アルジェリア人質事件
1月16日、アルジェリア南部のイナメナスにある天然ガス関連施設で、邦人を含む多国籍の駐在員数十名が、イスラム聖戦士血盟団によって拘束される事件が発生した。
アルジェリア政府は関係国政府が反対や自粛を要請する中、アルジェリア軍によるヘリによる空爆や強行突入を敢行。アルジェリアの国営テレビは、犯行グループに殺害された人質7人の国籍は不明としたうえで、事件発生後の人質の死者数は合計25~27人となると伝えているそうなのだけれど、今なお、情報は錯綜しており、詳しいことは分かっていない。
邦人駐在員らが拘束されたプラント建設大手「日揮」は、18日夜の時点で、安否不明の17人のうち7人の無事を確認している。
今回の事件の原因として、今の所、大きく2つの見方が浮上している。ひとつは報復、もうひとつは金。
前者についていえば、フィナンシャル・タイムズによると、事件を誘発したのは、フランスによるマリへの軍事介入だという。
アルジェリアに国境を接するマリは、その北部がイスラム過激派「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(Al-Qaeda in the Islamic Maghreb:AQIM)」に支配されているのだけれど、マリ政府から要請を受けた、旧宗主国のフランスは、AQIMの南進を阻止するために、1月14日から北部地域の空爆を開始していた。今回の人質事件はそれに対する報復だとフィナンシャル・タイムズは指摘している。
また、ニューヨーク・タイムズも、今回の事件は、フランス空軍がマリ北部地域空爆のためにアルジェリア領空を通過することを認めたことに対する報復行為だとするAQIMの主張を掲載している。
また、後者について、ニューヨーク・タイムズは、過激派組織の資金のかなりの部分が身代金によって賄われているとしている。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、アルカイダ系組織が米国人を人質に取ることは稀であり、これまで比較的弱小と見られてきたAQIMに大きな変化があったとの見方を取り上げている。ニューヨークタイムズは、実行犯が重装備であったと報じているのだけれど、どうやらリビアからアルジェリアに武器が大量に流れ込んでいるようだ。
この件について、中東・国際政治専門の高橋和夫・放送大学教授は、「アルジェリアは1962年にフランスから独立しましたが、リビアのカダフィ大佐が権力を握っていたときはリビアとアルジェリアの国境は抑えがきいていましたが、リビアの独裁政権が倒されて以後は抑えが効かなくなって、現在はリビアからアルジェリアに大量の武器が流れ込んでいます」とコメントしている。
アルジェリアは長い間、イスラム過激派と対立してきた。特に、1990年代には、アルジェリア政府とイスラム原理主義勢力の内戦によって、約15万人にも及ぶ犠牲者を出した末、ようやく和解した過去もある。
このとき、「聖戦」を唱える一部の原理主義者は、追われる形で隣国マリに流入し、その後、アルカイダの分派「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」として集結したのだという。
この「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」から更に分派したのが、今回の犯行を行なったとされる「イスラム聖戦士血盟団」。
「イスラム聖戦士血盟団」は、アルジェリア出身のモフタール・ベルモフタールによって結成された組織で、2012年12月に「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」から分派。現在の構成員の数は200から300人と言われている。
モフタール・ベルモフタールは、アフガニスタン内戦に参加した過去があり、2007年頃から、「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」もしくは独自の武装組織を率いて、アルジェリアやマリ共和国、ニジェールなどを中心に身代金目的の外国人誘拐や、南アメリカから欧州へ流入するコカインの中継や武器の取引などを活発化させ、密輸男爵の異名を持つ。
2011年からは、軍事的な行動をエスカレートさせ、4月にマリ中央部の都市ガオで、アルジェリアの外交官7人を誘拐。7月には、アルジェリア警察施設を攻撃する事件も起こしたとされ、アルジェリア国内では欠席裁判にて、死刑を宣告されている。
こうしたことから、アルジェリア政府にとって、モフタール・ベルモフタールは決して妥協できない相手であり、アルジェリア軍による強行突入も予想されたことだという。
今回の軍事行動に先だって、アメリカ、イギリスの両国は、事前に特殊部隊の派遣なども打診していたそうなのだけれど、アルジェリア政府は「自分たちだけでやる」と突っぱねたと伝えられている。
イギリスの安全保障専門家は 「英国は人質を救うことを優先するが、アルジェリアはテロリストの殺害を優先する。人質救出はおまけだ」と解説し、アルジェリア情勢に詳しい専門家も、「アルジェリア政府はテロリストと交渉しないことで知られる。 こうした事件の際には人命尊重などは考えない」とコメントしていることから、おそらく各国首脳は、アルジェリアがこうした強硬策に出ることは有る程度予想していたのではないかと思われる。
アメリカ、イギリス、フランスなど、関係各国は、今回のアルジェリア政府の対応に不満を顕わにしている。彼らにしてみれば、テロ集団に対して攻撃をするにしても、夜襲にするとか、一週間くらい待ってテロリスト達が疲れるのを待ってからというのが、普通なのだけれど、アルジェリア政府は、事件後間をおかず、更に、アメリカの無人偵察機が上空から情報収集に入っている最中の真昼間に攻撃を始めている。
今後、この対応を巡って、アルジェリアに対する各国の見方や対応に影響が出るかもしれない。
ともあれ、人質になった人達の無事を祈りたい。
この記事へのコメント
opera
今回のエントリーでは欧米系の外電がうまくまとめられているので、ちょっとだけ追加情報を。
以下のブログは、中東に問題が生じるといつもお世話になっているブログで、アルジャジーラ等のアラブ諸国の報道の翻訳がメインになっています。
○中東の窓
http://blog.livedoor.jp/abu_mustafa/
*アルピニスト・野口健さんのお父さんで、元外交官・野口雅昭さんのブログ。
また、チラ裏レベルの話ですが、以下のような情報もあるようです。
・ゲリラより現地軍の方が普通怖い
http://ameblo.jp/kogenhamahama/entry-11451560887.html
ちび・むぎ・みみ・はな
不安定になっているし, 中東も不安定なままだ.
これらは全てオバマ大統領の責任であろう.
オバマ大統領はアジアも不安定なままにして
北アメリカに引き籠り社会主義的国作りに
邁進するのではないか.
ところで, 国連機関が放射能の影響に対する
線形仮説を自ら否定したようだが, .....
白なまず
何れにしても、イスラム、キリスト、ユダヤの様な戒律のある宗教が無くなるのは時間の問題です。お金も駄目、宗教も駄目なら勝手に戦争を起こせなくなり、石屋は偽ルシファーにお願いするしかないでしょうね。でも、偽物は彼らの創作物なので、幾ら儀式をしても何も起こりません。今までは、金と権力で偽物があたかも存在するかのように見せかけていただけです。何しろ神を最も信じていないのは彼らでしょうから。
ひふみ神示 五十黙示録 第01巻 扶桑の巻 第二帖
、、、戒律をつくってはならん、戒律がなくてはグニャグニャになると思ふであ ろうなれども、戒律は下の下の世界、今の人民には必要なれど、いつまでも、そんな首輪はいらんぞ、戒律する宗教は亡びると申してあろうがな。
阿鼻叫喚
襲撃されたガスプラントのオーナー;英BP社=ロスチャイルド系
襲撃テログループ;アルカイダ系イスラム過激派=ロックフェラー系
これはもしかしてロスチャイルド対ロックフェラーの代理戦争?
それとも911同様に完全なヤラセテロ?
どちらにしても巻き込まれた日本人他多数の一般人には傍迷惑な事件。