いよいよ解散ですね。
1.抵抗勢力を一発で倒した野田首相
野田首相の解散発言冷めやらぬ中、民主党の離党ドミノが始まった。
小沢鋭仁元環境相の日本維新の会入りを皮切りに、富岡芳忠、山崎誠、長尾敬、中川治の各衆院議員が離党を決断。更に15日には、初鹿明博衆院議員、山田元農相も離党を決めた。あっという間に7人離党。
解散が決まった今となってはもうあまり意味が無くなってしまったけれど、民主は衆院単独過半数割れとなった。2009年の総選挙の時に309議席あったから、政権与党になってからの3年半で50人以上離党したことになる。
こちらに、「民主党離党国会議員、合流先一覧」という便利なサイトがあるけれど、民主党から離党者が出たのは、実は、去年の暮、2011年12月からのことで、それまでは、殆ど離党者を出してはいなかった。
野田首相は、民主党を瓦解させたいとは思ってはいないかもしれないけれど、野田首相が民主党代表になってから、民主党は急速に崩壊していったのが事実。まぁ、鳩山、菅と最低と最悪の宰相の後を継いだ不運はあるにせよ、ここまで離党者を出したのは、増税法案にもみられるように、その是非は兎も角として、最後の最後には、自分の意見を押し通したことに拠ると思われる。
野田首相は、今回の党首討論の前日13日に、輿石幹事長と会談し、輿石氏から「解散を思いとどまるように」と迫られても、頑として聞き入れなかったと伝えられている。
野田首相の今回の突然の解散宣言と、何故それが16日なのかについて、党内の「野田降ろし」を封じるためだったという観測もある。
事実、今月になって、年内解散が囁かれ始めた途端、民主党内では、年内解散反対の動きが加速し、「野田降ろし」も公然と語られ出していた。
一部には、18日からのASEAN会議に出席し、その場でTPP参加表明をしてから解散表明という報道もあったのだけれど、野田首相周辺は「外遊中にクーデターが起きかねない」との警戒もあり、「野田降ろし」や内閣不信任を封じるには、今週末の解散しかないと判断したのではないかという。
噂では、輿石幹事長は、国生の小沢代表と手を結び、野田首相を12月中に引きずり降ろして、細野政調会長を新首相に担ごうと党内工作をしていたとも言われている。
まぁ、輿石氏と小沢氏が裏で手を結ぶ可能性については、筆者は、10/27のエントリー「野田退陣後の亜民主政権」で指摘していたから、この話が本当であったとしても別に驚きはしないけれど、実際にそんな工作をされた野田首相にとっては、堪ったものじゃなかっただろう。
党首討論の前日、側近に「何としても一発で倒すしかない」と、野田首相は、側近に解散表明の決意を伝えたというから、やはり少なからずショックであり、またそれだけ警戒していたということなのだろう。
実際、11月16日解散、12月16日投開票と決まり、15日には懸案だった、特例公債と0増5減法案が衆院を通過したから、これでほぼ解散は確実となった。野田氏は解散も「定めて」見せた。
とはいえ、これからの選挙戦は前途多難。民主党は、政権維持というよりは、どこまで負けを減らせるか、自公に大勝ちさせないかの勝負になると思われる。
2.選挙における風金人
それでも、年内解散、年内総選挙に打って出ることで、民主党は壊滅的な敗北にはならない可能性が残されたと思う。というのも、民主党批判票の受け皿として期待された、第3極を目指す中小政党の準備が整わないから。
石原新党や維新の会は勿論のこと、その他、今回続々と出来た新党は、その殆どが衆院議員が10人にも満たない小政党ばかり。
現時点での中小政党の所属議員は次のとおり。
国民の生活が第一:39これらの中で特に今年出来たような新党の中に、来月に迫った総選挙において、小選挙区単独で勝てる候補を、果たしてどれだけ擁立できるのかを考えると、その厳しさが分かろうというもの。
公明党 :21
共産党 :9
新党きづな :7
みんなの党 :6
社民党 :6
日本維新の会 :5
減税日本 :3
新党大地・真民主 :3
太陽の党 :2
しかも年内総選挙だから、政党助成金も支給されることもない。人も金もない状態で戦わなくちゃいけない。
ここで、各中小政党の選挙状況を、天地人ではないけれど、風(支持率)・金(選挙資金)・人(支援組織)の3要素でそれぞれ分析してみると、おおよそ次のようになるのではないかと思う。
このように、風・金・人の要素で各政党をみてみると、中小政党とはいえ、その中身は全然違うことが分かる。公明や共産、そして社民党のように、古くからある政党は、そこそこの支持率と、相当数の地方議員を抱えていて組織がしっかりしてる。地方組織がしっかりしているから、それなりに金を集めることができ、そこそこの数の候補者も立てられるようになるし、選挙資金もある程度確保できる。
その意味では、今年できたような新党は、多少の追い風は吹いているかもしれないけれど、金もなければ地方組織もない。これでは組織票は望むべくもなく、ただただ無党派層の風に頼るしか方法がない。
上記の表では、国生(+きづな)、維新の会、太陽の党(+減税日本)についての金と人のデータがないので表記できなかったけれど、国生については、選挙資金は兎も角として、支援組織は小沢代表が元民主党から分捕って確保していると予想される。だから、国生の支援組織はそこそこあるのではないかと思う。
逆に、維新の会や減税日本のような地域政党が主体の政党は、地元での支援組織はあるにせよ、他の地方となると全然組織はないことになる。
マスコミは、選挙となると、各政党の支持率を取り上げるばかりで、そのほかの要素についてはあまり報道しない。たまに資金のことに触れるくらいで、地方組織、支援組織の強靭さについては殆ど報じない。
だけど、支援組織にまで目を向けると、やはり古くからある政党、または地方組織の重要さを十分に認識してがっちり押さえている政党以外が小選挙区で勝ち残るのは難しい。どうしても風頼みになってしまう。
これから、12月4日の告示までの間に、中小政党同士の連携・合流や、民主離党議員の入党などがいくつかあると思われるけけれど、風だけでなく、金と人をどれだけ押さえているのかも重要な要素。
それを考えると、第3極で纏まるにはあまりに時間が無さすぎる。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
プレッシャをかけ, 迷わず対峙した安倍総裁が光る.
「本当の政治家」というのはやはり凄いものだ.
何時果てるとも分からなかった山賊政権を思うと
感慨無量だ.