人造人間19号は炒飯を炒めるか
昨日の続きです。
北朝鮮からのミサイル発射が警戒されていたけれど、昨日の発射はなかったようだ。小野寺防衛相は11日朝、記者団に対し「情報収集に努めている。緊張感を持ち、引き続きしっかりと対応する」として、24時間態勢で情報収集を継続する模様。どうやら、中距離ミサイル「ノドン」などが同時発射される事態も想定しているようだ。
北朝鮮の出方が読めない以上、ありとあらゆる可能性を想定しておくのは当然。
ただし、「ノドン」まで同時発射されるとなると、気になる点がある。それは、「ノドン」による日本への飽和攻撃が為された場合、それを防ぐことは極めて困難であるということ。
飽和攻撃とは、その名のとおり、攻撃目標の処理能力の限界を超えた量の攻撃を仕掛けること。日本でいえば、SM3とPAC3の弾頭数以上のミサイルが発射されると防げなくなる。
昨日のエントリーで触れたように、PAC3は全国の18高射隊にしか配備されておらず、しかも射程が20kmほどしかないから、日本全国の全ての都市を守ることはできない。従って、事実上、日本全国をカバーする迎撃ミサイルはSM3しかなかったりする。
北朝鮮は現在ノドンを約200基配備しているとも言われているけれど、迎え撃つ日本のSM3は200基全部撃ち落せるだけの数はない。
日本が持つイージス艦は6隻。今の所、イージス艦一隻にSM3は8基搭載されているのではないかと言われてるけれど、それらを掛け合わせると、最大48基あることになる。だけど、これはノドン200基に対して、全然足りない。
11日朝には、北朝鮮で7基のミサイル発射台が上空に向けられたのを、偵察衛星が確認したそうなのだけれど、政府は、故金日成主席の誕生日である15日までの発射を警戒しているようだ。
今の所、北朝鮮は、ノドン200基を全部一度に撃つ様子ではないようだけれど、日本がこれまで整備を進めてきたMDとて、全部のミサイルを撃ち落せるわけではないことは知っておく必要があると思う。
北朝鮮の対韓国窓口機関「祖国平和統一委員会」は、一連の北朝鮮の「強硬措置」について、韓国政府などが実行を伴わない「心理戦」と見なしていると批判し、「我々の強力な打撃手段は発射待機の状態で、弾頭には目標座標が精密に入力されている。…今や、ボタンさえ押せば発射されるようになっている」と強調している。
だけれど、これまで散々、「休戦協定を白紙にした」だの、「ナントカ待機状態」に突入しただの、何度も宣言しては、結局何もしないものだから、段々、周辺国も"慣れ"というか、反応が鈍くなってきているような気がしないでもない。
こういうときこそ、ズドンとやられると、心理的ダメージが大きくなる。
4月11日、麻生副総理は派閥の例会で、北朝鮮に関し「金王朝の3代目になってだんだん話がエスカレートし、昔と違って中国のコントロールが利かないような状況になりつつあると感じている。…どれぐらい技術が進んでいるのか正確に見えない。緊張感だけは持っておかないといけない」と語っているし、同じく、11日、小野寺防衛相は記者団に対し「情報収集に努めている。緊張感を持ち、引き続きしっかりと対応する」と述べている。気を締めることなく警戒に当たって欲しい。
これまで、北朝鮮は瀬戸際外交をしては、周辺国から援助をせしめてきた。他国からエネルギーを"吸収"することで生きながらえてきた。
ところが、流石に周辺国もそうしたことは、やらせない方向で動いている。4月10日、アメリカのジョゼフ・デトラニ元朝鮮半島担当大使は、共同通信のインタビューに対して、こうした北朝鮮のやり方について、「われわれは脱却した。」とし、これまでの戦術が通用しないことを「北朝鮮は理解すべきだ。もしまだ分かっていなくても、間もなく知ることになる」と語っている。
オバマ政権の側近らは、こうした北朝鮮の瀬戸際外交には応じない姿勢を「戦略的忍耐」と呼んでおり、「金正恩氏の振る舞いに対するわれわれの姿勢と戦略を調整しているところだ」と述べたというから、或いは、北朝鮮に対して空爆する"ビックバン・アタック"をオプションとして想定している可能性はある。
果たして、"人造人間19号"は"炒飯"を炒めるか。
この記事へのコメント
sdi
この反応は、演者たる朝鮮労働党党中央にとっては間違いなく不本意な状況です。「瀬戸際戦略」というものは周辺諸国が過剰な(演者にとっては適度な)危機感に煽られた対応をしてくれることが目的なのです。周辺諸国が「危機」になれてしまいルーチンワーク的な対応方法を確立されてしまっては甚だしく困るわけです。最悪の場合、通行人が誰も見向きもせず通り過ぎる傍らで、一人相撲するハメになります。
今回の北朝鮮の今までのケースとは段違いで速いペースのエスカレーションぶりは、周辺諸国の「慣れによるルーチンワーク的な対応」を突き崩すための苦肉の策ではないでしょうかね。
深月
以下、私見で恐縮ですが…
「北朝鮮が望んでいるもの」で考えると、答えは案外単純なのかも…?「豊かで、ある程度の国際的地位を持ち、名誉をも持っている…という韓国と、状況&立場を入れ替えたい(韓国に取って代わりたい)」というのが、"当面の"彼らの目指す目標?と考えてみました。立場を入れ替えに成功したら、後は、弱りきった韓国をゆっくり食っていくという事で…
開城工業団地で、韓国を通じて、必死で世界の最新テクノロジーの摂取を進めていた(彼らなりの技術交流?)とすれば…かつての、国際的地位を失い占領下にあった戦後日本の状況(対米独立に努力していた時代)と、余り変わらないかも…と思いました。
北朝鮮は、EU金融危機などでグローバル経済が極度に弱まったこのタイミング、今がチャンスと見て、「自らの置かれた国際関係状況を変える」ための、乾坤一擲の大勝負に出たのではないか…とも思われました(それなら、あの異様な挑発にも関わらず、自国の資産を最小限の被害で保守するために、戦火を
洗足池
三橋はTPP反対の強硬派だったそうだが、最近、TPPについてはダンマリを貫いてるようだ。親分の安陪から内閣官房費をもらって口をつぐんでいるとの噂だ。また参院選に出るのかな。
55
さてどうなるか・・・