6月17日、G8サミットが開催された。
ブログランキングに参加しています。応援クリックお願いします。
開催地は、北アイルランド、ファーマナ県のロック・アーン・リゾート。
北アイルランド、と聞いても日本人にはちょっと馴染みがないかもしれないけれど、北アイルランドは、イギリスを構成する4つのカントリーの一つ。イギリス本島の西にあるアイルランド島の北東部が、北アイルランド。
この北アイルランド西側のファーマナ県(Co. Fermanagh)にある、ローワー・アーン湖岸沿いに広がる5つ星リゾート「ロック・アーン・リゾート」が今回のG8のメイン会場。
ロックとは湖の意味で、宿泊施設や会議施設の他、スパやゴルフコースも完備。特に、ニック・ファルドの設計の「ザ・ファルド・チャンピオンシップ・コース」では国際大会も開かれる程。
サミットに出席している安倍総理は、自身のフェイスブックでオバマ大統領と並んで、サミットの全体討議の会場に向かう写真を公開し、「サミットに向けてもろもろ話しました。(ゴルフ談議も含めてですが。)」とコメントしていたけれど、何故に"ゴルフ談議"をしたのかと思えば、そういう場所柄だったということなのだろう。
安倍総理は、最初の全体会合で「アベノミクス」を各国首脳に説明、一部首脳から出口戦略についての懸念が示されたものの、全体としては、「日本の経済が復活していることは、世界経済にとって大変なプラスである。」と、中々の好評価を得たようだ。
今回、安倍総理は、サミットと平行して、他国の首脳とも会談をしている。17日午前にイギリスのキャメロン首相と第二次安倍政権では初となる会談を行い、午後は、カナダのハーパー首相と会談、そして夜には、ロシアのプーチン大統領と会談している。
特に、キャメロン首相との日英首脳会談では、防衛装備品の協力や、情報保護協定締結で合意し、「アベノミクス」についても高い評価を得たようだ。
その日英首脳会談の要旨は次のとおり。
日英首脳会談要旨ここに出ている"情報保護協定"というのは、同盟など親しい関係にある2国あるいは複数国間で秘密軍事情報を提供し合う際に第三国への漏洩を防ぐために結ぶ協定のこと。
安倍晋三首相とキャメロン英首相の会談の要旨は次の通り。
【地域情勢】
安倍首相 シリア問題は引き続き安定に向け協力する。中国や北朝鮮など東アジア情勢について、日本の率直な見解や意見を表明したい。
英首相 拉致問題で安倍首相が日本の立場を説明することに強い支持を表明する。
【安全保障】
安倍首相 防衛装備品の協力、情報保護協定締結で合意したことを評価し、速やかに署名したい。
英首相 合意は極めて喜ばしい。
両首相 具体的案件として、化学防護服の性能評価方法に関する共同研究実施で合意。
安倍首相 安全保障分野での協力具体化へ、ハイレベルの対話について工夫したい。
英首相 提案に賛成する。
【経済】
安倍首相 大胆な金融政策と財政政策の効果が表れ始めている。成長戦略も策定し、日本経済への期待を確信に変えたい。
英首相 日本経済再生への取り組みを高く評価する。
安倍首相 日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)早期妥結に向けて、引き続き連携したい。
英首相 英国は日・EUのEPA締結を最も強く支持している。
日本は、アメリカ、オーストラリア、フランス、北大西洋条約機構(NATO)と、この情報保護協定を結んでいるのだけれど、今回のイギリスとの締結で5件目となる。
今回、イギリスとの間で結ばれた、情報保護協定が如何なるものかという詳細は分からないけれど、アメリカと結んでいる情報保護協定は、こちらで、公開されている。
アメリカとの間で結ばれている情報保護協定は、正式には「秘密軍事情報の保護のための秘密保持の措置に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」といい、「締約国政府の国家安全保障のために保護を必要とする情報」に対して秘密保護を行うというもの。
詳細は、公開情報を参照いただければと思うけれど、大雑把にいうと、「相手国の秘密情報は、第3国に漏らさないこと」、「秘密情報はきちんと保護すること」、「相手国の承認無しに、秘密情報を目的以外で開示しないこと」などが規定されていて、秘密情報にアクセスできる人物についても取り決めが為されている。
まぁ、軍事情報なんかは、どの国でもトップシークレットであるのが普通。だから、こうした厳格な規定も当然といえる。そういったトップシークレットを共有するだけの関係を結ぶということは、少なくとも、情報レベルでは、軍事同盟を結んだとも言えるわけで、その意味は決して軽くない。
日本が情報保護協定を結んだ国は、アメリカ、オーストラリア、フランス、NATOと今回のイギリス。これは、安倍総理の外交戦略とがっちりリンクしているのではないかと思う。
安倍総理は去年の12月、海外向けに「セキュリティ・ダイヤモンド構想」という英語論文を発表している。これは、、オーストラリア、インド、日本、ハワイによって、インド洋地域から西太平洋に広がる海洋権益を保護するダイアモンドを形成するという構想で、これに東南アジア各国に影響力を持つ、イギリスとフランスの参加を促している。
これらの内、アメリカ、オーストラリア、フランスとは既に情報保護協定を結んでいて、今回のイギリスとの協定締結によって、セキュリティダイヤモンド構想のターゲットとなっていると思われる国の中で、G8の国とは全部結んだことになる。
正に、軍事情報レベルでの、セキュリティダイヤモンドが構築されつつある。アベノミクスと並行して行われている安全保障の布石。注目したい。
この記事へのコメント