世界初メタンハイドレートの試験生産に成功
3月12日、愛知県の渥美半島沖で、メタンハイドレートからガスを生産する実験が始まり、午前9時半ごろ生産が確認された。
採掘場所は、渥美半島から約80km、志摩半島から約50kmの海域。約1000mの海底面の下の層にあるメタンハイドレートからガスを取り出すことに成功したのだけれど、3月18日に生産を打ち切った。
当初生産実験は2週間を予定していたのだけれど、この打ち切りにより、生産期間は1週間に短縮された形。その理由は、
短縮された。その理由は、3月18日の早朝からポンプが不調になったうえ、ガス産出用の井戸に砂が混入してガスを正常に生産できなくなったことと、天候の悪化が予想された為。
ただし、生産データは取得できたようで、速報値ベースで、約6日間の累計ガス生産量は約12万立法メートル程度で、1日平均約2万立法メートル。2008年に、カナダで陸上採掘試験が行われたときは、1日平均約2400立法メートルだったから、生産量としては、今回の渥美半島沖のは、実にその9倍に当たる。
メタンハイドレートには便宜的に分けると二種類の形態がある。ひとつは、水深1000メートル程度の海底面から数百メートル下にある地層中に、砂と混じり合って存在する「砂層型」と呼ばれるもので、もう一つが、水深5~600メートル付近の海底表面に一部が露出し、塊の状態で存在する「表層型」と呼ばれるもの。
今回採掘した渥美半島沖を含めて、東部南海トラフ海域のメタンハイドレートは砂層型で、日本海側に存在するメタンハイドレートは表層型であることが確認されている。
メタンハイドレートは、低温高圧の環境下で存在するから、その採掘は、メタンハイドレートの塊を海中から掘り出すのではなくて、生産井戸内で、メタンと水に分離してからメタンだけ採取する方法が基本になる。
砂層型は、基本的には掘って上げてくるという、従来の石油・天然ガスにおける掘削・生産手法の技術が導入及び応用可能であり、信頼性の面からも、砂層型の採掘を中心に研究開発を進めている。
今のところ、砂層型の採掘には「減圧法」による採掘が有力のようだ。
※メタンハイドレートの特性及び採掘法その他については、「メタンハイドレート -メタンを抱いた水篭-」のエントリーを参照されたい。
これに対し、表層型のメタンハイドレートは、海底に転がっているメタンハイドレートの塊を拾うだけという風にはならない。メタンハイドレートは、高圧低温という条件が崩れると急速にメタンを放出しながら融けてしまう。したがって、拾ったはいいけれど、深海500メートルからのんびりと上げていたら、海面に出たときには、メタンの抜けた水しか残らない。
今の所、表層型のメタンハイドレートは、潜水艇のロボットハンドで小さな塊をサンプルとして回収するのがいいところで、本格的に生産となると、メタンが抜ける前に地表に上げるしくみが必要になる。
また、JOGMECメタンハイドレート開発課の磯部人志氏は、「燃える氷のイメージのせいか、地下から“採掘”するものだと思っている人もいる。しかし、深海の地下から掘り出した塊を地上に運び上げていては経済的に見合わない」と指摘するように、コスト面の問題もある。
ただ、それでも、来年度からは、日本海側の表層型メタンハイドレートについても、開発に向けた本格的な調査が始まるようだ。計画では、当面3年程度で資源量把握に向けた取り組みを行ない、調査データの分析を踏まえた上で、表層型メタンハイドレートの試掘も実施するという。
試掘は、メタンハイドレートの塊を地上に運び出すのではなくて、鉄鋼製の容器を海底面下に降ろして、メタンハイドレートを水流で砕いて、メタンガスだけを吸い上げる方式が検討されているようだ。
今回、渥美半島沖で、メタンハイドレート生産に成功したとはいえ、まだ試験生産のことで、生産コストがどれくらいになるかは見積もりが難しいようなのだけれど、資源エネルギー庁は、今回の試験生産結果の解析を行って、今夏には生産コストについての一定の試算が出せる見込みだとしている。
ただ、メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアムの試算では、開発コストは100万BTU(英国熱量単位:British Termal Unit)当たり30ドル前後で、現時点でのLNG輸入価格の2倍。ただし、この価格は生産量によって変動し、生産量が予想を下回ると60ドルまで上がり、逆に産出規模が大きくかつ、技術革新が進むことで、15.8ドル程度ま下がるとしている。
一部メディアでは、「将来の国産燃料」だとか「国産燃料の切り札」などとしているけれど、確かに、安定生産できれば国産燃料になるには違いないけれど、そこまでにはまだまだ越えなければならないハードルがいくつもある。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
あまり信用しない方が良いと思う.
日本企業はカナダで表層型のメタンハイドレート
採掘技術を開発したと聞く.
それほど水深の大きくない日本海への
適用が難しいとは思えない. それに対して,
深海からの採掘は基本的にコストがかかり過ぎる.
まずプラットホームをどうやって固定するのか.
今回の採掘は「地球」という途方もない開発費を
かけた深海ボーリング船を使って成功したものだ.
この船の位置制御と深海ボーリング技術には
半端ではない技術が用いられている.
この点が概算に入っているかも疑問だ.
それに対して, シェールガス・シェールオイルの
採掘は基本的には単純な操作であるらしい.
斜め曲がりボーリング技術が大変そうだが,
日本のボーリング会社にもこの技術はある.
コスト的には日本海の表層型メタンハイドレートか
秋田新潟におけるシェールガスが有望だ.
勿論, 一番に挙げなければならないのは
尖閣諸島付近におけるボーリングだ.
現在の日本の安全保障と資源開発に最大の
障害となっているのが支那に通じている
沖縄県知事と本土から渡っていった工作員
達であ
sdi
それと平行して、メタンハイドレートの採取について野放図かつはた迷惑な採掘を「しない、させない、やらせない」仕組みについても研究を開始しても良い時期にきたのではないでしょうか?私が最も懸念しているのはメタンハイドレート採掘による海底環境の激変と採取しきれなかったメタンハイドレートが海底に野放図に拡散です。後者はそのまま放置するとメタンガスが発生し最終的に海面から大気中にメタンガスが拡散していく恐れがあります。
まあ、どちらにしても先の話。今の科学技術では、電力需要は原子力発電と重油・LNG・石炭の火力発電に頼るしかなく、特に後者は外貨とシーレンの安全が必須ですね。
洗足池
役人は自分達の天下り先をつくる為、次々と新しい事業をやりたがるのだ。事業が採算に合うかどうかは関係ない。結果が出る頃には自分達は退任してるからね。
米国のシェールガス、シェールオイルの開発も当初は不可能と思われていたが、民間会社の努力で実現された。米国政府は金は出していない。関連の法整備を整えただけだ。日本もメタンハイドレートの商業生産が可能と思うなら民間の会社の費用とリスクでやるべきだ。日本の会社が出来ないなら米国の会社でもよい。我々の血税でやるのは真っ平ごめんだ。賛成するのは大した税金も納めていない連中だろう。