アベノミクスを生む根源を理解できない民主党

 
2月18日、参院予算委員会で、野党から「アベノミクス」を評価する発言が飛び出したと報道されている。

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これは、質問に立った民主党の小川敏夫氏が、「首相の発信力はなかなかだ。それに反応して円安になり株価が上がったのは事実だから正しく評価しよう」と述べたものを指してのことなのだけれど、筆者が、その予算委員会の動画を見る限り、小川氏と安倍総理、麻生財務相との質問と答弁が全然噛み合っておらず、正直言って、筆者には小川氏が何を質問したいのかさっぱり分からなかった。

小川氏は、むにゃむにゃと、「民主党政権下でも『当面は1%めど』とする物価安定目標を掲げてやっていた。今回のアベノミクスの2%目標と同じである、ゆえに安倍総理は民主党時代の政策を続けただけだ」ということを一生懸命言っていたけれど、安倍総理から、「実際に市場が反応したかどうかが全てだ」と瞬殺されていた。

確かにそのとおり。民主党は1%目途目標を出したかもしれないけれど、市場は反応しなかった。民主党の言うことなんか市場は誰も信用しなかった。民主党にそんな手腕、覚悟などないと見透かされていたということ。

だけど、安倍政権がインフレターゲット2%を掲げてやると宣言した途端、市場は反応した。自民政権なら、本当にやるだろうと信用した。その期待が円安になり、株高になった。

この差は一体何が原因なのか。まず一つは、自民と民主の間に、政権としての実力、政権運営能力に明らかな差があるということ。自民には政策をやってのける力がある、と"みんな(市場)が思っている"から、市場が動く。本当にそうなると思わせるだけの実力があると皆が認識していた。それが一つ。

もう一つは、今回の「アベノミクス」で、はっきりとインフレターゲット、物価安定目標を設定したということ。つまり、「達成するまで止めない」と宣言しているということ。予算委員会で安倍総理も答弁しているように、これまでは、金融緩和をしてデフレギャップが埋まりつつあった局面で、それを途中で止めてしまったことが失敗だったと述べている。この発言は非常に重要で、これこそが「達成するまで止めない」という宣言そのもの。これが市場の更なる信頼を生む。

そして、最後に、先の衆院選の大勝利。参院でねじれがあるものの、自公で衆院総議席の3分の2を超える325議席を獲得したという事実がある。これで、たとえ参院で否決されたとしても、最後の手段として衆院3分の2で可決できる。これで、余程のことがない限り、政策の停滞を避けることができる。この安心感も、市場のマインドを後押しする部分があるだろう。

こうした明らかな違いがあるにも関わらず、小川氏は「言葉だけで国民にあたかもそうであるかのような期待を持たせているだけ」とし、「アベノミクスではなくアベノマジックだ」と批判している。本当に分かっていないのか。



一見、民主と自民で同じインタゲを設定したにも関わらず、民主は結果に結びつかず、自民のは結果がでているという事実が悔しいのは分からないではないけれど、それを単なる言葉の問題だという次元だけで捉えているうちは、何億年経っても、民主党は経済を活性化させることなどできないだろう。

まぁ、個別の議員の中には、経済を分かっている人もいるのかもしれないけれど、民主党という党として考えたみた場合、その経済に対する考え方には首肯しかねるものが多いように思う。

2月18日、民主党は24日の党大会で決定する「2013年度活動方針」の原案を示しているけれど、そこでは、夏の東京都議選と参院選を「民主党の存亡を賭けた重大な政治決戦」と位置づけ、他の野党と共闘し、参院での与党の過半数阻止に全力を挙げるとしている。

存亡をかけて戦うのは、勝手にどうぞ、としか思わないけれど、安倍政権に対する方針として、「将来世代への負担先送り、新自由主義的な経済政策などが復活しようとしている。古い自民党政治の復古と対峙する」と対決姿勢を鮮明にしたようだ。

一体、何時の間にアベノミクスが「新自由主義的な経済政策」とやらに変身したのか、筆者は寡聞にして知らない。

新自由主義とは、政府などによる規制の最小化と、自由競争を重んじる考え方であるけれど、アベノミクスは、金融政策と財政政策、そして成長戦略という「3本の矢」を連動させて経済を刺激するという方法。だから、政府主導による金融緩和と、財政政策、即ち、公共投資による雇用の創出を考えると、アベノミクスはケインズに近いと捉えるべきだと思う。

また、民主党は、同じく18日に党の綱領の最終案を決めているけれど、そこでは、「生活者、納税者、消費者、働く者の立場に立つ」と明記し、「既得権や癒着の構造と闘う改革政党」と位置づけているようだ。

どうして、こういう人達は、壊すばかりで、「創り上げる」とか「創造する」とか、「生み出す」とか生産的な方向に考えがいかないのか。

確かに創造の前には破壊が必要なこともあるから、一概に破壊することそのものを否定はしないけれど、この3年半、民主党に政権を持たせて、彼らがやったことは、日本を破壊することだけだった。何も新しいものは生まなかった。だから衆院選で彼らは敗北した。それなのに、この期に及んでまだ"破壊する"という。全く分かっていない。

2月17日、民主党の細野幹事長は、滋賀県内で開かれた集会で、「本当に民主党は要らないのか、消えてなくなっていいのか」と訴えたそうだけれど、自らの敗北の理由を分からない限り、日本に民主党は要らない。きれいさっぱりと消えて無くなって貰って、一向に構わない。




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この記事へのコメント

  • 日比野

    ちび・むぎ・みみ・はなさん

    >支那がパキスタンに港を確保したらしい

    戸締りさんのブログのコメントはまだ読んでいませんけれども、パキスタンだとおそらくグワダル港のことかと思います。

    これについては、2011年10月に取り上げたことがあります。
    http://kotobukibune.at.webry.info/201110/article_20.html

    ポイントになるのは、やはりインドかと。今、安倍政権は、ミャンマーに手を出していますけれども、そろそろユーラシアクロスロード構想も考えていいかもしれませんね。


    55様。コメントありがとうございます。

    >TPPにしても規制会議や産業なんたら会議の面子見てしまうと
    >新自由主義政策万歳な気がしてならないです・・・

    なるほど。そう見えますか。私は竹中氏を経済財政諮問会議ではなく、産業競争力会議のメンバーとして取り込んで見せるあたり、反対者を身内に引き入れる強かな人事だとみているのですが。石原伸晃氏を閣僚に起用したのも、維新の会に対する牽制という見方もありますし、面子がどうあれ、最終的に出てくる政策で判断するべきかな、と私は思って
    2015年08月10日 15:23
  • 55

    TPPにしても規制会議や産業なんたら会議の面子見てしまうと
    新自由主義政策万歳な気がしてならないです・・・
    自民党内には新自由主義的な改革に反省した議員も多いと耳にしますが
    どうなんでしょうかね
    2015年08月10日 15:23
  • 白なまず

    あるオカルト系サイトからのコピペです。本質をついていると思います。民主党=朝鮮、支那と同質と理解すれば、民主党の政策が効果を発揮出来なかったのは、見透かされていたからでしょう。


    聖書のサタン=魔王は、「呪う・妬む・復讐」する神として出現している。
     魔王は、天使を唆し人類最初の殺人を犯したカイン一族と交わらせ、楽器・金属・魔術技術に通じた魔族を誕生させた。一方、不道徳故にノアに呪われたカナンとカイン一族は交わり、悪魔教の元祖となる。
     この魔王に祝福されたカナン(カナン一族+カイン一族については、バビロニアのタルムードにある「カナンの遺言」が残されている。その内容は、善神が人類の精神向上をめざし与えられた三種の神器とは真反対で、魔王の「五戒」が記述してある。
       「カナンの息子たちに五つのことを課した。
        互いを愛すること(カナンの子孫のみを愛する)。
        盗みを愛すること。
        姦淫を愛すること。
        主人を憎むこと。
        真実を語らないこと。」
     呪われたカナン一族は、フェニキア人、欧州の黒い貴族・国債銀行家となり、この魔王の「五戒」とヨハネの黙示録を元
    2015年08月10日 15:23
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    中東がキナ臭くなる中, 渡邊氏のブログの
    コメントによれば, 支那がパキスタンに
    港を確保したらしい. イランが通商遮断に
    走った時に支那は何をやらかすか.
    日本としては支那を本質的敵対国として
    経済の面から崩していかねばならないだろう.
    2015年08月10日 15:23
  • sdi

    日比野殿、身体いかがでしょうか。
    >こういう人達は、壊すばかりで、「創り上げる」とか「創造する」とか、「生み出す」とか生産的な方向に考えがいかないのか。
    そのものスバリな指摘です。「清算主義」とか「グレートリセット派」なんて言葉を当てる人もいますが、私は「目の前にある自分の気に入らない物を壊せば世の中はよくなる」という思考が根底にあるように思えてなりません。はた迷惑ですね。まあ、革命なんてはた迷惑なしろものですから革命の正道を行ってるかもしれませんが。
    彼らが「目の前にあるものを壊せば良くなる」から「新しいものを創るためには何をどのように壊すか」という視点に目覚めて具体的な未来像やそれを裏打ちする世界観を呈示できなければ、このまま第二の日本社会党ですね。
    2015年08月10日 15:23

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