維新の石原
11月16~17日にかけて、読売新聞の全国世論調査が行われた。
衆院比例選の投票先について、自民党が26%でトップ、民主党は13%、日本維新の会の8%、太陽の党の5%と続いた。政党支持率でみると、自民22%(前回24%)、民主13%(同11%)で、無党派層は43%。その無党派層の投票先は、自民14%、維新の会8%、民主6%、太陽の党3%で、55%が決めていない結果となった。
これを衆院ブロック別で纏め直すと、自民が全ブロックで最多で、民主は「南関東」を除くブロックで、自民に10ポイント以上の差をつけられた。維新の会も地盤である「近畿」ブロックでこそ、22%と、トップの自民党の24%と拮抗する支持を集めたものの、それ以外のブロックでは、太陽の党の数値を単純に足しても、トップの自民に届いていない。
また、東京新聞が11月15日から17日にかけて、都内有権者約1500世帯を対象に取った世論調査(有効回答数1005人)でも、衆院選比例代表の投票先は、自民党が21.8%でトップ。続いて民主の12.9%、 維新の会5.8%、太陽の党5.3%となっているから全国、都内とも傾向は大体同じ。
ここで先日、合併を発表した、維新の会と太陽の党の支持が単純に足してもいいのかどうか疑問が残るところだけれど、そこは多分、来週にでもまた世論調査が行われるのだろう。
維新の会と太陽の党との合流についても、維新があれほど拘っていた政策についても、原発全廃が安全基準構築に、TPP参加が国益に沿わなければ反対に、消費税の地方税化は11%のうち6%を地方共有税へと後退。平たく言えば、骨抜きになった。
それでも、代表の座だけは橋下氏が抑えるのかと思いきや、代表には石原慎太郎氏が就任。橋下氏は代表代行となった。会談で、石原氏は橋下氏に共同代表就任を提案したのだけれど、「決める政治ということを考えれば、決定権者は一人の方がいい」と橋下氏は固辞したようだ。
「太陽維新の行く道は安宅の関か衣川の館か」のエントリーで指摘したように、大阪市長と党代表の「二足の草鞋」に対する批判を躱すという意味では、代表に石原氏を据えるというのは、理に適った選択だとは思うけれど、政策を骨抜きにされた上に、代表の座を石原氏に持って行かれては、殆ど党を乗っ取られてしまったのと変わらないのではないか。残ったのは「維新」の看板だけとさえ。
だけど、橋下氏は、11月1日の記者会見で、当時、新党結成を表明した石原氏について「第三極のボスにふさわしい」とする一方で、たちあがれ日本に関しては「思考停止している。維新には必要ない」とこき下ろしている。
なのに、その不要な筈の立ち上がれのメンバーを含んだ太陽の党と合併したということは、石原氏と合流するメリットがたち日の議員らを加えるデメリットを上回ったということなのだろう。
その、たち日側とて、すんなりと合流に漕ぎ着けたわけじゃない。11月16日に、維新側と行なった合併協議の後、同席した園田博之氏は記者団に合流のネックになっている一番の政策は、と問われ「原発、TPP、消費税」と答えている。
この時点で、主要政策で悉く対立していたのに、蓋を開けてみれば、維新に妥協させる形で合意に漕ぎ着けている。これは、やはり石原氏の力が相当大きく影響したものと思われる。
国会議員団代表になる平沼赳夫氏は「石原さんの強い考えならば…」と維新との合併を容認し、園田氏も「石原さんの執念にやられた」と語っているけれど、なんだかんだで、自分達の主張に近い形で維新を取り込んでみせた石原氏の手腕は認めている筈。
だけど、それも、石原氏がいるまでの間という前提がある。もし石原氏なかりせば、維新とたち日の合併なんてなかっただろうし、それ以前に合併しようなんて話すらなかったに違いない。
その意味では、太陽維新は、石原氏という"ツナギ"によってかろうじて一つでいられるという側面があり、何年か先に石原氏が引退した後は、分裂してしまいかねない危険を孕んでいる。
だから、仮に、今回の衆院選でどれだけの議席を獲るかは分からないけれど、その次の衆院選までに"野合"にならない程度の政策の擦り合わせと、党としての統一を掛けられないと、それ以降の存続は厳しいかもしれない。
だから、維新と太陽の合併は、政策の調整のみならず、有権者の支持にも影響があると思われる。これについては、投開票が近づくにつれて明らかになっていくだろう。
野合のまま図体だけ大きくなっても、碌なことにならないのは、この3年間で実証されている。
この記事へのコメント
たまや
たち日メンバーが橋下氏に糞味噌に言われても我慢し、石破氏が太陽・維新の合流を嫌味程度の批判にとどめておくのは、「憲法改正」に向けたしたたかな作戦ではないかとも思える。
実際、衆院選で自民系と維新系で321議席を超えることが不可能とは言い切れない。が、参院は違う。162議席を確保するためには来年の改選で100議席を獲る必要がでてくる。しかし憲法改正の意図がひとたび表沙汰になれば必ず潰しにかかる勢力が現れるので、それまでは自民、維新がそれぞれ独立を装いながら、裏では運営協力をすることでお互いの失点を防ぎ、勢力拡大を図っていくのではないか。
その場合、やはり公明党がキーになってしまうんだが、、、