アベノミクスとマスコミが世間から孤立する日
総選挙が終わってこの方、マスコミのネガティブキャンペーンが喧しい。
やれ、「自民の比例票は増えてないから圧勝にみえても民意を反映していない」だの、「お友達内閣」だの、それをいうなら、3年前の民主党への政権交代のときになぜ言わなかったのか。
民主党が勝って政権与党についたときは「政権交代ついに実現」「歴史が変わった」と囃し立てておきながら、いざ自民に政権が戻った途端「何でもやり放題自公325議席」「これでいいのか!この国の政治」と叩く。まぁ、日刊ゲンダイを取り上げてどうこういっても仕方ないかもしれないけれど、他の大手マスコミも大なり小なり似たようなもの。
どうやらマスコミは、なんとしてでも自民を政権の座から引きずり降ろしたいらしい。
だけど、相場は安倍自民政権を歓迎している。19日の東京株式市場は、日経平均株価が一時、前日より100円以上値上がりし、10160円40銭で引けた。11月14日に野田首相が解散を宣言してから、実に17%も上昇している。また、円相場も、19日現在で1ドル84円台と解散時と比べて5円近くも安くなっている。
かつて、3年半程前に、どこかの政党の"イオン"幹事長殿が「政権交代こそ最大の景気対策だ」といっていたような記憶があるけれど、まさに、民主党が政権を手放すことが景気対策であったと証明した。
尤も、それは、次期総理と目される自民の安倍総裁のアナウンス効果によるところが大きい。
安倍総裁は、選挙前から、大規模な金融緩和を行うと宣言していたけれど、総選挙で勝利を収めた後も、着実に景気を刺激する"アナウンス"をしている。
例えば、2013年度予算をめぐり、野田政権が財政健全化へ定めた「中期財政フレーム」を見直し、国債費を除き71兆円以下に抑えるとした歳出枠を撤廃し、大型の補正予算を編成する方針を固めたのもそうだし、内閣参与に日銀の白川総裁の恩師で、金融緩和論者であるアメリカ・エール大の浜田教授を当てることもそう。
また、18日に安倍総裁が白川日銀総裁と会談して、2%のインタゲ導入を要請し、政策協定(アコード)を結ぶ方向で検討に入ったことや、政府の経済財政諮問会議を復活させて、日銀との連携を強化する意向を明らかにしたこともそう。
これらはまだ方針の段階で実現しているわけではないけれど、相場はこれならば、と将来を先取りして動いていく。
ここまで安倍総裁のアナウンス効果が効いてくると、ほんのちょっとした噂や発言でさえも、相場にとっては材料となってしまう可能性が出てくる。
例えば、麻生氏を副総理兼財務相として入閣させるという話だって、まだ組閣前の憶測段階にしか過ぎないのだけれど、本当に麻生氏が財務相となれば、相当強力な財政出動を実施するだろうと思われるから、相場はそれを織り込んで先に動いていく。
また、先日、テレビ番組で、みんなの党の渡辺代表が、衆院選で各党党首が共演したテレビ番組の合間に安倍総裁と会話した際に、日銀の白川総裁について「来年4月の総裁任期満了まで務めると経済は良くならない」と言うと、安倍総裁は「はやく辞めてくれないかな」と発言したと暴露しているけれど、これだって、白川総裁を早期退陣させて、景気回復が前倒しするかも、という動意材料にもなりうる。
更に、安倍総裁には日銀法改正も視野に入れるという隠し玉もある。これについては、石破幹事長が反対の意向を示しているから、やるのかやらないのか分からない程度でちらちらと牽制している段階だけれど、これとて動意材料になる。
要するに、政治が本気になってやるという強い意志を示した場合には、そこから期待や思惑が生まれ、相場が動き、景気が動いていくということ。
静岡県立大学の本田悦朗教授は、デフレ脱却のカギとして、「金融政策が非常に重要だ。日銀が政府と政策協定(アコード)を結んで強いコミットメント(約束)を示し、市場に信認させれば、まず金融機関の『期待』が変わる。投資家のインフレ期待が出て、株価が上昇すれば企業の業績(バランスシート)が改善し、将来の売り上げを見越して賃金が上がれば家計も良くなる。そういう良い循環が徐々に芽生える」と述べている。
期待が景気を回復させる。
現に、組閣も首班指名すらされていないこの状況で、相場は動き始めている。市場関係者の間では来年3月にかけて日経平均株価は1万1千円に達し、為替相場も1ドル89円まで円安が進むとの強気の見方も出ているという。正に期待先行相場ではあるけれど、実行が後でついてくれば、その期待は本物に変わる。
安倍総裁としては、総理就任後やりたいことや、やらなければならないことが沢山あるとは思うけれど、出来うるならば、来年夏の参院選までは、景気対策を最優先して、それまでの半年間で景気回復の兆しが見えるところまで引っ張っていっていただきたいと思う。
景気対策に注力して実績を出すことができれば、高い内閣支持率をキープできるし、必然的に来年夏の参院選での勝利も見えてくる。それになにより、景気回復は、マスコミの安倍バッシングを払いのける一番の力になる。
民主党政権で少しも回復しなかった景気が、"アベノミクス"で回復したとなれば、マスコミがいくら「お友達内閣」だの「カツカレー」だの、「漢字が読める読めない」だの、あることないことで叩いたところで、世間は「それの何処が悪いのか」と思う。いまの世間は、これまでがあまりにも酷かったお蔭で、政治が生活に直結していることを身に染みて感じている。結果が全てという言葉が今ほど求められているときはない。
そんなときに、結果と関係ない"くだらない事"でいくら叩いたところで、相手にされない。マスコミは自分のネガキャンで自身の信頼を失う。その時、マスコミは世間から孤立していくだろう。
この記事へのコメント
kirin
そして馬鹿なマスコミが期待に冷や水をぶっかけている。
sdi
今、彼らもこう考えているのではないでしょうか?「まずい、今までのやり方では今までのように世論が乗ってこないかもしれない。」とね。
私は今後マスコミは安倍新政権を政策面で叩くのではなく、政権メンバーの関係者(本人ではない)に対する身の下攻撃の比率を増やしてくるのではないか、考えて
洗足池
mony
ひがみもそこまでいくと見苦しいですな。
とおる
しかし、反省も変化もせずに、旧態のままの利権・談合・守旧派のまま。