太陽維新の行く道は安宅の関か衣川の館か
11月16日、衆議院は午後の本会議で解散された。第46回衆院選挙は、「12月4日公示、12月16日投開票」で行われる。
総選挙の勝敗ラインについて、自民党の石破幹事長は「単独過半数が一つの目安になる」とする一方、民主党の輿石幹事長は「比較第1党になることだ」と発言している。
いくら民主が自爆して支持率が低迷しているとはいえ、自民の支持が伸びている訳でもない。こんな状態で、自民が単独過半数というのは、ちと厳しいのではないかと思う。
永田町では、自民が今年の7月に行なった選挙情勢調査では、自民が220議席を取るという結果が出ていて、当時から更に民主党が人気を落としていることを考えると、もう20議席やそこらを上乗せできると踏んでいるのかもしれないし、或いは、既に、内々に今の選挙情勢調査をしていて、単独過半数が見えるくらいの読みがでているのかもしれない。
まぁ、自民が220議席取るという予想は他の人もしていて、例えば、政治評論家小林吉弥氏の獲得議席予測によると、自民党が220議席で、公明の28議席と合わせて過半数を取るとしている。
一方、民主は99議席で3ケタを割り、その他については、維新の会が60議席、国生20議席、みんなの党19議席、太陽の党15議席と続く。
このうち、太陽の党は維新の会と合流するとしているから、合わせて75議席になるのだけれど、民主が100議席を割る中、本当に維新+太陽でこれだけの議席を取るのであれば、立派な第3極になるし、これに、みんなの党の19議席が加われば、民主に代わって第2政党に躍り出る可能性すらある。
石原慎太郎氏は、政策を二の次にしてでも、形振り構わず、第3極を作ろうとしているけれど、仮にそうやって議席だけ確保できたとしても、政権を担えるだけの政党としての纏まりと人材を擁することができなければ、単に、第2民主党を作るだけのことにだって成りかねない。
ただ、維新の会は、党の唯一の顔とも言える橋下氏が衆院選に出馬しないくせに、党の代表になっているという、一部で批判を浴びている問題について、石原慎太郎氏を代表代行かなにかに据えて、国政を殆どお任せする形にすることで、解決とはいわないまでも、批判を鎮める程度の辻褄合わせができるメリットがある。
事実、石原慎太郎氏は15日の記者会見で、「太陽の党は暫定的なものでしかない。明日、橋下さんと決めて大連合をつくり、1つの党になる。 必ず大同団結する。彼とは肝胆相照らす仲だ。彼が総代表で、私は国会の代表になる」と発言しているから、或いは、石原氏のほうから、橋下氏は大阪市長として市政に注力し、石原氏が国政担当になるという"分担構想"を持ちかけたのかもしれない。
更に、石原氏は「僕は、義経にほれた武蔵坊弁慶みたいなもの。でも、義経で終わらせてはいけない。頼朝にしないといけない」とも述べているから、なんとなれば、2、3年くらい石原慎太郎氏が"露払い"をして、次の次の衆院選あたりで橋下氏を国政デビューさせるなんてプランを描いていることだって考えられる。
もしも、石原氏がこういった中長期構想を持っていて、橋下氏を義経から頼朝へ、つまり将来の"総理候補"として育てていきたいと考えているのなら、維新の会は、民主党のようなバラバラの寄り合い所帯のままでは無理がある。
まぁ、結党してしばらくの間は仕方ない面もあるかもしれないけれど、次の次の衆院選くらいまでには、党としての形をちゃんと作れないと、それこそ民主党の二の舞になる。
その意味では、維新の会はまず、ちゃんとした世界観、国家間を持つことが大事であり、その上で、更に今回の選挙で、数多くの質の高い候補者を擁立し、相当数の議席を確保することがキーポイントになると思われる。だけど、これは選挙までの準備期間のなさを考えると、結構な綱渡り。
それに、20人程度の中小政党ならいざ知らず、100人を超える大政党の代表ともなれば、それなりの器も要れば、見識や胆力も要る。だから場合によっては、石原氏が橋下氏をたしなめ、教育するような場面だってあるかもしれない。
いずれにせよ、維新の会にとっては、今回の選挙でどこまで大同団結できるか、どれだけ議席を獲れるかが、非常に大きな要素であることは間違いない。殆ど賭けといっていいくらいの一世一代の大勝負。
石原慎太郎氏を待ち受けるのは"安宅の関"か、それとも"衣川の館"か。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
自民党を追い出された裏切り者と組んで自滅して,
名を上げるために詐欺を働く元大阪府知事と組む.
貧して盗水を飲まぬ覇気なしに国政で活躍できまい.
立ち上がれ日本は経済に弱い.
国政復帰を望む優国の士たる西村氏も安倍自民党の
政策を理解できない.
方や, 安倍総裁は外交・経済を良く研究しており,
保守のシンボルたる田母神氏との和解も進めている.
石原元知事の最高点は尖閣購入宣言だったのだろう.
所有者に見限られてからはどうも判断が冴えない.
維新に合流することで独立した保守の党を潰した.
国民に疑問を抱かせる選択をするのでは勝てまい.
怨みを清算できず老生に惑う者は保守と言えども
引退すべきだろう. 前途あるもの達を道連れにせずに.
opera
そこで、私も『現時点』での予想を少し。
小林吉弥教授の議席予想は大外れすることで有名で、今回の予想も2009年の自民ですら比例で55だったのに41と予想している時点で??ですね。
まず、自民の議席を後回しにして他がどの程度取るかを考えると、民主は2005年の郵政選挙では選挙区52・比例61でしたが、同じ逆風でも野党第一党という看板も無く、この時よりも選挙区も比例も減るでしょうから最大でも100前後、下手をすると60台になってしまう(とくに選挙区が離党と引退で20台まで激減する)かもしれません。
問題は第三極ですが、これは公明の支持率・議席数が参考になると思うのですが、公明は選挙区8で比例が20前後でだいたい一定しており、メディアにもよりますが、第三極で支持率が公明を少し超えているのは維新だけで他はかなり低く、選挙区も2~3名しかいません。で、前回の日比野さんのエントリーにあるように、組織も人材も金もないために選挙区の上積みがほとんど期待できず、比例頼みということになると、第三極の結集で多少の化学変化を起こして
settsua
突然のコメント失礼します。
愚考するに
義経や弁慶どころの話ではなく橋下氏が木曽義仲であり、石原氏はそれをたきつける新宮行家といったところでありましょう。
まさに都落ちしようとする平家民主党に攻めかかり一時的に都を得るかもしれません。しかしすぐに義仲軍は洛中で略奪強姦を働きました。同じように資金に苦しむ維新の会は当選したらその特権を使い投資資金を回収しようとすることでしょう。
そこに登場するは鎌倉軍安倍自民党であります。朝日将軍は惨敗し粟津にて討ち取られます。
義経や行家は決して頼朝にはなれません。
sdi
橋下市長にとって保守イデオロギー的政策と自由主義経済政策ではどちらが奔命すかといえば間違いなく後者です。この面で橋下市長に元「たちあがれ日本」が妥協を強いるのは困難でしょう。なにしろ石原都知事もこの面では橋下市長側です。
石原氏も平沼氏も橋下市長の年齢と政治家としての経験の短さを侮ってませんかね?二人とも「橋下を自分の望む方向にコントロールできる」と考えているのでしょうが、人形遣い二人が対立しとたとき決定票を握るのは誰でしょうか?橋下市長ではな