今日、明日と連続2回で自民党安倍総裁の戦略と行動について考えてみたいと思います。
1.近いうち解散の履行を迫る自公
10月1日、自民党の安倍総裁は公明党の山口代表と会談した。
会談では、野田首相が合意した「近いうち解散」を野田首相に確認させ、早期履行を迫る考えで一致した。会談に同席した自民党の石破幹事長は「民自公3党の党首会談は実にあるものにしなければならない」と、年内解散の確約を迫る考えを示し、安倍総裁も野田改造内閣について「首相は『近いうち解散』という約束をしているので、『幕引き内閣』ということだ」とコメントしている。
一方、野田首相は、解散時期を確約する積もりは更々ないようで、27日、滞在先のニューヨーク市内のホテルでの記者会見で「どなたにも具体的な時期を明示することはない」と解散確約には応じないとしている。
これに対して、29日、公明党の山口代表は、次期臨時国会への対応について「入り口に問責決議が横たわっている。これを解消するためには、信を問う時期を具体的に示さないと」と衆院解散時期について具体的に言及しない限り、特例公債法案などの審議には応じられないとの考えを示している。
それを踏まえて、今回の自民・公明の会談では、近いうち解散の実行を求めることを合意している。
だから、今週にも行なわれるとされる民主、自民、公明の3党党首会談で、事態打開ができるなんらかの言質り、合意なりが取れない限り、臨時国会は自民・公明の審議拒否によって空転すると思われる。
それでも、野田政権は、特例公債法案が通らなければ、予算執行を遅らせるとし、国民を人質にとって何ら恥じることのないウソツキ政権。解散確約なんかする訳がない。
自民はその辺は心得たもので、野田首相は解散を確約しないだろうと踏んで、次の臨時国会で内閣不信任決議案を可決する工作を検討しているという。
今や、度重なる離党で民主党は、衆院過半数割れまであと僅か。国民新党を入れても、あと10人も離党したら過半数を割ってしまう。
9月29日、石破幹事長は、次期衆院選の公認選考に関し「(本当に勝てる自民党候補なのかどうかを)見直さないと駄目だ」と指摘したのだけれど、この発言はが選挙に不安のある民主党離党予備軍の「受け皿」を自民党が用意するのではないかと受け止められたという。
2.安倍総裁と自民を守る戦略
確かに、自民党の衆院議席数は119議席で、小選挙区300の三分の一くらいしかない。したがって、自民が次の衆院選で全選挙区に候補者を立てるとしても、現職議員含めて3倍近くの候補者を擁立しないといけない。だから、民主の離党予備軍がもしかしたら、と思ったとしても不思議じゃないかもしれない。
ただ、政権交代から3年。散々日本をぼろぼろにした民主党議員の中で、自民のメガネに適う候補者がどれだけいるのか怪しい。第一、民主党議員というだけで白い目で見られる昨今。下手な民主党議員を受け入れてしまったら、自民の支持率が落ちてしまうかもしれない。
だから、実際に民主党議員が離党したとしても、自民がすんなりと受け入れてくれる保証はなく、一種の揺さぶり程度と考えておいた方がいいように思う。
安倍総裁は、記者団に解散戦略を問われ「わが党の論客は手ぐすね引いている。論戦で問題点もさらに明らかになるだろう」と答えているから、国会での討論で追い詰めていく、正攻法でいくものと思われる。
では、これから安倍総裁の戦略と行動はどのようなものになるのか。
まず、ひとつ押さえておきたいのは、マスコミは安倍氏が如何にも総理になったかのような報道とバッシングをしているのだけれど、安倍総裁は未だ野党の党首であって、総理でも何でもないということ。だから、安倍総裁の戦略はまず政権奪取が第一の目標に設定されるものと思われる。
だけど、いくら政権奪取が最優先だからといって、どこかの政党のように、出来もしないマニフェストを連呼して、国民を騙すようなことは許されるはずもない。したがって、おそらく、安倍総裁は、自身の保守のスタンスをまず維持しながら、徐々にウイングを広げて、右派、左派それぞれの票と支持を取り込みにかかるのではないかと見る。
例えば、維新の会にしても、近頃急速に支持を落としているとはいえ、総選挙ではどうなるか分からない。議席をうんと取るかもしれないし、取らないかもしれない。だけど、今の段階で、わざわざ維新の会を敵に回して票を失う必要もない。今現在、維新の会は、自民と連携しないとしているけれど、さりとて敵対している訳でもない。だから、維新の会とは連携するかもしれないし、しないかもしれない程度の距離感を保つのではないかと思う。
また、「野田改造内閣と安倍総裁への期待」のエントリーでも述べたように、財界が民主党に見切りをつけて、自民に擦り寄ってきていることを考えると、この機会に財界もぐっと取り込んで支援を取り付けたい。
実際、10月9日に、経団連の米倉会長ら幹部が自民党の安倍総裁ら新執行部と政策対話を行うことが明らかになっている。
これまで、経団連は、非公式で自民と意見交換を行ってきたそうなのだけれど、今回は、日程を公表して、公式な政策対話として行うという。野田改造内閣が発足したタイミングかつ、政府閣僚や与党の新執行部より優先して、野党自民党と経団連が会合を持つ意味は軽くない。ひらたく言えば、財界は民主党に三行半を叩きつけたということ。
だから、安倍総裁は解散までの間は、こうした色んな団体等の要望を聞いて回って、じわじわと支持を広げる作戦を取るのではないかと思う。
つまり、安倍総裁は殊更に持論を主張せずに、もっぱら聞き役に回るのではないかということ。
これは同時に、安倍総裁自身と自民党を守る戦略でもある。
明日につづきます。

この記事へのコメント
ロモラオ
〒029-2203 岩手県陸前高田市竹駒町字下壺100番地
Eメール rnkrn504@yahoo.co.jp
事柄正否など、フーチいたします。
Eメール、御送付でご依頼いただけるようよろしくお願い申し上げます。
料金は、内容によります。
波動=振動 すべてに波動があります。すべては振動しています。その波動をフーチで捉えます。
ちび・むぎ・みみ・はな
難しい. 聞き役に徹すると「主張がない」, 「中身がない」
と言われる訳だ. 経済・教育・外交の基本は繰り返し
表明していく必要がある. そもそもメディアが嫌いなのは
この部分だろうから, 後でも先でも同じだろう. それなら
何度でも繰り返して国民に三分の一の主張でも伝える.
デマ新聞を通してどれほどの情報量を国民に伝えられるか.
このための戦術が安倍総裁の, 或は日本の, 生死を分けるのではないか.