昨年9月11日の尖閣国有化後、野田政権が中国に過度に配慮をするよう指示をしていたと報道されている。
これは、尖閣国有化後の昨年10月3日、当時の野田首相と、岡田氏、藤村官房長官、玄葉外相、森本防衛相が尖閣に関する関係閣僚会議を開き、対応を協議したのだれど、その席上で、岡田氏は「中国を刺激しないように」と発言し、海自艦艇は中国軍艦と15カイリ(約28キロ)の距離を置き、中国側が近づくと後退するよう命じていたほか、領海侵犯の恐れがあっても先回りして警戒するのを禁じたという。
だけど、15海里の距離を置いて、中国側が近づくと後退すると指示を出していたとは、理解の範疇を超える。そんなことを許せば、領海侵犯なんてやりたい放題になる。これでは、中国船はナメてかかるのもむべなるかな。調子に乗って、火器管制レーダーを照射するのも当たり前のように行われていたのではないかとさえ。
また、中国船が搭載しているヘリなどが領海内で飛び立つことで、即、領空侵犯になるようなケースにおいても、岡田氏は「軽微な領海侵犯だから中国を刺激するな。海上保安庁に任せればいい」とスクランブルを認めなかったという。一体、どこの国の政治家なのか。
岡田氏は、産経新聞に対して「いずれも事実に反する」として抗議したと述べているけれど、岡田氏の"前科"はこれだけじゃない。
昨年11月に行われた日米共同統合演習では、当初、那覇市の西北約60キロにある無人島の入砂島で離島奪還訓練を行う予定でいて、10月上旬の段階では、岡田氏もそれを了解していた。ところが、岡田氏は10中旬になって、突如それを「決定は駄目だ」とひっくり返した。
政府高官によると、岡田氏は中国への刺激を避けることを重視していたそうだから、やはり彼の頭の中には、"中国様を怒らせない"というのがインプットされているのだろう。
更に、もっと遡ると、平成17年6月の予算委員会で、岡田氏は当時の小泉総理と、靖国参拝についいて、次の様なやりとりをしている。一部引用する。
○岡田委員 内政とは何かはちょっと横に置くとして、内政干渉の定義を言ってください。とまぁ、岡田氏は、相手を説得できなければ、靖国参拝を止めろ、と主張している。もしも彼が、例えば、家に強盗が押し入ってきたとして、強盗しないでくれと説得できなければ取られ放題になっても構わないと考えているのだとすると、政治家として国益を語る資格がないと言われても仕方がない。
○小泉内閣総理大臣 それは、各国で内政不干渉という立場というものはそれぞれの立場がとらなければなりませんが、それでは内政とは何ぞやという定義はないんですよ、内政というのは。それを私は申し上げているんです。
○岡田委員 総理、内政干渉というのは、れっきとした、きちんとした定義があります。これは、国会の場でも、政府からの答弁もなされています。ある種の武力その他の強制力をもって一国が自国の自由裁量で決定し得る事項に対して圧力を加えて自国の意向に相手国を従わせようとする行為、これが内政干渉の定義です。ですから、強制力をもって他の国の自由裁量に属することについて圧力を加えて従わせようとする行為、これが内政干渉の定義です。
ですから、総理が干渉とか内政干渉とか言っておられますが、それは俗な言い方で言っておられるのであって、この国際法上の内政干渉という考え方に立って議論しているんじゃないんじゃないですか。物すごくそれは軽率だと私は思うんですが、いかがなんですか。
○小泉内閣総理大臣 一般論として、内政干渉という今岡田議員が言っておられること、それはそうだと思いますが、内政ということについては、その国によってとり方が違うんです。だから、ある国にとっての内政、また日本にとっての内政、そういう点について、どれが内政かという定義はないと申し上げているわけでございます。
《中略》
○岡田委員 総理、それがひとりよがりなんですよ。私は、日本国総理大臣として靖国に私自身が行くことはありません。そのことは何回も申し上げているとおりであります。
A級戦犯が合祀をされている。そして、そのA級戦犯合祀に当たって、A級戦犯を昭和の受難者だと位置づけて合祀している。その靖国神社に総理は行くべきでないと私は考えます。総理がどういう思いで行ったとしても、しかし、A級戦犯が合祀され、そしてそのA級戦犯が昭和の受難者として合祀されている。私は、その一点をもって、靖国には総理として行くべきでないと思います。
総理、あなたがあなたの考え方を言われるのは結構です。しかし、それが相手に通じていないんです。通じてなければ、きちっと説明して理解させるのは総理大臣の責任でしょう。
○小泉内閣総理大臣 これも、私は過去何回も答弁しているんです。A級戦犯のために参拝しているのではない、多くの戦没者に敬意と感謝の意を表したい、そういう気持ちから参拝しているのであって、特定の個人のために参拝しているものではございません。
私は、岡田代表が靖国に参拝しないということに対して別に批判するものではありません。それは岡田さん自身の考えでしょう。しかし、私が靖国神社に参拝しているということは、今までも申し上げておりますように、多くの戦没者の犠牲の上に今日の日本の繁栄があるんだから、そういう戦没者に対する敬意というもの、感謝というものを決して現在でも忘れてはならないという気持ちから参拝しているわけでありまして、この点については何回も申し上げております。
《中略》
○小泉内閣総理大臣 戦没者に対してどのような追悼をするか他の国が干渉するべきでないということに対して、岡田さん、ちっとも答弁しません。これが本当にいけないんですか。(発言する者あり)開き直りだと言っておりますけれども、そう思わないんですか、岡田さんは。
○渡海委員長代理 御静粛に願います。
委員各位に申し上げます。質問も聞こえません。御静粛に願います。
○岡田委員 総理、私は申し上げているじゃありませんか。戦没者に対してどういう形でそれを弔うかということは、それは日本が決めることです。しかし、ほかの国が意見を言うことはできます。これは内政干渉ではありません。意見を言うことはできます。しかし、決めるのは私であり、総理御自身です。そのことははっきり申し上げているじゃありませんか。しかし、現実、いろいろな問題がこのことに端を発して起きているときに、それを解決する責任も同時にあなたにあると申し上げているんですよ。
だから、どういう解決の仕方があるか、私は二つ申し上げましたけれども、私はあなたに、靖国に行くのをやめるべきだと一回も言っていませんよ。自分がその解決策を見つけるべきだ、その責任があなたにあると言っているんですよ。それがない。このまま放置する。それはいつかはなんて言われますが、本当に今重要な局面で、日本にとって、日中関係、日韓関係あるいはアジアの関係、そんな時間はないんですよ。だから私は、それならあなたはやめるしかないというふうに申し上げているわけです。
○小泉内閣総理大臣 今、岡田さんは私に対して、靖国神社参拝をやめろとなんか言っていないと言われた。そして、どのようなこれからの日中間の関係を考えているかということでありますので、私は、一部の意見の対立があっても日中の友好は重視だということで、これからいろいろな分野において協力していこうということで、胡錦濤国家主席とも話し合いの中で共通の認識を持ったわけでありますので、経済の交流のみならず、文化、スポーツ、あらゆる分野において友好協力関係を深めていくような話し合いをこれからも進めていきたい。
さらに、国際社会の中でも、国連改革のみならず、北朝鮮の問題につきましても今協力を進めております。そういう中でお互い話し合いをしていく必要がありますし、将来、時間をかけても、私が日中友好論者であるということをよく理解していただくように、これからも努力をしていきたいと思っております。
○岡田委員私が申し上げたのは、総理御自身がみずからの信念を貫いて、そして、そのことについてアジアの国々に説明をして理解をされる、それだけ説得する自信があるのなら、それも一つの考え方だ、一つの答えだと申し上げたんです。しかし、それができないのなら、それは総理御自身が行かないか、やめるかしかないんですよ。そのことを私は申し上げているわけです。できないんじゃなくて、もしできるというのならやってくださいよ。しかし、総理はずっと言いっ放しじゃないですか。それは日本国総理大臣としてとるべき態度じゃないということを申し上げているわけであります。
この質問の中で、岡田氏は、内政干渉の定義として「ある種の武力その他の強制力をもって一国が自国の自由裁量で決定し得る事項に対して圧力を加えて自国の意向に相手国を従わせようとする行為」と述べている。
では、現実に今起こっている、中国船の領海侵犯や、火器管制レーダー照射は内政干渉には当たらないのか。もしもそれが"内政干渉"に当たるのであれば、そうさせないようにするのは、主権国家として当然のこと。だけど筆者には、岡田氏の「15海里の距離を置いて、中国側が近づくと後退する」という指示を守らせながら、それが実現できるとは到底思えない。
安倍総理は、防衛省や外務省から野田政権の対応について報告を受け、領域警備で対抗措置の強化を検討するように指示して、海自は中国軍艦との距離を約3キロまで縮め、中国軍艦が領海侵犯する恐れのある場合は領海内で待ち構え侵入を阻止する態勢に改めた。また、ヘリ搭載艦船が領海侵入した場合にはスクランブルの準備に入るようにしているけれど、当然のことといえる。
その意味で、3月7日の衆院予算委員会で、安倍総理は、尖閣での中国側に対する民主党政権時代の対応について「警備、警戒の手法に極度の縛りを掛けていた。…誤ったメッセージを送ることになり、不測の事態を招くことすらある」と述べたのも妥当な指摘。
だけど、岡田氏は「そんなこと言ってない」「そんなことやってない」と逆切れする。安倍総理に対して「何を根拠にそう言うのか」と追及するくせに、自分は「そんなこと言ってない」という根拠は示さない。とても実りある質疑とは思えない。
ここまでくると、民主党は相手を批判することでしか、自身の存在を示す方法を知らないのかと哀れにさえ思えてくる。まぁ、これが、与党を経験してなかった時代であれば、そうかもしれない、と国民を欺くことができたかもしれないけれど、民主党は一度与党を経験して、その無能ぶりを曝け出してしまった。
だから、批判するだけでは、「じゃあなぜ与党の時にやらなかったんだ」と反発を受けるだけ。このような態度のままでは、国民の支持を回復させることは到底無理だろう。
この記事へのコメント
とおる
それでも、民主党の言うことを信じる人もいるのでしょうね。
社会党(社民党)と共に消えよ!