某国の官制テロに備えよ

 
昨日のエントリーのつづきです。

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アルジェリア人質事件で、1月19日、アルジェリア軍が人質救出に向けて施設内に突入し、外国人人質7人が死亡したと、治安当局が発表した。死者には日本人1人のほか、米国人2人、英国人1人も含まれているという。

犯人側に近いモーリタニアのANI通信などによれば、武装集団は19日の時点で少なくとも7人を人質にしていて、人質はノルウェー人と米国人、英国人、日本人であるとした上で、体に爆発物を巻き付け、軍が救出作戦を強行すれば殺害すると警告していた。

イギリスのテレグラフは、アルジェリア軍が強行突入した理由を、テロリストが人質7人とともに逃亡する望みを失い、人質の処刑を開始したため、アルジェリア軍特殊部隊は突入を余儀なくされたとする一方、特殊部隊が人質の処刑だけでなく、犯行グループからの銃撃に反応した可能性や、17日の制圧作戦から48時間が経過して「忍耐を失った」可能性も伝えているようだ。

治安当局は救出作戦が終結したとして、事件現場では軍や警官計約300人のほか、施設の警備関係者も加わり、人質が建物に隠れていないか捜索している。

アルジェリア内務省は、軍の人質救出作戦終結を受け、4日間に及んだ事件で人質23人と犯人グループ32人が死亡したと発表。作戦により107人の外国人人質と685人のアルジェリア人人質を解放したことも明らかにしたものの、依然として安否確認が取れていない日本人は10人に上る。アルジェリアのセラル首相は20日、安倍総理との電話会談で「このような結果となり遺憾だ。全テロリストは降伏した」と述べ、菅官房長官によると、複数の邦人について「厳しい情報」が伝えられたとしている。

現地はアルジェリア政府軍が警備にあたっていたのだけれど、それでも、このような事態になってしまった。銃撃戦の最中、トラックの下で息を潜めていたことで命からがら脱出した「日揮」の日本人男性は、当時の状況を生々しく伝えている

今後は、現地法人含めて、一層の危機管理強化が求められることになるのは間違いない。



1月19日、茂木経産相は、読売テレビの番組で、「企業の側でも政府側でも、こういった事態に備えられる体制を再構築していきたい」と述べ、番組終了後、「企業も強化していただきたい。各大使館においても緊急事態にどう対応するか準備を進めないといけない」と、事件収束後、対策づくりに着手する意向を示した。

また、同じく19日、小野寺防衛相は、自衛隊による在外邦人救出のための国内法整備について「現地での武器使用基準や憲法の問題など、いろいろな制限がある。法律として制限を緩やかにする場合、幾つか乗り越えなければいけない壁があるので、そこの検討をする必要がある」と述べている。

自衛隊法では、海外での紛争や災害などの際、日本人の輸送を行うことが任務として定められているけれど、現在は飛行機による輸送しかできないことになっている。だけど、当然のことながら、現場の近くにいつも飛行場があるとは限らない。だから、その場合は、飛行場までの陸路の警護はどうするのか、という問題が出てくる。従って、在外邦人救出の場合は、自衛隊を陸上でも活動できるようにするなどの法整備が必要となる。迅速な対応が求められる。

それに、こうした事件は、いつどこで起こらないとも限らない。

特に筆者が気にしているのは、同じようなことが中国国内で起こって、邦人が人質に取られたとき、政府がきちんと対応できるのか、ということ。

実は、既に、似たようなことが上海で起こっている。1月18日、川崎市に本社を置く神明電機の子会社「上海神明電機」の上海工場で、労働条件に反発した中国人の女性工員らに工場が占拠され、社長室に日本人7人と経営側の中国人5人、別の部屋にも日本人3人と中国人3人が軟禁される事件が起こっている。

19日には、社長室がある4階の事務室や廊下を約500人の工員が占拠し、18日夜まではトイレに行くことも許されず、空のペットボトルが投げ込まれたという。結局、19日の午後11時半頃に中国警察が突入し、閉じ込められた人々は解放されたのだけれど、もしも、占拠したのが工員でなく重武装のテロ組織だったとしたら、そのまんまアルジェリアのケースと同じになる。

まぁ、こういう考えは、あまりにも穿ちすぎだし、常軌を逸しているとは思うのだけれど、ひとつの可能性として、もしも、中国自身がヤラセのテロ組織を作って操り、邦人を拉致監禁するなんてことが起こったらとしたら…。

昨年夏に起こった中国反日デモは"官制"だったと言われている。雲隠れしていた習近平が表に出てきた途端、反日デモは収束していった。

これが本当であれば、同じ理屈で、中国が官制のテロ組織を作ることだって出来てしまう。その中国官制テロ組織が、例えば、中国に進出した企業の社長や社員を連れ去って、「尖閣と沖縄は中国の領土である。認めなければ人質を殺害する」なんて脅してきたらどうするのか。

そのときは、おそらく、日本国内の朝日などのマスコミに手を回して、人命には代えられない。尖閣を割譲し、沖縄は共同統治で手を打つべきだ、などと煽ってくるだろう。

そのような状況で、テロには屈しないとか、テロリストとは交渉しないという態度を貫けるのか。そうした事をも頭の片隅に入れて、法整備を進めていく必要があるのではないかと思う。




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この記事へのコメント

  • 日比野

    「ど」の字様、コメントありがとうございます。

    >アルジェリアのテロ自体、共産中国との関連が疑われています。

    色々と噂が出ているようですね。証拠がないので、記事にはしませんでしたけれども、気になる噂ですよね。御指摘のとおり、注視が必要かと思います。
    2015年08月10日 15:23
  • 「ど」の字

    アルジェリアのテロ自体、共産中国との関連が疑われています。
     どうも首謀者モフタール・ベルモフタールは(イスラム教迫害の)共産中国と繋がっていた件とイスラム圏ご禁制の麻薬などを扱った廉で、アルカイダ系テロ組織AQIMを追放されている模様。

     もし直接この件が共産中国と結びついている証拠が出てきたら、世界情勢が一変しかねません。
     各国が本気になって諜報に取り組み始めましたから、いずれ詳しい情報が出てくるでしょう。目が離せません。
    2015年08月10日 15:23
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    まず情報を得ることが重要に思える.
    アルジェリアの場合にも「座布団」と
    「伝馬船」が(なんのこっちゃ!)が情勢収集
    に当たるべき武官の派遣を妨げていたという.

    日本の場合, 基本はしっかりしているのだから,
    官僚の(つまり, メディアの言う)平和的手法
    に惑わされずに政治家が責任を持って国民の
    安全を守ることのできる体制を整えるべき.
    そのためには, まず責任ある政治家に
    情報を上げることが重要だ.
    2015年08月10日 15:23

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