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6月7日、安倍総理はフランスのオランド大統領と首相官邸で会談し、政治・安全保障、経済、文化の3つの分野の協力について確認した。
こちらに、会談後に発表された「日仏共同声明」が公開されているけれど、会談項目は次のとおり。
・政治・安全保障分野とまぁ、会談自体は、日本とフランスの協力関係を推進していく内容となっているのだけれど、会談の冒頭で、安倍総理は、今後の日仏協力の大きな方向性として、3点を提案し、オランド大統領から明確な賛意を貰っている。それは次のとおり。
1)テロとの闘い/アフリカ
テロ対策について両国の協力を強化することで一致
2)太平洋における連携
アジア太平洋地域における人道支援・自然災害対策に関し、協力を模索
・二国間関係
1)外務・防衛担当大臣会合の開催、防衛装備品に関する協力、輸出管理に関する協議を創設
2)航空宇宙や原子力などの分野で日仏の企業間協力を一層推進。
3)日本とフランスという東西の食の大国が、双方の食文化を互いに世界に向けて発信
・国際・地域情勢
1)北朝鮮問題について、核保有を断じて認めないとのメッセージを送り続けることで一致。拉致問題についても、オランド大統領より、全面的に、日本に協力していく。
2)オランド大統領より、日本の国連安保理常任理事国入りを支持。国連安保理の早期実現に向け引き続き緊密に対話
(1)「力」や「強制」ではなく、「法」や「自由」等の価値に基礎を置く世界を実現していくこと。先程の日仏共同声明はこの3点を踏まえたものとなっているのだけれど、いの一番に「『法』や『自由』等の価値に基礎を置く世界を実現していくこと」を挙げている。ここでも安倍総理の価値観外交の一旦が垣間見えるし、「自由と平等」の国フランスが、これを持ち出されて断れるはずもない。上手い具合に同意を取り付けたと思う。
(2)日仏の高い技術力を活かし世界経済の力強い成長に貢献すること。
(3)互いの文化的発信力を高め合えるような国民レベルの交流を促進すること。
共同声明で筆者が注目したいのは、外務・防衛閣僚級協議(2プラス2)、防衛装備品に関する協力、輸出管理に関する協議の創設。
これは、2012年10月、フランスの防衛関連企業が、中国にヘリコプター着艦装置を輸出する契約を結んだことも関係している。
この着艦装置は、ヘリコプターからマジックハンドのような棒を船の甲板に下ろして装着し、悪天候でもヘリが着艦できるようにする補助装置。パイロットの技量不足を補えることから、ヘリコプターの前方展開能力が増し、尖閣への領海侵犯を繰り返す中国公船に装備されるとより脅威となる恐れがあった。
これまで日本は、フランスに対して、このヘリ着艦装置について再三懸念を示していたのだけれど、フランス側は「ヘリ着艦装置は民生品としても使用できるので、EUの禁輸対象外」と突っぱねてきた。
EUは、1989年の天安門事件以来、中国に対して、武器禁輸措置をとっているのだけれど、実は、その武器禁輸措置に関する文書には「武器」としか書かれておらず、対象品目について何も決めなかった。民生にも軍事にも使える汎用品についての合意はなく、加盟各国がそれぞれの国内法、規制に照らして、対象品目を決めることができた。
ということで、汎用品を隠れ蓑にして、フランス、ドイツ、イギリスといったEUの主要各国は中国に"汎用品"を輸出又はライセンス供与を続けている。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、2008年から2012年の間に、フランスは対空ミサイル(SAM system R-440 Crotale)、ユーロコプター(AS-565SA Panther)、艦載レーダー(DRBV-15)、フリゲート用ディーゼル・エンジン(PA6)のライセンス生産を中国に認めている。イギリスは、戦闘機にも使用可能なターボファン・エンジンのライセンス生産を許可しているし、ドイツも戦車に転用可能なディーゼル・エンジンを中国に輸出していたという。
この中で、フランスがライセンス生産を認めた対空ミサイル「クロタール(Crotale)」は、1964年に南アフリカ共和国の依頼を受けてフランスのトムソンCSF社(現タレス社)が開発した自走式の中・低高度用対空ミサイル・システム。ミサイルと追跡用レーダーを搭載する射撃ユニット車と、捜索用レーダーと管制装置を搭載する捜索ユニット車から構成され、通常は2~3両の射撃ユニットと1両の捜索ユニットで一個小隊を構成する。
クロタールシステムの主兵装であるマトラR440ミサイルは、重量85kg、全長2.89m、直径0.15m。推進装置は固体ロケット式で、発射後2.3秒で最大速度のマッハ2.3まで加速するとされる。有効射程は50~10000m、有効高度は15~4000m。
SIPRIのデータが本当であれば、武器としかいいようのない対空ミサイルのライセンス生産を許可する神経が分からない。
日本は、日本は一昨年の武器輸出三原則の緩和で、アメリカ以外の国との武器の共同開発が可能になっているのだけれど、フランスは日本との防衛装備品協力でイギリスに遅れをとっていた。
フランスは日本の先端技術を取り込んで、自国経済の回復を図りたい思惑があり、日本側に防衛装備品協力を要望していた。
そこで、日本側は中国へ武器輸出をさせないように、輸出管理の枠組みを交換条件として要求。これを成立させた。
外務省幹部によると、「日本が売却自粛を要請しても、フランスは『自由貿易』で逃げる。装備で協力するからには、変なところに売ってもらっては困る」ということのようで、つまりはバーター取引。
だけど、これは、日仏両国にとっても悪い話じゃない。フランスは技術と経済を、日本は経済と安全保障に対して、それぞれ梃子入れすることができる。
2プラス2についても、アメリカ、オーストラリア、ロシアにつづいて今回のフランスで4ヶ国目。日本がヨーロッパとも協力・対話を進めていくことは、そのまま中国に対する牽制になる。今後の推移を見守りたい。
この記事へのコメント
白なまず
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ちび・むぎ・みみ・はな
王室を早々と追放してしまうなど仏国は
伝統無視の過激な国に見えるが,
日本の伝統芸能やファッションに対する理解が深い.
「Kawaii」を最初に理解したのも仏国のようだ.
結局はアルプス以北の欧州の中で最も最初に
定住化し文明化したのが仏国だからであろう.
米国人を野蛮人と見る心意気は日本も見習うべし.