
対馬が揺れている。
2012年10月、対馬市の観音寺から盗まれた「観世音菩薩坐像」が、今年になって韓国で発見された。窃盗団が売り捌こうとしていた文化財の中に、この観世音菩薩坐像などがあったことから発覚した。
この坐像は、高麗中期から末期にかけての特色を持ち、像内から発見された結縁文の中に天暦3年(元徳2年、1330年)2月に戒真ら三十数名の発願によって造立されたとあることから、14世紀の朝鮮半島で制作されたとされる。また、結縁文には「高麗国瑞州浮石寺」とも記されており、かつては同寺に安置されていたものと考えられている。
その仏像がどういった経緯で、対馬の観音寺に安置されるようになったのかは定かではないのだけれど、李氏朝鮮時代には、仏教が弾圧され、仏像も没収・破壊が繰り返されていたことから、対馬の日本人が交易の中で手に入れたのではないかと見られている。
普通は、この仏像は、ユネスコ文化財不法輸出入等禁止条約に基づいて対馬に返却されるべきもの。また、日本と韓国との間の請求権等についても、1965年に結ばれた日韓基本関係と同時に締結された付随協約のひとつである「日韓請求権並びに経済協力協定」で「財産、権利などの請求権は完全かつ最終的に解決された」となっているから、今更、韓国が自分のものだといっても通らない。
だけど、韓国仏教界はこの坐像は「倭寇に略奪された」と主張し、あろうことか、韓国・大田地裁は、観音寺がこの観世音菩薩坐像を正当に取得したことが訴訟で確定するまで、日本への移転を差し止める仮処分を下した。
こんなことがまかり通るのなら、古来からの半島伝来の品々で、移転の証拠がないものは全部返還の対象となってしまう。
これによって、対馬では韓国に対する怒りが渦巻いているという。
対馬では、毎年8月に「厳原港まつり対馬アリラン祭」なる、李氏朝鮮の外交使節団「朝鮮通信使」の行列を約400人で再現したパレードをかれこれ30年以上もやっていたそうなのだけれど、今度ばかりは堪忍袋の緒が切れた。
祭りの主催者で、地元企業などでつくる祭りの振興会の山本会長は「対馬をバカにしている。こんな無礼な国と友好を深める必要があるのか?朝鮮通信使行列はもうやめた方がいい!…韓国人との付き合いも多く、いい人もたくさんいるが、もう韓国という国に我慢ならん。パレード中止は対馬にとってマイナスだという意見もあるだろうが、今年もやるというなら私は会長を降ります」 と語気を強める。
また、坐像を盗難された、観音寺の前住職、田中節孝氏は「対馬の人が大切に守ってきた信仰の対象を盗んでおきながら屁理屈をこねて返さないとは…。北朝鮮による拉致事件と同じ論法じゃないですか。盗っ人猛々しいとしか言いようがない」 と述べているけれど、これが常識的な反応だろう。
だけど、その"盗人"は、対馬も自分達のものだと口にして恥じるところがない。
例えば、韓国・京畿道の議政府市議会は、3月22日に対馬の領有権を主張する決議文を採択しているし、慶尚南道の昌原市議会も3月18日に「対馬の日」条例制定8周年記念式を開催し、対馬の領有権をあらためて主張している。
そして、3月19日、この昌原市の市議会議員と職員の計53人が、26~27日の日程で、「観光・交流」目的で対馬を訪問したいと申し入れしていたらしい。当初は、対馬市議も歓迎の意向を示していたのだけれど、その直後、昌原市議会が「対馬は日本に奪われた韓国領土」「"わが地"対馬を訪問する」と宣言していることを韓国メディアを通じて知り、一転、対馬市議会は訪問を拒否している。
仏像問題で、関係が拗れている最中に、こんな挑発を悪びれず行うとは、あまりにも常識からかけ離れている。少なくとも日本人の常識にはない。
そんなに、韓国が嫌ならさっさと手を切ればいいのにと思うのだけれど、話はそう簡単にはいかない。対馬の財政問題が重くのしかかる。
対馬の産業は林業と漁業が主になるのだれど、近年は、林業の低迷と漁獲高の減少で、危機的状況に陥っている。ゆえに、観光にやってくる韓国人からの外貨収入でどうにかこうにかやっているのが現実。
韓国では、対馬観光がブームとなっていて、平成22年に年間6万人だった韓国人観光客は、24年には15万人に達している。これは、対馬市の人口約34000人の4倍以上。
前対馬市長である松村良幸氏は「対馬は島を切り売りしなければもう食べていけない」と発言したと言われているけれど、そこまで追い込まれている事実を改善しない限り、韓国からの観光客を拒むことはできないと思われる。
現地の人に中には、「刑務所でもいいから対馬に誘致させて欲しい」とか、「原子力発電所の核廃棄物処理施設でもいい」とか訴える人さえいるという。非常に難しい問題だけれど、尖閣、竹島と領土侵略を受けている今だからこそ、国としても離島振興策を真剣に考える必要がある。
この記事へのコメント
(^o^)風顛老人爺
敷衍してチャイニーズと手を切りたい日本。
下記よりhttp://mbga.jp/.gd098166.bXNlMDAz0/_news_item?sublayout=dianew&id=2169775&_from=nw100&guid=ON 手段を選ばない在日チャイニーズによる「 日本の福祉 」への収奪があります。ご高覧下さい。対馬名物は讃岐うどんみたいに何かありませんか売り出せば買いますどしどしと。
m(_ _)m乱文にて 敬具
洗足池
昔の事を持ち出せばきりがなく個々の事件を立証することも不可能だ。国際法に基づいて仏像を対馬の寺に返還するのが大人の態度だろう。
私が以前より主張するよう対馬に限らず、日本の島嶼は資産でなく負債なのだ。離島振興の名で今も巨額の国税を投入している。やるべき事は、金のばら撒きでなく、島民の企業家精神を発揮させる事。魚の養殖は大きな可能性があるが海面の使用を巡り、漁協、漁民に邪魔されて難しい。(これは東北の津波被災地沿岸でも同じ)長崎で養殖されている「ハーブ鯖」大分の「かぼす鯖」はかんきつ類を餌と養殖されているが、天然鯖の2倍の価格でも需要を満たせない程、人気がある。既得権益を排除しビジネスフレンドリーな環境を造れば、シブチン韓国人観光客に頭を下げなくとも生活できるはずだ。
白なまず
つまり、壱岐対馬は防衛の拠点(陸海空自衛隊、海上保安庁)と経済発展の両面で考えないと駄目だと思います。この点は沖縄と同じです。オスプレイを壱岐、対馬に配備すると相当な圧力を発揮できるし、船舶の安全も守りやすくなると思います。結局、沖縄、対馬と秦王国(=海神の国)が日本の防衛上の重要な地域になっている事は神武天皇の時代(母方は全て海神の乙姫さま系)からのさだめなんでしょう。
参考URL
http://ja.wikipedia.org/wiki/綿津見神社
三四郎
sdi
今後の対馬の行方は日本と韓国の間の関係の影響が大きいでしょう。「境界」に位置する以上そ、それは避けられません。過去、対馬の人たちは心理的に意識してかどうかわかりませんが種々の韓国との交流がイベントは「中継点としての対馬の復活」という方向だったのではないでしょうかね。今、やっと「境界としての対馬」を自覚したというべきかもしれません。
国防、安全保障は公共財です。「あいつは税金をはらってないから守る対象外」とか「自分は国民としての義務を果たしたから守ってもらうけど、あいつは国民としての義務をはたしてないからアイツ