オバマ再選と総選挙の足音

 
2012年のアメリカ大統領選挙で、オバマ大統領の再選が決定した。

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アメリカの大統領選は有権者が各州に配分された大統領選挙人を選ぶ形で行われる。今回でいえば、アメリカ全土538人の選挙人の過半数である270人以上の選挙人を獲得すれば事実上、大統領に決まることになるのだけれど、アメリカ東部時間11月7日午前2時の段階で、ロムニーの206人に対して、オバマは303人の選挙人を獲得し、大差で勝利した。

投票直前まで大接戦だと言われていただけに、この結果は少々意外な感じがしないでもないけれど、兎も角あと4年はオバマがアメリカを導くこととなった。

それでも、世界はオバマ再選を支持しているようだ。

イギリスのBBCは、日本を含む21カ国の2万人以上を対象に、どちらの候補を支持するかについて調査を実施していたのだけれど、フランスの72%を筆頭に、パキスタンを除くすべての国でオバマ氏への支持が上回った。

また、インドの「エコノミック・タイムス」紙も、同様に世界36カ国、57万人以上を対象とした世論調査でも、回答者の81%がオバマ氏を支持。 ロムニー氏の19%を大きく上回った。中国以外の全ての国でオバマ氏の支持が勝り、トップはイギリスの回答者で、実に85%がオバマを支持したそうだ。

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さて、翻って日本はとなると、じわじわと解散風が吹いてきたとみる向きもある。というのは、どうやら、民主党が、今月中にテレビのスポットCMを流す交渉を進めていることが明らかになったから。

スポットCMとは、テレビやラジオで番組や時間帯の指定なしに放送されるCMのことで、契約期間や時間帯は、広告主の希望に沿う形で行われる。

スポットCMの長さは15秒が基本で、その値段は、状況によっても上下するのだけれど、大体8~15万円に視聴率を掛け合わせたものとされる。

例えば、10月29日から11月4日までの1週間での報道番組の視聴率は、ビデオリサーチ調べ(関東地方)によると、トップがテレ朝の「報道ステーション」で20.4%。次にNHKの「首都圏ニュース845」の17.5%、続いてNHKの「NHKニュース7」の17.2%となっている。

仮に、視聴率を20%とした場合、15秒CM一本当たりの値段は8~15万円×20=160~300万円。一日平均視聴率を10%とみても、一本で80万~150万。一日25本スポットを流したとして、これを2週間毎日続けたら、2億8千万から5億2500万もかかってしまう。

だから、こんなに金の掛かるスポットCMを政党が出すときは、通常、選挙の選挙期間中か、選挙を間近に控えた時期にほぼ限られる。

関係者によると、民主党は東京や大阪など大都市圏で今月中にスポットCMを流すための交渉中で、最終調整の段階にあるようだ。こうしたことから、選挙が近いのではないかと噂が広がり、党内からは「野田首相は年内解散のハラを決めたのでないか」との臆測も流れ始めているという。

だけど、解散風とは裏腹に、民主党の選挙準備は整っていない。民主党執行部は全選挙区に候補者を擁立する方針ではいるのだけれど、全国300小選挙区のうち、66選挙区が候補者未定の空白区。執行部は都道府県連に11日までに公認を出すように指示しているのだけれど、各都道府県連は、「党本部の支援がほしい」とか、「落下傘候補も含め党本部で考えてくれないか」などと党本部と押し問答。

執行部は執行部で選挙基盤の弱い若手議員への支援で手いっぱいで、現職を勝たせることに重点を置いている。また、離党予備軍に対する引き止めの為に、「離党して勝てそうな議員はいるか? 離党議員の地元での評判はボロンチョだぞ」などと脅しているという。

だけど、今となっては離党しようがしまいが、"民主党"という看板自体が嫌悪されている。

先日、川崎駅前で街宣した"師匠"の綽名を持つ民主党の現職大臣が、「売国奴は帰れ」と野次られ逃げ出したそうだ。まったくもって、プロ野球を嗜んでいた佐世保の釣り人で"ヤジ将軍"の綽名を持っていたムードメーカーとは大違い。

佐世保の釣り人は引退を惜しまれ、神奈川10区の"支障"は引退しろと野次られる。そこまで民主党の評判は落ちている。



民主党は今月10日から全国11カ所で「政策進捗報告会」を開いて、先の総選挙でのマニフェストについて謝罪するようだけれど、御免なさいでそれで全て許されると思うのは甘すぎる。

民主党政権の3年間で、生活を奪われ、無茶苦茶にされた国民が大勢いる。

今年の8月、参院自民党は、民主党政権の3年間を検証し、事例をもとに問題点を総括したリポートを冊子に纏めているのだけれど、そこでは「民主党政権の根源的問題は、絶対的な能力不足」と断じ、「国民に嘘をつき、都合が悪くなるとすぐに方針を転換する体質がある」と分析。

更に「総理自身をはじめ閣僚からも問題が噴出しており、問責決議や辞任が相次いでいる。不祥事を起こしても、最初は極力隠ぺいしようとし、言い逃れできなくなった後も、謝ればいい、一旦辞めればいいという発想が明らか。」と痛烈に批判している。全く持ってその通り。

「国民の生活が第一」のキャッチフレーズで政権を獲った民主党が、今や「国民の生活が台無し」と言われるのも当然。

政治は、国民の生命と財産を左右するものであるがゆえに、失敗は許されない。だからこそ選挙で厳しい洗礼を受ける。国民が民主党に怒りを向ける理由は、単にマニフェストが未達だというだけじゃない。すぐに嘘をつき、責任逃れをしようとする「真摯さの欠如」にある。だから、マニフェストが達成できなかったと謝罪をしても、そこに「真摯さ」がなければ、国民は直ぐに見抜く。

その答えは総選挙で明らかになる。

「選挙戦というのはくだらないものに見えることがある。ばかばかしく見えることだってある。それは承知しています。そのせいで、政治なんてしょせんエゴのぶつかり合いでしかないとか、特定利益が支配する領域に過ぎないとか、そうやって斜に構える連中に冷笑されてしまう。けれども実際に私たちの集会に来てくれた人たち、高校の体育館でロープに沿って並んだ人たちの話を聞いてもらったら、あるいは自宅を遠く離れた小さな地区の選挙事務所で遅くまで働く人たちを見てくれたら、たぶん違うものを目にすると思います。…

…だからこそ、私たちはこうしている。政治にはそういう可能性がある。だから選挙は大事なんです。つまらなくなんかない。大きい。大事なんです。人口3億人の国の民主主義というのは、うるさくてごちゃごちゃしていて複雑なものになりがちです。みんな自分の意見を持っているし、誰もが信じる何かを深いところに抱いている。そして大変な時代を経験している時、国として大きな決断をする時、感情がかき立てられ、対立がかき立てられるのは当然のことです。この夜が明けても、それは変わらない。変わるべきじゃない。私たちが議論するのは、私たちの自由の印です。自分たちが何かを主張しているまさにその時、遠い国々の人たちは、大事な問題について言い争うチャンスのために戦い、命を賭けている。私たちが今日そうしたように、投票する権利のために命を賭けている。それは決して忘れられない。…」

バラク・オバマ 「2012年大統領選挙・勝利宣言」より





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