2015年08月10日 15:24
  • opera

    「信なくば立たず」とは、古(いにしえ)から政治の要諦であり、当然の理(ことわり)
    です。ただ、「信」とは何かについては、大きく分けて二つの意味があるのではないでしょうか。
     一つは、文字通り「嘘をつかない」「言ったことは守る」ことによる信頼で、マニフェスト政治はその典型です。ただこの場合、状況の変化への対応が困難で、ポピュリズム政治に堕落する可能性も高いでしょう。もう一つは、国民の『予測可能性』を担保することによる信頼です。政治課題は適正な議論と手続を経て決定されだろう。不測の事態が生じた場合も、原則を守りつつ必要な対策が行われるだろう。少なくとも、議論も無く国民に対して「不意打ち」になるような政策変更は行われないだろう、という「手続的公正さ」に基づく信頼です。
     今の民主党にはそのどちらもありませんが、かつての自民党にあった信頼は圧倒的に後者です(もっとも、直接の利害関係者による調整は、密室談合などと批判されましたが)。それがデフレ対策を誤ったことで政策的な信頼を失い、小泉政治でこれを投げ捨ててしまったことが、自民党の凋落と民主党への政権交代の主因だと思います。この点を明確に認識し、
    2015年08月10日 15:24

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