挑発をエスカレートさせる中国と尖閣局地戦

 
1月10日、日本の防空識別圏に入った中国航空機に空自がF15をスクランブルさせたことに対し、中国も戦闘機を発進させる事件があった。

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ただし、中国軍機は間もなく防空識別圏から出たことで、領空侵犯にはならなかったようだ。

1月11日、中国国防省はこの件について、「東シナ海のガス田の南西で正常なパトロール訓練を実施していた早期警戒機『Y8』1機に対し、日本のF15戦闘機2機が近距離で追跡してきたため」と主張し、中国国防省の報道官室は、「中国軍は証拠収集と監視のために戦闘機『殲10(J10)』2機を発進させた。このところ頻発している日本の戦闘機によるパトロール妨害活動に対し、高度の警戒態勢を維持するだろう」と発表。

また、中国外務省の洪磊報道官は記者会見で「中国軍用機の東シナ海での飛行は定例的なもの。日本が事態を拡大させ、緊張を高めていることに対し反対する」と述べた。

中国の一連の行動は、海上だけでなく上空でも日本の尖閣諸島の実効支配を無力化する狙いがあると見られている。

このように、中国の挑発行為は日に日にエスカレートしているけれど、とうとう日本だけでなく、アメリカに対しても挑発をするようになってきているようだ。

1月10日、東シナ海上空の日中中間線付近を飛行していたアメリカ海軍のP3C哨戒機と空軍のC130輸送機に対して、中国軍の戦闘機がスクランブルし、執拗に追尾していたことが明らかになっている。

日本政府高官によると、自衛隊機だけでなく米軍機にも、しつこくつきまとっているのだという。中国側のスクランブルは10日から過激になったそうで、挑発段階をひとつ上げてきたように見えなくもない。

中国は、自国機の日本の防空識別圏侵入をパトロールだとし、日本側のスクランブルをパトロール妨害活動だと主張している。だから、仮に、次の段階として、中国戦闘機が領空侵犯をして、日本側が曳光弾による警告射撃をしたとしても、それを日本側の攻撃だとして、逆に攻撃をしてくる可能性がある。まるでヤクザの当たり屋。

16日にはアメリカのキャンベル国務次官補とリッパート国防次官補がそろって来日し、日本側と協議するようなのだけれど、今月14日頃から約4か月、F22の一個中隊12機と約300人の空軍兵を嘉手納に暫定配備をするのも、それに連動したことではないかと思われる。

アメリカ空軍は暫定配備の理由を「西太平洋における安全上の責務を果たし、平和を維持する米国の決意を示す」と説明しているところからみると、万が一の事態をも想定している可能性がある。

ただ、12機とはいえ、F22を嘉手納に配備する意味は大きく、尖閣周辺の制空権(航空優位)は確固たるものになる。

それでも、中国は強硬路線を引っ込める様子は微塵もない。



アメリカの中国語ニュースサイト多維によると、 習近平総書記が、昨年12月10日に広東軍区司令部を訪れ、 「いつでも戦争ができなければならず、その戦争は必ず勝たなければならない」と述べたとし、最悪の場合、日本との局地戦も辞さないという強硬立場を守っていると伝えている。

実際、人民解放軍の総参謀部が全軍に向けて出している2013年の「軍事訓練に関する指示」の中で、「戦争準備をしっかりと行い、実戦に対応できるよう部隊の訓練の困難度を高め、厳しく行うこと」と記していて、2012年までの「軍の情報化や部隊間の横の連携の重要性」といった軍事訓練指示とは大きく変わっている。

また、中国国内メディアも戦争を煽っている。日本と外交交渉を通じて尖閣問題の解決を主張する学者らはほとんどメディアに呼ばれなくなり、今年に入ってからは、主戦論が中心となり、対日戦争を小規模にとどめるか、全面戦争に突入するかが論議の的になっていて、小規模戦争を主張する人はハト派と呼ばれ、批判される状況にあるそうだ。

これが本当であれば、中国は国を挙げて、日本と戦争しようとしていると解釈する他ない。今は、口実がないから戦端が開かれていないだけで、一朝事あれば、一気に戦闘状態になってもおかしくない。

それにしても、何故、ここまで中国は強硬路線をひた走るのか。

軍事評論家で元空将の佐藤守氏は、有人の中国ウォッチャーからの話だとして、「習近平を筆頭に今の中国指導部の頭の中は毛沢東思想のみ。彼らは中学時代に『毛沢東語録』を振り回しただけで勉強もせず、高校も大学も出ていないから、日本人には理解できない行動をとるだろう。今年の夏ごろが一番危険だ。7・7(7月7日)は盧溝橋事件の日、彼らはもう一度日本に戦争を仕掛ける気だ。尖閣問題で中国に気を使って譲歩したらダメ、譲歩しようとしまいと、彼らは決めたことは必ず実行する。そうしなければ彼らの居場所は中国には無くなるから」と告げられたことを紹介している。

1月4日、香港の中評社は「中国はもう引き下がらない 日本側の認識の欠如」という記事を掲載し、「尖閣諸島は中国の陸上空軍基地から300キロから400キロほどしか離れていないが、日本の那覇空軍基地からは450キロ以上も離れている。…日中両国の航空機の機種を比較すると、中国はJ-10、J-11および第3世代航空機を保有しており、性能面で日本に負けていない。…日中の戦闘機が対峙した場合、中国側は完全に主導権を握ることができるだろう。」としているだけど、F15Jの戦闘行動半径は1800kmあって、尖閣だろうと対応可能だと思われるから、この距離で有利不利がでるとは考えにくい。また、性能面で互角でも、パイロットの練度は訓練時間からみても空自が上だし、そうそう空自側がやられるとは思えない。その上、F22が加勢にくるともなれば、中国側の勝ち目は薄いとみるのが妥当だろう。

それに、宮古島あたりに陸自の88式地対艦誘導弾(SSM-1)を配備すれば、尖閣諸島がギリギリ有効射程に入るので、海上から近づく艦船も迎撃可能になる。

だから、通常兵器で戦う限り、そう簡単に尖閣が占領されるとは思えないけれど、それでも、中国がここまで強硬に出てくる以上、軍事的・物理的対応は必須。"市民"が平和を唱えるだけでよかった時代はとっくに終わっている。




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この記事へのコメント

  • 日比野

    丸山翁、御無沙汰しております。ブログ拝読させていただきました。なるほど「鉄のトライアングル」ですか。また中国人にとって、習近平はカリスマたる存在であり、農村農民の期待を集めているのであれば、国内の腐敗排除に力を入れるのも道理というものです。ただ、その期待が裏切られることになれば、そのカリスマにも陰りが出そうですね。
    2015年08月10日 15:23
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    安倍政権はアジアの海を守る外交を広げている.
    連携が強まるにつれて尖閣諸島への支那の手出しも
    アジアの海の平和への攻撃と国際的に認識されよう.
    自衛隊の尖閣諸島への駐留で積みとなる.

    そうなると支那は全面戦争以外の手はなくなるが,
    日本本土への攻撃を言い出した途端に支那の
    経済的破滅が決定する. EUも日本側に組すれば
    得意の後出し立法で支那が持つ債権はチャラにできる.
    その時, 中共政府に対する共産革命が起きるだろう.

    とすれば, 安倍政権の外交の重要性・緊急性が分かる.
    国内的にも国際的にも現政権は既に戦いの真最中だ.
    2015年08月10日 15:23
  • 洗足池

    尖閣問題を平和的に解決する方法が一つある。

    沖縄が日本から独立し、琉球処分以前の独立国家に戻ることだ。これによって尖閣は沖縄国と中国の間の問題となり日本とは関係がなくなる。沖縄米軍基地の問題も沖縄と米国間で解決するべき事となる。尖閣が江戸時代までは日本の領土でなかった事は林子平の地図から明らかだ。

    小さな無人島に巨額の防衛費を費やすのは狂気の沙汰だ。沖縄が独立すれば大都会の日本人が支払う交付金、補助金が大幅に節約できる。尖閣で大騒ぎする連中は税金を殆ど納めていない貧困層だろう。「金持ち喧嘩せず」とはよく言ったものだ。
    2015年08月10日 15:23
  • sdi

    習主席率いる北京の党中央がそう簡単に引き下がらない(引き下がれない?)という見解には同感ですが、その動機を文革の紅衛兵教育に置く見解には私も反対です。もし、あの時代に起きたことに原因を求めるなら、文革のときに中国全土で吹き荒れた密告・粛清運動のほうでしょう。あの時期の中国はそれこそ「誰かを密告せねば自分が密告される」ような状況で、自分が実権派でないことをことさら誇示するため毛沢東語録を掲げ「進んで」下放運動の先頭に立つようなことをせねばならなかったことのトラウマのほうが大きいと思います。そのことが習主席は権力を失うことへの過度の恐怖を覚えているのではないでしょうか?。
    以前、防大教官の方の話を聞く機会がありましたが「抑止力とは仮想敵国が自国にもつイメージである。此れが一手打ったとき、彼が打つ2手目が見え、それに対する此れの3手目、彼の4手目が明確にイメージできると動けない」日本の場合、北京の党中央が1手に対して日本が打つ2手目がイメージできていない現状こそ憂うべきでしょう。まして、日本が先手を指した時に中国の2手目それに対する日本の三手目・4手目をシミュレートして対応策を立てているなら
    2015年08月10日 15:23
  • 丸山光三

    ごぶさたしております。
    佐藤空将閣下のブログの該当箇所ですが、わたしも気になって閣下にコメント差し上げようと思っていましたが時期を失しました。習近平の世代はたしかに紅衛兵の世代(しかし尻尾の方)ですが、習本人は父親・習仲勛が文革前に失脚していたので紅衛兵にさえなれませんでした。紅衛兵になって暴れまくったのは例えば薄熙來などの輩です。習近平は熙來などの高級幹部子弟が下放を免れ軍隊内に逃げ込んだのとは異なり、紅衛兵でもなかったのに陝西省のど田舎に下方され辛酸を舐め社会の最底辺の農民の暮らしを身を持って体験しています。そこが他の高級幹部子弟とは異なる点であり、シナ人民が習に期待する点でもあります。
    ゆえに、佐藤空将閣下に誤った情報を吹き込んだ「友人」がほんとうにチャイナ・ウオッチャーならそんな知識がないはずはないので、空将閣下のお立場を知って故意にミスリードしようとした節があります。日「中」が戦争に突入することで何か利益を得る者でせう。
    安倍総理のご指導によりわが国が「戦争が出来る国」になることが戦争を回避するベストな戦略です。戦争ができない「平和憲法」に縛られる日本こそが中共軍の侵略の野心
    2015年08月10日 15:23

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