香港スタバ、トイレの水でコーヒーを淹れる

 
今日は、一部で話題となったこの話です。

画像
 ブログランキングに参加しています。応援クリックお願いします。

香港のあるスタバ店舗がトイレの水を使ってコーヒーを出していたことが判明し、騒ぎになっている。

問題の店舗は、香港の「スターバックス中銀大廈店」。店舗から70メートル離れた駐車場にある公衆トイレの中の水道蛇口から採水してタンクに溜めて、店舗に持ち込み使っていた。

何でも、店舗内に水道設備がなかったというのがその理由らしく、なんと、オープン以来2年間ずっとトイレの水を使い続けていたという。

無論、行政当局は「採水方法も場所も規定違反」であるとして同店に警告を出し、即刻改善するよう要求したのだけれど、スターバックス香港のスポークスマンは「トイレ内の水道は飲用水である。…水を運ぶタンクも定期的に消毒。加えて店内には最新の濾過システムがあり、水は濾過してから使用していた」と安全性を強調している。

これに対して、香港飲食協会会長の黄家氏は「トイレにはどうしても雑菌が発生する、そこから飲用水を採取するのはいかがなものか」との旨のコメントをしている。

当然のことながら、香港市民からは、「信じられない」、「香港だしスタバだから安心していのに」と批難轟々。結局、トイレからの採水を一切停止し、ボトルの飲用水を導入することを決定した。当たり前の処置。

筆者は、スターバックスは徹底した品質管理と高級志向をビジネスモデルとしたコーヒーチェーン店というイメージを持っていたのだけれど、いくら豆を管理して、高級な店内を演出したとしても、肝心の水がこれでは、信用ガタ落ち。珈琲を出す店なのに、店内に水道設備がないという所からして信じられない。よくもまぁ、出店を許可したものだと思う。

だけど、そもそも、香港の水道水の品質はどうなのか。



香港は、中国の特別行政区で、華南の珠江デルタに位置し、香港島、九龍半島、新界および周辺に浮かぶ島々を含んだ地域。面積は1104平方キロで、人口は700万人を超える。アジアを代表する世界都市の一つ。

だけど、香港には、湖、河川、地下水などの水資源が少なく、その供給は大きな問題となっている。香港における主水源は大きく2つある。ひとつは雨水で、もう一つは広東省からの導水。

香港の年間降水量は、1300mm~3000mmの範囲で、平均は2450mm。年間降水量の世界平均は大体1000mmくらいだから、一見、水があるじゃないかと思うのだけれど、香港は、乾季と雨季がはっきりと分かれていて、特に6月から8月にかけての3か月に年間降水量の半分以上が集中する。

香港には、雨水の貯水池が17箇所あり、それらの総容量は約586M立法メートル。だけど、これだけでは、香港全体の水需要には十分でないため、広東省から、年間820M立法メートル、最大1100立法メートルの水を購入している。

広東省からの供給される水の水質については、中国政府が定めた国家基準に準じている。この基準は「Environmental Quality Standards for Surface Water」というもので、大きく5段階に分かれている。その内容は次のとおり。
Ⅰ類:主に水源地、国家自然保護区に適用
Ⅱ類:主に一級保護区の集中型生活飲用水の水源、貴重な魚類保護区、魚類エビの産卵場などに適用
Ⅲ類:主に二級保護区の集中型生活飲用水の水源、一般の魚類保護区及び水泳区に適用
Ⅳ類:主に一般の工業用水区及び人に直接接触しない娯楽用水区に適用
Ⅴ類:主に農業用水区及び一般の景観に必要な水域に適用
基準項目は全部で75項目あり、基本項目が31項目、湖水やダムの富栄養化の抑制を目的とした特定項目が4項目、そして、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ類水域の有機化学物質の抑制を目的とした特定項目が40項目ある。

今の所、香港政府と広東当局は、Ⅱ類の水質を水を供給するべく、連携して取り組んでいるようだ。

この水質項目について全部きちんとはみていないのだけれど、Ⅱ類以上の水ならそのまま安心して飲めるとは言い難い。

次の表は、この水質基準の一部なのだけれど、最後の大腸菌の項目をみると、Ⅱ類の水で、1mgLあたり2000個以下、Ⅰ類でも200個以下となっている。つまり、この数までなら大腸菌がいてもよいということ。
画像
ところがWHOの基準では、大腸菌は100mLあたりで、1個も検出されてはならないことになっている。勿論日本も同じ基準。

今のところ、香港の水は、一応、WHO基準をクリアしていることになっているから、広東省から買った水については、浄水場等で濾過・浄水する必要があるし、実際、浄水場で処理して、WHO基準をクリアしているものと思われる。

だけど、いくら浄水場で綺麗な水を送り出したとしても、途中の水道管が錆びていたり、雑菌が繁殖していたりなんかしていたら、実際の蛇口からは汚れた水しか出てこない。浄水場で浄水した意味がない。

こちらや、こちらのサイトでは、何やら香港の水の"怖い話"が載っているのだけれど、これが事実であれば、各家庭やその他水道設備等のメンテナンス状態によって、水質に相当なバラつきが出ている可能性がある。

スターバックス香港は、今回問題になった店舗の他に、トイレから採水している店舗はないとしているようなのだけれど、これらを考えると、たとえ、他の店舗では、水道設備があり、ちゃんと水道水を使っているから安心だ、とは必ずしも言えないような気がしてならない。

何にしても、安心安全な水は蛇口の先にまで供給してこそ。腹を壊してからでは遅い。

画像



画像

この記事へのコメント

  • 白なまず

    水質基準をクリアーしているなら、問題ないように思えるが、味はたいぶ違うでしょうね。香港スタバの味の特徴になると笑えませんね、、、因みにコーヒーの味は軟水・硬水・超硬水で全然違うそうです。

    有機栽培コーヒー豆専門店「生豆屋」店長の日記
    【水の硬度別に実験】より抜粋
    http://kimameya.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-e442.html

    軟水:国産
    硬水:フランス産(エビアン evian)
    超硬水:フランス産(コントレックス Contrex)

    硬度とは:水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどの量を、これに相当する炭酸カルシウムに換算して数値で表したもの。硬度が高い水を「硬水」、低い水を「軟水」という。

    実験の結果
    苦味:硬水(硬度が高い)ほど、苦味が強く感じられた。
    酸味:軟水は適度な酸味があり、硬水(硬度が高い)ほど酸味が消えた。
    渋味:軟水は適度な渋味があり、硬水・超硬水はあまり渋味を感じなかった。
    風味:軟水(硬度が低い)ほど、複雑な香りやまろやかさが感じられた。
    2015年08月10日 15:22
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    四国のドコゾで仏国の会社に浄水管理を
    まかせる地方自治体があるらしいが,
    金勘定の旨い連中に任せるとろくなことはない.

    大体, 欧州の人間はスイスの牧場の
    小川の水を平気で飲むからね.
    そこらに羊のあれがポロポロあるのに.
    水は三メートル流れると奇麗なのだそうだ.
    そんな連中がボトル入りの水しか飲まんのだから,
    日本以外の水道水は推して知るべし.

    40年前に大阪に住んでいた時には琵琶湖の
    藻のために臭い水を飲まされていたが,
    それでも国際基準はクリアしていた.
    現在の水道水はカルキ臭も非常に少ない.

    家の猫は水道から出たての水が大好きで,
    何時も旨そうに飲む.
    日本に生まれて本当に良かったな. チビ!
    2015年08月10日 15:22

この記事へのトラックバック