昨日の続きです。最後の章は妄想です。

1.朝鮮半島201Z年
昨日のエントリーでは、日韓通貨スワップを取り上げたけれど、韓国は、仮に、日本という後ろ盾を失ったとしたら、その後どのような国家運営をしていくのか。
日経新聞編集委員の鈴置高史氏は2010年11月に「朝鮮半島201Z年」という本を書いている。これは勿論、架空小説ではあるのだけれど、現在の国際情勢をベースに朝鮮半島の近未来をシミュレートしたもの。
その内容について、amazonのあらすじから引用すると次のとおり。
★201X年★
仁川国際空港のそばで南北海軍が交戦、同空港は全面閉鎖に追い込まれる。韓国株が急落、ホットマネーが逃げ出して韓国は通貨危機に襲われる。ただ、1997年の危機の苦い記憶から韓国はIMF(国際通貨基金)に助けを求めない。
米国は自身の危機に対応に手いっぱいでドルを貸すなど韓国救済に動かない。日本も、反韓感情と迷走する政権の判断停止によって韓国の救済要請に応じない。結局、中国が韓国の上場会社の株式の3分の1を引き受ける形で救済。ほとんどの大広告主の筆頭株主が中国となった韓国メディアは、親中的な報道に転じていく。
米軍基地の街「振武市」には、基地追放を掲げる反米市長が誕生する。地方参政権の急拡大を背景に、在韓中国人が住居を振武市に一斉に移し投票したためだ。反米市長は当選するやいなや全国から“反戦市民”を呼び集め、基地封鎖運動を開始する。
★201Y年★
北朝鮮が核兵器を完成する。米国は核の傘を韓国に保障するが、韓国はそれを信用せず対北援助を再開するなど融和政策に転じる。訪中した金正日が急病で平壌に戻れなくなる中、何者かが北の核奪取に動く。
日米は日本海にイージス艦を展開、北の核ミサイル発射を防ごうとするが、「核を南北で共同保有した」と考えた韓国はこれを妨害する。
★201Z年★
韓国は米国との同盟を打ち切り中立化。北朝鮮は中国の支配の下、改革開放政策を採用。南北ともに朝鮮半島は、昔のように中国圏に戻っていく……Amazon 「朝鮮半島201Z年」 より引用
これらの内容を箇条書きで整理してみると次のとおり。
201X年これらをみると、今現在、2013年の状況は、201X年として描かれた状況とかなりマッチしている。南北海軍の交戦こそ行われていないものの、3月から5月にかけて、北朝鮮は挑発行為を続けたし、先日はサムソン株の急落に象徴されるように、韓国株は急落してる。また、昨今話題になっている日韓通貨スワップについても日本は静観の構えだし、アメリカも、2012年10月に、李明博前大統領が米韓首脳会談で通貨スワップの締結を要請したものの、オバマ大統領に「世界中でドルが不足する今、韓国だけにスワップ枠を与えることはできない」と断られている。
a)仁川国際空港のそばで南北海軍が交戦、同空港は全面閉鎖に追い込まれる
b)韓国株が急落
c)ホットマネーが逃げ出して韓国は通貨危機に襲われる
d)アメリカ・日本は韓国救済に動かない
e)中国が韓国を救済
f)韓国メディアは親中報道へ
201Y年
g)北朝鮮が核兵器を完成する
h)アメリカは核の傘を韓国に保障するが、韓国はそれを信用せず対北援助を再開
i)金正日が急病で平壌に戻れなくなる
j)何者かが北の核奪取に動く
k)日米は日本海にイージス艦を展開、北の核ミサイル発射を防ごうとするが、韓国は妨害する。
201Z年
l)韓国はアメリカとの同盟を打ち切り中立化。
m)北朝鮮は中国の支配の下、改革開放政策を採用。
n)南北ともに朝鮮半島は、昔のように中国圏に戻っていく
その一方、韓国は中国からスワップ枠を3600億元(560億ドル相当)に拡大する約束を取り付け、朴大統領は、6月27日に訪中し、日本よりも先に中国との首脳会談をする予定でいる。
2.201X年と酷似する2013年
このように、この本で描かれている201X年の状況と2013年の状況は酷似している。唯一違うのは、c)のホットマネーが韓国に流出ではなく、逆に流入していることくらい。
韓国企画財政部の申斉潤(シン・ジェユン)次官は、アベノミクスによる円安は、日本の製造業に有利に働き、競合する韓国の製造業が脅威にさらされることと、日銀の異次元緩和が韓国へのホットマネー流入を促し、ウォン高につながることの2点を挙げ、アベノミクスが韓国経済にとって大問題であると発言している。
また、韓国のヒョン・オソク経済副首相は、「日本の円安がスピルオーバーをもたらしていて、これは金融市場に北朝鮮の威嚇以上の大きな影響を及ぼしている。…北朝鮮リスクと比較して日本円の切り下げが輸出などに一層強力なインパクトを与えると見られる。事実、北朝鮮リスクは実物経済に大きな影響を及ぼすわけではないので、日本円の切り下げとは並べて比較する対象ではない」と話している。
これは、今から2か月程前の4月18日にブルームバーグ放送のインタビューでの発言なのだけれど、この時期は、北朝鮮がミサイル発射の構えをみせ、半島の緊張が高まっていた時期。その最中に「北朝鮮リスクは実物経済に大きな影響を及ぼすわけではない」という認識だったとは驚く他ない。あるいは、当時のように"威嚇"のレベルで留まっている限りにおいて、実物経済に大きな影響はない、という意味での発言なのかもしれないけれど、本当に戦争になって、ソウルが火の海になったら、そんな寝言は言ってられない。
実際、北朝鮮が挑発を強めていた3月から4月中旬までの時期のウォンは、対円でも対ドルでも、多少はウォン安に振れているから、全く影響がない訳ではないと思う。
3.韓国が北朝鮮を攻撃する日
さて、ここから妄想になるのだけれど、もし、この状況で、仮に北朝鮮と韓国との間で、第2次朝鮮戦争が起こったらどうなるか。
それこそ「朝鮮半島201Z年」で述べられているように、韓国に流れていたホットマネーは逆流し、海外に逃げ出すだろう。国内は大混乱に陥り、戒厳令なり非常事態宣言なりだされて、空港等は封鎖される可能性は高い。
これは、経済的にみれば、一時的なウォン安を呼び、外資が韓国に投資してきた資産を凍結させることを意味してる。
また、政治面でも、日本が進めようとしている、北朝鮮との拉致被害者を巡る交渉をストップさせる事になるだろうし、六者間協議も頓挫すると思われる。これは、日本の北朝鮮に対するアプローチを引き剥がすことに繋がる。
更に、軍事的にみても、アメリカがバックにいる限り韓国は負けることはない。アメリカ軍が本格的に参戦する迄の、少しの間だけ持ち堪えることができれば、38度線以北に押し返せる。あわよくば、アメリカ軍の力を借りて、金正恩を捕まえて、半島統一だってできるかもしれない。
まぁ半島統一は過剰な期待だとしても、非常に不謹慎な言い方をすれば、韓国にとって、今、直面している苦境を打開できる要素は、"有事"の中に多くある、と見ることも出来る。
勿論、だからといって、韓国が「有事」を望んでいるとは言わない。だけど、もしも、朴政権の中に物凄い"謀略家"かなんかがいて、誰がやったか分からないように、北朝鮮に攻撃を仕掛けたらどうするのか。例えば、海上や38度線を挟んで散発的に局地戦が起こるような事態となったら、日本はどう対応するのか。
全面戦争でない散発的な局地戦で、しかも誰がやったか分からないような状況となると、戦争したがらないオバマ大統領が、果たしてどこまで介入してくるのか分からない。下手をすれば、戦線が拡大しないように、部隊だけ展開しておいて、後は様子を見ているのではないかとさえ。
そうなってしまうと、北朝鮮と韓国の戦争は、だらだらと長期間に渡る可能性が出てくるし、ウォンも慢性的に安くなる。また、国内の混乱を回避するためとか何とかいって、韓国は日本に通貨スワップの拡大のみならず、大規模な経済支援をも要求してくるかもしれない。
…妄想です。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
だから, 蘇我返りの聖武天皇が国家鎮守・国民安泰の
東大寺を造ったのである. 藤原氏が平城京を捨てたのは
東大時の勢力圏から逃れるためだと言う説がある.
なにしろ, 寺院は政治・文化・軍事の一大センターである.
因みに, 藤原氏が広めたのは仏教ではなく「御祈祷仏教.」
国家鎮守の仏教とは月と鼈程の差があり,
平安時代の仏像がひたすら優しくなったのは
平成の世が人権主義で人にひたすら優しくなったのと同じ.
国家鎮守が復活し, 鎌倉時代の仏像が作られた.
何時の世でも, 金持ちのためではなく, 国民全てのため,
国家の安泰のためという強い目標があれば, 文化の
表れも強くなる.
白なまず