安倍バッシングとツイッターの反撃

 
「僕は特別に安倍さん支持ではないけれど…安倍さんが自民党総裁になったとたんにバッシングが始まった事にものすごい違和感を感じてます…きちんとしたルールの中で選ばれた人を結果も見ずに足を引っ張る気になれない…それは僕が政治の事を知らないからなのか?勉強不足だからなのか?」


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1.カツカレーの一撃

マスコミの安倍総裁叩きに対する反発が相次いでいる。9月27日放送のフジテレビの「とくダネ!」で、コメンテーターの田中雅子氏が、安倍総裁の潰瘍性大腸炎について、「1年でお腹が痛くてやめちゃった」との発言に、メインキャスターの小倉智昭氏が「子どもみたいだったもんね」と応じるなど、病気の実情に対する配慮のなさに、批難が集まっている。

また、批判は、NHK記者出身の徳島県議がツイッターでした同様な発言にも向けられた。自民党の来代正文県議が「地方の声を無視された腹いせ」だとして、「何時投げ出すんですか!?今度の理由は下痢から便秘ですか?」とツイートすると、ネット上で騒ぎとなった。結局、来代氏は「地方の声を無視された腹いせに、新総裁の悪口を言ったらおこられました、でも、決まった事だから、昨日までの失礼をお詫びしながら、新総裁に地方の切り捨てがないようお願いと、失礼をお詫びします!」と謝罪するハメとなり、翌日には、ツイッターのアカウントを閉鎖している。

こちらのブログでは、安倍バッシングについてのツイートをいくつか紹介しているけれど、特にツイッターを介しての情報の拡散とそれに呼応した抗議が顕著に見受けられる。

例えば、総裁選のとき、安倍氏が3500円のカツカレーを食べたことを取り上げ、庶民的ではないとコメントしたことについて、たちまちのうちにその情報が拡散し、取り上げられ、2、3日もたつと、まとめページがつくられている。

まとめページには、朝日新聞社内のレストランのカレーが3600円するだとか、毎日のは5000円もする、とか。果ては、「カツカレーなんて喰ってる場合か」と自身の番組で発言した、みのもんた氏が過去に3万円のカレーを食べていた、とか続々情報が寄せられ、マスコミのコメントがダブルスタンダードであることがたちまちのうちに曝露されてしまっている。

更には、安倍氏のカツカレーにあやかって、カツカレーを食べた、というツイートも拡散し、実際にカツカレーの売り上げまで伸びるという、一種の経済効果まで生み出している。

こうしたことは、これは、5年前の安倍政権時には見られなかったこと。

それが、わずか5年で状況が大きく変わりつつある。これはやはり、ツイッターというツールの特性が大きく利いているのではないかと思う。

ツイッターの特徴にはいろいろあるかと思うけれど、筆者が感じる一番の特徴は、やはりそのリアルタイム性と拡散性。ツイッターは、リアルタイムに広く伝えるという訴求力の強さに最大の強みがあると思う。

実際、ツイッターは、東日本大震災でも大活躍した。

NECビッグローブ株式会社が、2011年3月11日から4月10日までの1ヵ月を中心に、東日本大震災における利用者のツイート内容について、調査を行なったところ、震災当日は、被害状況や避難所情報の確認のほか、電話がつながりにくい状況での安否確認ツールとしても使われていることが確認されている。

また、震災後は、情報の信憑性を高めるために情報元のURLを記載するツイートが増加、引用元はマスメディアや、震災関連情報サイトが上位となり、様々な情報を多面的に収集し判断・拡散するという、新しい情報摂取のスタイルが定着したとされる。

その意味では、ツイッターを媒介にして様々な情報を集め、それを、まとめページなどといった形で集約するのは、いわば「集合知」が形勢された姿だといっていい。

ただ、折角集めた集合知を、ただ纏めるだけでは金庫の奥深くにしまわれた金塊と同じで、人目に触れることもなく、役立つ機会も少なくなるのだけれど、ここでもツイッターの特徴がその壁を取り払った感がある。




2.ツイッターという武器

ツイッターがその大きな拡散力を持つことになる仕掛けのひとつに、他のユーザーとの繋がり易さがある。他のユーザーの呟きを見たいのなら、ただフォローボタンをワンクリックするだけでいい。あとは自動的に、フォローしたユーザーの呟きが入ってくる。

この自動的に情報が向こうからやってくる、というのが決定的に重要。

なぜなら情報を自分で取りに行く行動、能動的な情報収集には、本人の意志が働くウェートが大きく、必然的に自分の興味のある分野の情報収集に留まってしまう傾向があるから。興味のない情報をわざわざ時間を使ってまで収集するほど現代社会は暇じゃない。

それに対して、情報が勝手にやってくる、いわゆる受動的な情報収集とは、自分が意識して情報を取るという苦労がない分、逆に"意識しなくても"情報が入ってくるということを意味している。

実は、これはテレビによる情報伝達と同じ。

各家庭に漏れなくテレビが入り込んでいる現状では、スイッチを入れてチャンネルを合わせるだけで、情報は向こうからやってくる。その情報の正誤や質なんて、意識しないとなかなか気づかない。特に、自分の興味のない分野やよく知らない分野であれば尚のことそう。

テレビの影響力が強いという秘密のひとつはここにある。テレビは最初から、視聴者に意識させずに、情報を受け取らせてしまう仕組みになっているところがミソで、それゆえに、影響力が強くなる。

だけど、ツイッターは他のユーザーとの繋がり易さという仕組みによって、テレビと同じく、ユーザーに意識させずに、情報を受け取らせてしまう力を持つことになった。これがネット上のブログやサイトとの最大の違い。

安倍バッシングひとつ取ってみても、前回の安倍政権時のように、ツイッターが登場する前では、確かに、いくつかのブログ等で、マスコミによる安倍バッシングについて批判する記事があったのだけれど、如何せん、それは政治を扱うブログが中心であって、必ずしも一般の人に対する訴求力という面ではそれほど大きくなものはなかった。

だけど、ツイッターが誰とでも、気軽に繋がることができるツールであるがゆえに、これまで政治なら政治の話題に興味があるユーザー同士でしか繋がりがなかった関係が、政治と芸能とか、全く別のジャンルの人とのチャンネルを作り、さらに相手が意識しなくても、その情報を送り届けることができるようになった。テレビに近い関係を持つことになった。

しかも、先にも述べたように、多数のツイッターユーザーによる多くの情報が纏められ、集合知となってストックされ、それらが共有されるようになってきた。

勿論、マスコミの報道内容と、ツイッター等で拡散するネット情報との間に齟齬がなければ、何も問題はないのだけれど、双方の情報に大きな乖離がある場合は、今度はネットによってマスコミが叩かれるようになってゆく。

マスコミにとっても、自分達の過去の言動がたちまちのうちに暴かれ、ジャンルを問わず拡散していくのは、脅威だろう。これまでのように、特定の相手のバッシングやミスリードが許されなくなりつつある。

これまで情報を一手に独占していたマスコミも、その一角を崩されつつある。


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この記事へのコメント

  • sdi

    まあ「カツカレー」ネタのを他に、ネットにおけるアンチ安倍な方々の主張はというと・・・
    ・「憲法改正のことしか考えてない」
    ・「いやになったら、また病気を理由に辞めるんだろ」
    etc
    実際、そういってる方々の大半はなによりも「アンチ自民」という結論が佐生木にあって非難する口実を後から見つけてるパターンが多いのでしょうが、彼らの拒絶反応(嫌悪感に近いかも)はかなり強烈だと私は思いました。こういったネガティブワンフレーズもTLやSNSで広まりやすいという点は厄介です。私はTwitterやそのほかのネットメディアが、安倍バッシングに対する対抗手段になるかどうかについては悲観的です。前回の総選挙、前々回の参議院改選のいずれもコアな支持層が盛り上がれば盛り上がるほど無党派層が距離が置いてしまった、ということは考えられるのではないでしょうか?
    2015年08月10日 15:24

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