どうぞ厳しい声をください。すべて、受け止めます。 (民主党の世界観を探る 前編)
今日、明日と前後編のシリーズエントリーです。
11月3日、民主党は主要全国紙や地方紙の朝刊に、2009年衆院選政権マニフェストに対する批判を含め、次期マニフェスト作りへの参加を呼びかける全面広告を掲載した。
これは、今月10~11日及び17~18日に全国11ヶ所で開催する「政策進捗報告会」の参加者を募集する広告なのだけれど、その文末には「どうぞ厳しい声をください。すべて、受け止めます」とあることで、某掲示板界隈で話題になっているようだ。
厳しい声を下さいなんて、如何にも殊勝なことを言っているように見えるけれど、本当にそう思っているのであれば、国民にいうのもそうだけれど、それ以前に国会での野党の質問もすべて、受け止めなくちゃいけない。議員は国民の代表なのだから当たり前。
当然、国会での追求にもきちんと答えなくちゃいけないし、ジミンガーなんてしてはいけない。増してや、追求されるのが嫌だからと、予算委員会をぐずぐずと開かないなんて言語道断。
自民党の逢沢一郎議員のツイートによると、民主党は、臨時国会が開いたにも関わらず、本会議の日程だけを決めて、その後の予算委員会開催を受け入れず拒絶したという。
与党であるのに審議拒否。「すべて、受け止めます」なんて欠片すらない。
さて、国民の"厳しい声"を望んでいる民主党は、前回のマニフェストについて、一体、どのような評価を自ら下しているのか。
先日、民主党の政策調査会が、前回のマニフェストで掲げた166項目のマニフェストの検証結果をまとめ、報告している。調査会はマニフェストの達成状況について「実現」「一部実施」「着手」「未着手」の4つに分類し、高校授業料無償化、農業の戸別所得補償制度、国会議員の世襲禁止など51項目について「実現」したとしている。率にして34%ほど。
「民主党のマニフェスト、あれは何だったんでしょうか?」のエントリーでも触れているけれど、民主党は去年8月にマニフェストの中間検証を発表している。中間報告でも、今回と同様にマニフェストの達成状況を項目別に「実施」「一部実施」「着手」「未着手」に分け、180項目について分類している。
その中間報告では「実施」又は「一部実施」が56%、「着手」を含めると79%になると胸を張って宣言していた。180項目の79%といえば142項目。56%でも100項目になる。
それに対して、今回達成したのは51項目で34%だから、中間報告より減っている。仮に残りの14項目(180項目-166項目)が全部達成できたとしても36%にしかならない。全然届かない。
まぁ、中間報告は「実施」であって「達成」とは別のものだ、なんて言い訳を出来ないことはないけれど、56%だ、79%だと威張っていたくせに、蓋を開ければ3割そこそこでは、相当「厳しい声」が向けられることは間違いない。
これまでも何度か取り上げているけれど、民主党は、次の総選挙で、自民、石原新党、維新の会を「右翼」と位置付け、自分たちを「中道」の立場とすることで対立軸を取ろうとしている。
だけど、その中道路線について、野田首相が難色を示しているという。
10月30日、野田首相は安住、細野両氏から中道路線をマニフェストの柱とする考えを説明されたのだけれど、「自分は保守だ。『中道』は駄目だ」と答えたのだという。
中道と保守とで、一体どこかどう違うのか今一つピンとこないのだけれど、一応辞書的な意味でいえば、保守とは「旧来の風習・伝統・考え方などを重んじて守っていこうとすること。また、その立場」となるし、中道は「一方に偏らず、穏やかなこと」という意味になる。
つまり、何らかの守るべきものを守るのが「保守」であり、いろんな考え方の中から、どれかに偏よることなく、真ん中辺りを選ぶのが「中道」ということ。
だから、野田首相は、自分が保守だというのであれば、その「守るべきもの」を提示しなければならない。
だけど、今のところ、野田首相からそんな提示はない。
明日につづきます。
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