橋下発言の余波と国益

 
橋下慰安婦発言の延焼が収まる気配を見せません。

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維新の会が橋下共同代表の慰安婦発言で揺れている。支持率急落で、6月の東京都議選や、7月の参院選で維新候補予定者が続々と辞退の動きがある。

参院選比例代表候補に内定していた松本鉄平氏が、資金難を理由に出馬を辞退。同じく、比例候補だった松本和巳前衆院議員も出馬辞退と政界引退を表明。 都議選も、江戸川区選挙区の新人が辞退。

橋下氏から距離を置くことが得策と考えているのだろう。

橋下発言の余りの延焼具合に、安倍政権の閣僚もダメージコントロールに入り始めた。

5月31日、谷垣法相は記者会見で「挑発的な発言をしながら世論の反応を見て世の中を動かそうという手法でやってきた。一種の危うさも含んでいる。…われわれ政治の場にいる者としては興味深い手法だと思う」と述べ、下村文部科学相も「海外では女性の人権問題と位置付けられている。相当、国益にマイナスになっている。」と非難した。

下村大臣が指摘した海外の反応に関しても、6月1日、小野寺防衛相は、シンガポールで開かれている安全保障に関する国際会議で、「先日来、日本の野党の一党首が、日本の過去の歴史に関し、不適切な発言を繰り返し、周辺諸国に誤解と不信を招くということがありました。安倍政権は、そのような発言や歴史認識にくみするものではありません」と述べた。

安全保障に関する国際会議で、こんな異例の言及をしなければいけないこと自体、表や裏で相当海外からの批判を浴びているのではないかと思わせる。

5月27日、みんなの党の浅尾政調会長は、BS11の番組で、日本維新の会との選挙協力を解消した理由について「日本の改革勢力であるみんなの党と維新が、どちらも反米保守だと見られることが、どれだけ国際環境の中でマイナスか。あえて対外的なメッセージで判断をした」と述べているから、それだけ気にしているということ。

だけど、浅尾政調会長は、6月1日、「維新が党の統一見解として、侵略だったとまとめることが、最低限の条件だ」と述べ、維新と完全に切れてしまうことには未練たらたら。

維新は維新で、橋下、石原両共同代表の意見が異なっていることから、歴史認識に関する党の見解はまとめない方針としている。参院選までの残り時間を考えると、たとえ、再び選挙協力することになったとしても、効果的な選挙戦を展開できるかどうかは分からない。

マスコミの殆どは、橋下叩きに終始しているようだけれど、それが全部民意なのかどうかは、言い切れない部分もある。



6月1日、テレビ大阪の番組「たかじんnoマネー」で、橋本慰安婦発言について取り上げ、視聴者からの電話アンケートを生放送で取っていた。

番組の冒頭で、橋下発言について問題あるかないかを、8人のコメンテーターに聞いていたのだけれど、8人全員が問題有り、としていた。

しかも、その後の放送で、橋下氏をボロクソに叩いていたから、そんな放送をしながらアンケートを取るのは、結果誘導になるのではないかという気がしたのだけれど、豈図らんや結果は真逆。

問題アリが2011票であったのに対して、問題ナシが7713票。トリプルスコアを遥かに超える支持。狼狽えたスタジオコメンテーターは、 発言に対する支持ではなく、橋下氏へ支持だとか、二択だからどうこうとかいっていたけれど、あれ程スタジオで叩きまくっていたにも関わらず、この結果になったということは、テレビの影響力が落ちてきたともいえ、番組スタッフは青くなったのではないか。

まぁ、これが大阪限定の話なのか、たまたまそうだったのかは分からない。「特殊慰安隊とライダイハン」のエントリーで、橋下氏の発言はこれまで埋もれていた声を掘り起こしつつあると述べたけれど、その一部が噴出しているのかもしれない。

橋下発言について、マスコミも、与野党も国益を毀損している、という論を展開しているけれど、単に国益といっても、時間軸を加えて考えると、そうそう単純な話ではなくなってくる。つまり、何某かの行為によって、現在只今の国益を守ったようにみえたとしても、それが何十年か後には逆に国益を害することになってまうこともあるということ。

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橋下発言にしても、その問題の根元には「河野談話」がある。河野談話については、当時、官房副長官だった石原信雄氏が1997年に産経新聞のインタビューで、次のように答えている。
韓国側の要請は強かったのかーーーー
「元慰安婦の名誉回復に相当、こだわっているのが外務省や在韓大使館を通じて分かっていた。ただ、彼女たちの話の内容はあらかじめ、多少は聞いていた。行って確認したと言うこと。元慰安婦へのヒアリングを行うかどうか、意見調整に時間がかかったが、やはり(担当官を)韓国へ行かせると決断した。行くと決めた時点で、(強制性を認めるという)結論は、ある程度想定されていた」

それが河野談話の裏付けとなったのかーーーー
「日本側には証拠はないが、韓国の当事者はあると証言する。河野談話には『(慰安婦の募集、移送、管理などが)総じて本人たちの意志に反して行われた』とあるのは、両方の話を総体としてみれば、という意味。全体の状況から判断して、強制に当たるものはあると謝罪した。強制性を認めれば、問題は収まるという判断があった。これは在韓大使館などの意見を聞き、宮沢喜一首相の了解も得てのことだ」

談話の中身を事前に韓国に通告したのかーーー
「談話そのものではないが、趣旨は発表直前に通告した。草案段階でも、外政審議室は強制性を認めるなどの焦点については、在日韓国大使館と連絡を取り合って作っていたと思う。」

韓国側が国家補償は要求しない代わり、日本は強制性を認めるとの取引があったとの見方もあるーーー
「それはない。当時、両国間で(慰安婦問題に関連して)お金の問題はなかった。今の時点で議論すれば、日本政府の立場は戦後補償は済んでいるとなる」

元慰安婦の証言だけでは不十分なのではーーー
「証言だけで(強制性を認めるという)結論に持っていったことへの議論があることは知っているし批判は覚悟している。決断したのだから、弁解はしない」
1997年3月9日 産経新聞より
このように、当時の段階で、元慰安婦の証言だけで強制性を認めるという結論に持って行っているのだけれど、そうしたのは、強制性を認めれば、問題は収まるという判断があった、と述べている。

つまり、当時は当時の国益として、そういう判断をしている。だけど、当時は国益に適ったのかもしれない「河野談話」という判断は、あれから数十年経った今、逆に国益を毀損する判断と見做されるようになってしまっている。

このように、現在、只今の国益に適うからといって、安易に判断してしまうと、未来において大きな仇となってしまうこともある。それほど未来を見通すのは難しい。

確かに、橋下慰安婦発言は、現在只今の日本の国益を毀損していることは間違いないとは思うけれど、それが何十年後の未来の世界では、どう転んでいるかは分からない。

であるならば、捲土重来を期して、橋下発言が、何十年後かの未来の国益に繋がるように、今の段階から、その為の準備と仕込みがあってもいい。

今は、橋下発言と、その元となった河野談話に注目が集まっているけれど、その河野談話を出す原因を作ったのは、朝日新聞。

朝日新聞は、1991年から、いわゆる「従軍慰安婦」問題を取り上げ、1992年1月に「日本軍が慰安所の設置や、従軍慰安婦の募集を監督、統制していた」と報道。外交問題化した。

朝日新聞が報道した「従軍慰安婦」なるものが事実であったのなら兎も角、その証拠としていた吉田清治氏の著作の内容は、後に済州新聞の許栄善記者や秦郁彦氏らの調査の結果、捏造であることが明らかになり、吉田氏本人も創作と認めている。

だから、今、河野談話を問題視するのであれば、創作に基づいた報道を行った朝日新聞にも責任追及はあってしかるべき。ここは、国会への証人喚問でもなんでもして、しっかり追及して責任を取らせないといけないと思う。




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この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    > 表や裏で相当海外からの批判を浴びているのではないか

    真っ赤な(嘘の)朝日のお得意なソースロンダリング.
    日本人のように海外事情に敏感なものでも
    ロサンゼルス市長が東京大空襲にどんな感想を持って
    いるかということを厳しくは言わない.
    当然, 海外の人にとっては既に「終った話.」
    終っていない, あるいは, 終らせないのは真っ赤な
    (嘘の)朝日とチュウ様のNHK等など.
    彼らに協力する必要はないだろう.

    我々が考えることは海外がどう思うかではなく
    日本を泥沼の戦争に追い込んだ真っ赤な(嘘の)朝日を
    どう追い込むかである. つまり, 近衛文麿政権が
    実際に真っ赤な(嘘の)朝日と組んで何をしたか,
    そして, 停戦の重要な時期に何をしなかったかである.
    これ以上に日本人が知るべき重要なことはない.
    2015年08月10日 15:22
  • sdi

    まず、記事中に出てくる谷垣法相の発言は橋下市長の手口をそのものずばり指摘してますね。まさしく場当たりの炎上マーケティングです。戦術レベルの思考であって戦略などありません。
     この問題について、強気の方々はこの論争についてどのあたりを勝敗ラインに設定しているのでしょうか。慰安婦問題をプロパガンダ戦争、人民解放軍用語の「世論戦」とするなら主戦場は大きく分けて日本国内世論と欧米国内世論ということになります。前者の戦場で我々が為すべきことは、まず朝日新聞に自社の報道を訂正させることです。というか、国内で「誤報」「捏造」をやらかした当の新聞社が平気の平佐でのうのうとしている状況で、海外の世論戦の場で「事実」を主張しても相手に対して説得力を持つでしょうか?この点、一向に朝日新聞を糾弾しない他のメディアも同罪です。日本国内の世論の意思統一もできず分裂したまま海外に打って出て「世論戦」に勝てるでしょうか?
     後者の戦場では、どのあたり勝敗ラインを引くつもりなんでしょうか?私は「慰安婦問題を欧州各国及び米政府及び議会が取り上げないようにする」ことができれば大勝利と考えています。世界各国の人権団体、特に在
    2015年08月10日 15:22
  • 白なまず

    疑問①:橋下さんの発言が維新の会を解体する事は橋下さんも判った上で発言していると思います。何のメリットがあって発言したのでしょうか?

    橋下さんと石原さんの後ろにはグローバルリスト(=ユダヤ国際金融組織)が居ます。維新の会が無くなっても、新たな政党なりを作ることは簡単でしょう。利用された他の皆さんが気の毒ですね。

    疑問②:米仏でGIのレイプ問題は米国民の反軍事行動、反米軍の意識に繋がる可能性がありますが、それを許す米メディアには何のメリットがあるのでしょうか?

    米政府は軍事予算を増やさないし、米兵の給料は上昇し、兵器の値段も上昇しているので、軍事能力は実質上弱くなる。支那の軍事拡張が止まれば何とかなるかもしれないが、、、

    橋下発言は安倍政権が参議院選挙で圧勝しても憲法改正を阻止する為にグローバルリストが仕掛けている。そして、米支那の軍事バランスを微妙にする事で自衛隊のまま軍事能力を拡張させようとしている。米軍がアジアから撤退する切っ掛けを作ろうとしている。等がグローバリストの方針であれば、疑問の答えに繋がるように思う。

    それで、肝心の安倍政権はどう対処すれば良いか、、、①国土強
    2015年08月10日 15:22

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