調子に乗り過ぎるなよ中日新聞
何やら、中日新聞のコラムが話題になっているようだ。
話題になっているのは、1月29日付の「夕歩道」というコラムで、内容はこちらを参照していただければよいと思うけれど、要は、アベノミクスに対する批判。だけど、その文章は非常にくだけているというか、何というか、ちょっと公共媒体に載せるにしては、下品に過ぎる。最後の一文などは、単なる野次と変わらない。
ただ、こちらのサイトで指摘されているように、この中日新聞のコラムに書かれているインフレターゲットの説明については、別に的外れというわけではないようだ。
中日新聞のコラムでは、インフレターゲット政策について「ゼロ金利以下には金利を下げられないから、物価2%になるまで金利は上げません、という時間を使ったいわばマイナス金利なのさ」と、非常に簡潔に説明している。
通常、金利と物価は連動するのが一般的で、物価が上がると金利も上がり、物価が下がると金利も下がる正比例の関係にあるとされる。
だから、物価を上げたい、即ちインフレにしたいと思ったら、政府は市場金利が上がるような政策を取ることになる。だけど、政府が「金利よ上がれ」といって、金利が上がるのであれば、誰も苦労しないわけで、「市場」では、金利は、需要と供給のバランスで決まる。
それでも、一昔前は、市場金利は割と直接的に操作することが可能だった。日銀が国内の民間銀行へ資金の貸付を行うときに適用される基準金利のことを公定歩合と呼ぶのだけれど、1994年9月までは、国の政策で国内民間銀行の金利は、公定歩合と連動するように法律で規制されていた。従って、政府は市中金利を誘導したいと思ったら、日銀と連携して、公定歩合を操作して、市中金利を誘導することができた。
ところが、1994年10月から民間銀行の金利が完全自由化され、日銀の公定歩合操作による市中金利の誘導はできなくなってしまった。
そこで、日銀は公定歩合を操作する代わりに、民間銀行から国債や手形といった有価証券を短期金融市場(無担保コール翌日物)から買い取る、又は売り払う作業を行うことで、間接的に金利を誘導するようになった。日銀が買い取ることを「買いオペレーション」、反対に売り払うことを「売りオペレーション」という。
日銀が「買いオペレーション」を行うと、市中に買った分だけの通貨が更に供給され、金利は低下する。逆に「売りオペレーション」を行えば、市中に売った分だけ通貨が日銀に回収されて供給が減り、金利は上昇する。
日銀が買いオペ又は売りオペを行う、短期金融市場の金利(無担保コール翌日物レート[無担保コール・オーバーナイト物レート])は、2013年1月29日現在で平均0.079%。この0.1%以下の金利は、事実上のゼロ金利政策と見做されている。
1月22日、日銀は、政府との共同声明を発表し、物価安定の目標を「2%」と定め、「金融緩和を推進し、できるだけ早期に実現することを目指す」とした。
だけど、今のように、短期金融市場の金利が0.1%以下という、殆ど金利ゼロの状態では、ここから金利を下げる余地なんて殆どない。では、ここからどうやって、物価目標2%にしていくのか。
物価をコントロールするために、金融政策をどのようにすればいいのかということについては、昔からいくつかのルールが提唱されていた。
有名なのものとしては、ミルトン・フリードマンが提唱した「k%ルール」がある。これは、ひらたくいえば、貨幣の供給量(マネーサプライ)をk%という一定率で供給し、あとは、市場に任せて安定するのを待つという金融政策。
1979年にアメリカのFRB議長に就任したポール・ボルカーは、フリードマンの「k%ルール」を用いた金融政策を実施したのだけれど、名目金利が激しく乱高下し、不況になってしまった。そして、結局、1982年に「k%ルール」は撤廃された。
…ここまで書いて力尽きました。明日以降につづきます。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
金融政策のみで利率は上がらんと思う.
しかも, いわゆる金融理論は米国の投資家の
様に儲けるためなら何でもやる場合しか
当てはまらない.
安倍政権が日銀に言っているのは, 政府が
投資をして資金需要が出始めた時に日銀が
政府を裏切るなよ, と言うことだと思う.
中日新聞は今後イオン(御用立)新聞と呼ぶべきでは.
旅丘
ついでに言えば、2%程度のインタゲで「調子に乗る」なんてのはあり得ない話。むしろこれでも低すぎるぐらいだと思いますが。