北朝鮮の挑発とアメリカの軍事圧力
相も変わらず、北朝鮮の"無慈悲"な挑発が続いている。
1.国家の利益を守るために万全を期す
日米韓の政府筋は、北朝鮮が大陸間弾道弾(ICBM)級の新型弾道ミサイル「KN-08」とみられる機体を日本海側に移動させ始めたことを明らかにした。
これはアメリカの情報衛星が、ミサイルとみられる機体を積んだ貨物列車が、日本海側に移動している様子を捉えたことから、発表されたもので、機体の形状や大きさなどから「KN-08」或いは、グアムに到達可能とされる中距離弾道ミサイル「ムスダン」など、他のミサイルの可能性もあるという。
これらのミサイルは移動式で短時間で発射可能である為、実際の発射のタイミングを予測するのは困難とされているのだけれど、別の関係筋によると、北朝鮮は金日成国家主席の生誕101周年の記念日が今月15日に迫る中、日米韓から何らかの譲歩を引き出して国内に示す必要に迫られているという見方もあるようだ。
4月3日、アメリカ国防総省は、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に対処するため、グアムに、戦域高高度防衛ミサイルであるTHAAD(Theater High Altitude Area Defense)を数週間以内に配備すると発表した。
THAADとは、最新鋭の広範囲ミサイル防衛システムで、主に上層大気圏外での迎撃を目的としている。基本構成は、射撃中隊1個で機動発射機4両とBM/C3I情報・射撃管制ステーション、TMD-GBRレーダー・システム2基から成る。
迎撃ミサイルは、高度80km~150kmまで上昇し、対象弾道ミサイルが軌道の最高点を過ぎ、着弾する最終段階に入った時点で、高性能赤外線センサーによって対象弾道ミサイルに直撃する。
THAADは射程が100キロを超え、地上の防御範囲もPAC3の10倍程度広いとされ、SM3では対応できない低い軌道の弾道ミサイルも撃ち落とせるという。
アメリカ国防総省は今回の配備について「北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に対する地域の防衛能力を高める予防措置」とし、「アメリカは北朝鮮の挑発行為から自国の領土と同盟国、国家の利益を守るために万全を期す」と説明している。
2.手伝ってやろうか? ただし、真っ二つだぞ!
アメリカの北朝鮮に対する軍備の増強は今もなお続いている。
3月31日には、F22を韓国で実施中の米韓合同軍事訓練に参加させる為、嘉手納基地から韓国烏山空軍基地に派遣しているし、4月1日には、イージス艦「フィッツジェラルド」を朝鮮半島南西沖に向かわせていることが明らかになっている。
フィッツジェラルドは、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦(Arleigh Burke class destroyer)で、海自のイージス艦こんごう・あたご型護衛艦のベースとなった艦。現在、横須賀基地を本拠とし、迎撃ミサイルSM3やミサイル探知・追尾能力を持つレーダーを搭載。昨年12月に北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射した際にも、洋上で警戒に当たっていた。
そして、アメリカは、イージス以外にもレーダーを増強している。CNNは、アメリカ軍は、弾道ミサイルを追尾できる、高性能Xバンドレーダーの海上配備型を北朝鮮の近海に移動させていると報道している。
海上配備型Xバンドレーダー(SBX-1:Sea-based X-band Radar)は、アメリカ軍がミサイル防衛用に配備を進めているレーダーで、アメリカ本土へ飛来する弾道ミサイルの警戒・脅威評価を目的としている。
これは、ロシア製の石油プラットホームを基に、上部に大型レーダーを搭載したもので、全長116m、全幅73m、排水量は50000tで、自走も可能。推定探知距離は5000kmとされる。
Xバンドレーダーは、射撃管制レーダーと同様に、使用する周波数が高く(7~12.5GHz)、波長が短いので、小さな形状のものも識別できるのだけれど、ゆえに、弾道ミサイルの弾頭がブースターと分離して、弾頭を放出する際に、それが囮弾頭かどうか等を観測・識別するために使用される。
このフィッツジェラルドとXバンドレーダーについては、米韓合同軍事訓練とは別の対応とみられ、アメリカ国防当局者は「万が一に備えてミサイル防衛(MD)を強化するための措置だ」と述べているから、先程のグアムへのTHAAD配備と合わせて、万が一、北朝鮮からアメリカ本土へミサイル攻撃をされたとしても、迎撃できるような態勢を取っているものと思われる。
アメリカは、もう明らかに、北朝鮮に対して「無慈悲」な迄に過剰戦力を投入している。ひとたびオバマ大統領が、北朝鮮攻撃を決めて"指パッチン"すれば、北朝鮮が真っ二つになる程に。
やはり、"悪漢共に御仏の慈悲は無用"、ということなのか。
3.中国は怒ったフリをする
ただ、これで北朝鮮が大人しくなるかどうかは分からない。
筆者は「暴走する北朝鮮と黒幕の野望」のエントリーで、ただの憶測と前置きした上で、「中国は、北朝鮮を暴走気味にさせることで、アメリカ軍の戦力をアジアに集中させ、その隙に、手薄になった中東諸国、引いてはアフリカ諸国への影響力をより強めようとしているのではないか」と述べたことがある。
仮にこれが本当だとすると、中国は北朝鮮に挑発を続けさせ、今の膠着状態をずっと維持させることを狙ってくる筈。ただし、アメリカが北朝鮮を攻撃して、金正恩体制が崩壊してしまえば元も子もないから、アメリカが北朝鮮を攻撃しないよう、ギリギリのところで、寸止めさせる必要がある。
そのためには、アメリカに、軍事攻撃しなくても、北朝鮮が大人しくなるかもしれないという"希望"を持たせておかなくちゃいけない。
すなわち、中国は、アメリカに北東アジアにその軍事力を集結させつつ、睨み合いをさせる行動を取ることになる。具体的には、先日、中国は北朝鮮への国連制裁決議に賛成したけれど、北朝鮮の核開発および挑発行動に"怒って"みせ、北朝鮮に警告し、核開発を辞めさせるよう圧力をかけるフリをしつつ、アメリカ及び韓国に軍事行動を取らないように釘を刺して、だらだらと時間を稼ぎにくる。
また、同時に、日本に憲法改正および核武装をさせない為に、沖縄工作及びマスコミ工作をして、日本は戦前に逆戻りしているだとか、核武装および憲法改正反対の論陣を張らせることも考えられる。
逆に、アメリカ側から見た場合、アメリカがオフショア・コントロール戦略を取っているとすると、同盟国である日本が憲法改正し、軍事力を強化してくれることが望ましい。だから、今後ますますそのような圧力をかけてくることも予想される。
その意味では、日本も国防を巡って、国論が二分する可能性もある。"指パッチン"で、真っ二つになるのは北朝鮮だけではない。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
これは頂けない. 日本は国民の意識の低い国ではない.
逆に, 日本ほど一般国民の意識の揃った国はない.
テポドンが日本国領内に落ちた時,
日本は変わりアジアも変わる.
PRC(中華人民共和国)即ち中共政府はそれを最も
恐れている. 何も分からんのは江沢民に繋がるマオタイ酒で
頭の惚けた軍人だけだが, 彼らは何をするか分からない.
尖閣諸島を攻めに来た時が中共の終りの始まりになる.
これは安倍政権である以上必ずそうなる.
逆に心配なのは, 欧米だろう.
イスラム・ヒスパニック・アフリカ系黒人の侵入により
キリスト教国の面影は最早無い.
我々は忘れているが, 経済・産業活動の基礎は国民の思想.
産業革命はキリスト教の意識革命によりもたらされたもの.
その基礎がなくなればエリートは国を牽引することは不可能.
正に, 中世のエリートが国民を幸福にできなかったように.
キリストは遥か過去に天に召されたわけで, 欧米諸国民は
その福音を忘れつつある.
日本には神の譜系に繋がる皇室が存在し, 国の象徴と
全国民が認めている. (憲
日比野
PAC3は迎撃射程範囲が20kmから30kmと非常に狭く、事実上ピンポイントでしか撃ち落せません。
野田さんの時は、ミサイル発射コースが予め公表されていたので、PAC3を通過コースである南西諸島に配備できましたけれども、今回のように、何時、何処に撃つのか分からない状況では配備しようがありませんし、仮に配備してもどこに配備したかは筒抜け(マスコミが報道する)ですので、その段階で目標地点を変更されたらアウトです。アメリカのようにTHAADでも持っていれば別ですけどね。
したがって、撃ち落とすとすれば、SM3によるミッドコース・フェイズでの迎撃しかありません。これはイージス艦に搭載しています。イージス艦は、既に日本海に展開しているでしょうから、現段階では、何時発射するのかの兆項をいち早く掴むことに全力をあげているものと思われます。
sdi
本ケースの最大の問題は、北朝鮮の過去の瀬戸際戦略の使用過多で、周辺諸国の反応も鈍くなってる点でしょう。それに苛立つ平壌の朝鮮労働党党中央はさらにエスカレートした言動に走らざるおえない。自業自得ですが、ホント傍迷惑な連中です。
中国が人民解放軍の部隊を中朝国境に集め始めたと伝わってますが、集結した部隊に兵站部隊がどれだけ含まれているかが北京の本気度を測る鍵ですね。いまところ、北京の「おい、火遊びもいい加減しろ」というメッセージではないかと思っています。
深月
白なまず
【国防】日本政府、北朝鮮ミサイル発射に備え迎撃態勢準備へ
http://military38.com/archives/25369507.html