与那国島への陸自沿岸監視部隊配備について
6月20日、与那国島町議会は、町が所有する土地を自衛隊基地用地として貸し出す議案を賛成多数で可決した。
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1.陸自への基地用地貸出を決定した与那国島
かねてより、防衛省は、与那国島へ陸上自衛隊の「沿岸監視部隊」の配備を進める計画を立てていたのだけれど、肝心の与那国島の土地取得について、与那国島町の外間守吉町長が"迷惑料"として10億円を要求していた。
この要求を受けた防衛省は、町内の連絡事務所に常駐させていた人員を撤収。自衛隊関係者も配備計画に協力している町防衛協会に「国が譲歩することはない」と伝え、交渉は暗礁に乗り上げた。
更に、今年4月には、政府は配備先を石垣島に変更する検討に入り、与那国島町長選が行われる8月を区切りに、進展がなければ、与那国島への配備を撤回する方針を立てた。
与那国島の町防衛協会の会員からは「外間氏の要求は自衛隊配備計画をつぶすもので、町民への裏切り」などと反発の声が相次ぎ、外間氏は、10億円を防衛省が出さないなら、町長選に出馬しない意向を示していた。
ところが今月になって、外間町長が、迷惑料の10億円要求を撤回。これを機に交渉が進みだし、ようやく今回の議決となった。
これを受けて、防衛省は町と最終調整を行い、年間賃貸借料は1500万円で決着した。陸自用地に充てるのは町内2カ所の約21ヘクタール。1カ所に駐屯地、もう1カ所には監視レーダーを置く予定で、平成27年度末までの配備を目指す計画となっている。
これで、ゴタゴタしていた、南西諸島への陸自配備計画は、ひとまずは解決の方向に進みだしたのだけれど、そもそも、なぜ、南西諸島に自衛隊が必要なのか。
2.南西諸島に自衛隊を配備する理由
軍事専門家や自衛隊幹部によると、そこには大きく3つの理由があるという。それは「東シナ海防衛」、「中国・北朝鮮船舶への対応」「沖縄米軍基地問題解決の糸口」の3つ。
まず、「東シナ海防衛」についてだけれど、これは、この海域を横行する中露の潜水艦への対応。5月14日、安倍総理hが参院予算委員会で、沖縄県付近の接続水域を潜航した潜水艦について「国籍も含めすでに分析している。二度と行わないよう当該国に認識していただかなければならない」と答弁していたけれど、どこの国とはいわないけれど、他国の潜水艦が横行してる。
こうした事態に対応するため、防衛省には陸上に警備隊を配備した後、潜水艦の探知網も整備する目的で、海底に集音マイクを埋設したり、セルコールと呼ばれる、敵味方識別装置を整備する計画があるとされる。
次に「中国・北朝鮮船舶への対応」なのだけれど、これは、いわゆる"荷物の積み替え"問題への対応。実は、宮古島、石垣島、与那国島の3島の周辺海域では、中国と北朝鮮籍の船舶同士で、「抜け荷」や「積み替え」が度々行われているという。
「抜け荷」というのは、互いの船に積んである荷物を抜き合って、私腹を肥やすことで、要するに"ピンハネ"。そして、「積み替え」とは、その名のとおり、海上で互いの荷物を積み替えてしまうこと。
現在、日本政府は北朝鮮に対して、経済制裁を行っていて、北朝鮮からの輸入は認めていない。だけど、北朝鮮の荷物を中国船に積み替えて、中国船として日本にやってくると、その荷物は手続き上、中国からの輸入品となってしまう。しかも、その品物を日本の入管が検査して、異常なしと判子を押してしまったら、その瞬間から、その品物は"正規の輸入品"として扱われることになる。北朝鮮からの輸入品が、合法的な輸入品に化けてしまう。マネーロンダリングならぬ、"輸入品ロンダリング"といったところか。
こうした"輸入品ロンダリング"を監視するという目的が、陸自部隊配備にはある。
そして、最後の「沖縄米軍基地問題解決の糸口」とは、沖縄本島の基地をすべて南西諸島へ移転させるための布石。
普天間にしても、オスプレイ配備にしても、傍からは、さも沖縄県全部が反対しているかのように見えてしまいがちなのだけれど、これらは、沖縄本島での問題であって、沖縄本島の県民意識の中には、「問題になっている沖縄本島の基地をすべて南西諸島へ移転させれば結果オーライ」という見方もあるのだという。
そこで、例えば、今回の与那国島へ陸自配備が実現すれば、それを布石として、他の島にも基地を移転させられるのではにないかという狙いも隠されているようだ。
まぁ、最後の米軍基地全部を南西諸島に移すのは、現実問題としてどうかとは思わなくもないけれど、その他2つについては、しっかり対応すべきだと思う。今後の進展を見守りたい。
この記事へのコメント
sdi