安倍vs野田のニコ動党首討論
11月22日、民主党は来月4日の衆院選公示前に自民党の安倍総裁に対して、野田首相との公開討論に応じるよう求める方針を固めた。26日に自民党に正式に要請し、詳しい日程や形式について協議する。
選挙戦が始まっている最中に、いきなり1対1の党首討論を求めるのは当然その狙いがある筈なのだけど。どうやら民主党は、先の国会で野田首相が解散宣言した党首討論で、野田首相が優位に立つことができたと判断しているらしい。そこで、もう一度党首討論を行って、再び野田首相が優勢に立つことで、低迷した政党支持率を上向かせるのがその狙いのようだ。
民主党幹部によると、「実現すれば首相の論戦の強さを示せる。安倍氏が受けないなら『逃げた』とアピールもできる」と漏らしているそうだから、また党首討論をやれば勝てると思っているのだろう。
野田首相は24日、「私はいつでも結構。候補者を選ぶ選挙である半面、首相を選ぶ選挙でもある。経済、社会保障、エネルギー、外交・安保などの違いがどこにあるか知っていただくことは意義がある。」と都内で記者団に対して述べているから、それなりに自信を持っているのかもしれない。
これに対して自民党は、当初、「民主の手には乗らない」と拒否する方針でいたのだけれど、24日の夕方、一転受けて立つ意向を示した。ただしネット上で。
安倍総裁は、「野田総理が党首討論ということでありますので、本来であれば、たくさん政党がありますし、友党である公明党もあります。それぞれの党首が同じ機会を与えられてしかるべきだとは思いますが、野田総理の期待に応える方法として、すでに29日にニコニコ動画から各党首に対して、ニコニコ動画のスタジオに来て政策を戦わせてもらいたいという要望がありますから…その場で行うのが一番適切ではないだろうか」と述べ、29日のニコニコ動画での党首討論ならばと返答した。
これは、中々にいい案。
筆者はかねてから、安倍総裁は、ネット上のライブチャンネルでこそ、普段マスコミに話さないようなコメントをして、情報格差をつけて、ネットの優位性を確立すべきだと述べてきたけれど、安倍総裁のニコニコ動画上での党首討論の提案は、まさにこの戦略に則っている。
なぜなら、党首討論でも何でもそうだけれど、イメージというものは、話した本人ではなくて、聞く側の主観によって形作られるものだから。
「野田の逆転戦略と安倍総裁」のエントリーでも述べたけれど、あの党首討論で野田首相と安倍総裁のどちらが勝ったか負けたかというのは、聞いた人が知・情・意のどれに一番強く感応するかで変わってくるから、聞く人次第なところがある。
国会での党首討論は、テレビ中継されていたけれど、あの討論で、もしも野田首相が勝っていたと思った人が多かったとするならば、それは、野田首相の、「情」と「意」の討論により強く感応したということであり、政策が中心となる「知」の領域での感応は薄かったということになる。
だけど、これはネットの世界では一変する。
マスコミはよく、ネットで政治の話題をする人のことをネトウヨと呼んで攻撃するけれど、実はネットの世界では政治系の話題をしたり見たりする人は多くない。割合にして15%あるかないか。日本のブログの7割はペットと芸能人の話題で占められる。
いくら国民に8割以上がネットを使うようになった現在でさえ、対して政治に興味を持つ人は少ないのが現実。であるからこそ、マスコミによる「報道しない自由」や「偏向報道」、特定の政治家に対するバッシング報道が有効に機能する。
だけど、安倍総裁の総裁就任以来、とどまることを知らないマスコミによる安倍バッシング報道に対して、その15%の枠内に含まれるであろうネット有志が抗議の声を挙げ、マスコミに謝罪をさせるまでになっている。
つまり、その15%の人々は、政治に興味を持ち、自分から情報を獲りに行く層でもあり、更に、マスコミの情報操作、イメージ操作に踊らされない人々でもある。要するに、「情」と「意」の話よりも、「知」の領域に強い感度を持つ人達が多いだろうということ。
だから、ニコニコ動画での党首討論を行った場合、「情」と「意」では勝っていた筈の野田首相も、そこでは殆どアドバンテージを持つことができず、「知」の領域、即ち、純粋な政策や民主党政権の実績の部分を中心に判定が下される可能性が高いと見る。
正直いって、民主党は自身のマニフェストを殆ど実現できなかった上に、国家運営能力も持っていなかったことを露呈している。そこの部分については、政治に興味を持つネット層の人々は十分な情報を共有し厳しい判断を下している。それはネットでお行なわれる世論調査の結果から明らか。例えば、10月29日にニコニコ動画で行われたネット世論調査では、野田内閣の支持率が6.7%、不支持率が69.5%に上り、民主党の政党支持率が僅か4.6%と、自民党の32.2%に対して大きく差をつけられている。
本当に、ニコニコ動画での党首討論が実現したら、野田首相、安倍総裁はこうした人々を相手に討論を行うことを知っておく必要があるだろう。また、既存マスコミも、ニコ動での党首討論を後追い報道する際に、どこをどう編集して報道するのかも、同時に見られていることも知っておいたほうがいい。
この記事へのコメント
日比野
>前回の参議院選挙のデータを使用するしてネットの投票動向に対する影響力を推定してみる。
私が以前ネットの影響力が最大7%程度とコメントしたのもこの方法での見積もりです。この解析は2007年から折に触れずっとやってきてますが、当時でも6.6%で、状況は殆ど変っていません。
ですから、仰るとおり、ネット層の向こうにある9割以上の層にどうアプローチするかが勝負です。この辺りまで広げると「知」だけでは不十分で「情」と「意」にも訴えるだけのものが必要になってくると思います。
まるこ
確か前回の衆議院選の時だったと思いますけど、貴殿が三橋貴明さんの得票数を計算して当てていましたので、今回の総選挙、ネットが力を持ったと言われても、今回のこの記事を読ませていただくと、これだけの反自民反安倍マスコミ包囲網ができている中でどれだけ自民が票を取れるのか、結果を見るのが怖いです。
またみんな騙されるのか …?
それにしても関心があれば、たとえ反対意見であろうとも話せば理解してもらえる余地もありますが、「無関心」の人相手では何をどうすればいいのか … 茫然としています。
ここにあるグラフ、拙ブログでも紹介させてください<(_ _)>
(事後承諾ですが … 問題あったら仰ってください)
sdi
104029135(有権者総数)×0.8(国民の8割がネットを使用)×0.15(政治系ブログのアクセス率)=1248,3496
この数字を多いと見るか少ないとみるか。ちなみに投票率は57.92%だったので、6掛けした値を実際の投票数と仮定すると、その数は749,0098。800万人弱でしかない。実際はもっと増えるだろうが800万を越しても900万を越せるだろうか?安倍執行部がマスコミの反自民報道に反撃する手段としてネットを活用するという選択は特に問題ない。しかし、直接的に影響を与えられる有権者数は現状では1000万に満たない。あくまでその程度と割り切る必要がある。この層は政治に対する興味も強いし意識も高い。そういう点でレスポンスも速く動向もつかみ見やすい層だと考える。問題はし、この層の動向を重視しすぎることだ。この層で自民党を支持する層に受けがよい政策や発言をしてもうえを見ても900万人の何割かを引き寄せるのがせいぜい。投票率6割の場合の残り5200万が逆に自民党に対してドン引きするようでは選挙に勝て
ちび・むぎ・みみ・はな
考える裏付けはどこにあるのか. 理解を越える.
ガソプー氏が最近盛んに表に出てきているが,
あの様に通常人の常識もない「おバカ」が
表出する事態は常態を越えるものであり,
背後の仕掛けの影響を受け易い危険な状態だ.
ニコビデオは, 新聞もTVも信用できない状況では,
ニコビデオが信用できると言うわけではないが,
放映権を考えれば遥かにましなのだろう.
しかし, 最近のようにテレビも新聞も信用
ならぬ事が明らかになっているのは事態が良い
方向に進んでいるのか悪い方向に進んでいるのか.
TV・新聞が実は随分と前から外部の工作者と
結託してきたのは事実だから, それが国民の
知る事実となってきたのは「良い事」なのだろう.
種々の本をゆっくり読んで見れば, 随分と昔から
戦前の近衛文麿の社会主義思想と真っ赤な(嘘の)朝日
の結託は各方面から指摘されてきたことらしい.
TV・新聞を見る限りは全く分からない真実.
国民の意識がここまで戻ることができれば日本は安泰だ.