自由の風はシナの春を呼ぶか

 
昨日のエントリーの続きです。昨日は中国政府目線側からでしたけれども、今日は中国の民衆目線側からです。

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「1984年」の世界に向かう国、中国。かの大陸に"アラブの春"ならぬ「シナの春」は訪れるのか。

中国のトップブロガーである、安替(マイケル・アンティ)氏は、今の中国の言論について、万里の長城の如き、「火の壁」があるという。

マイケル・アンティ氏は、中国政府はあらゆる世界的Web 2.0サービスを遮断した上で、サーバーを全て北京に設置させて あらゆるデータをいつでも検閲できるようにしていると指摘する。それは、権力を掌握する為。

中国版ツイッターである「ウェイボー(微博)」は、サービスを開始する際、そのサービスが中国政府にとって、政権の危険要因にならないことを確約していた。 「集まる」 「会議をする」 「行進する」等の言葉を呟くと、たちまちそれは自動的に記録され、政治局の解析部門に送られる。そして、集会をしようと決めた場所には、既に警官が待機している。そんな世界。

中南海はこれを自身の権力強化に使った。彼らは、北京に置かれたサーバーのデータに、地方政府がアクセスできないようにした。情報を北京の一元管理とした。

だけど、中国のネットは、検閲されているのが基本。その検閲の蛇口を自分達の権力闘争で開け閉めする。例えば、誰か失脚させたい政敵がいるとする。すると、その政敵に対する書き込みを検閲せず、自由な書き込みを一時的に許すのだという。すると、ターゲットとなった政敵に対し、"自由な言論"がある事ない事を書き散らし、その結果、追い落とされてしまう。先年、失脚した薄熙来も、この"手"にやられたのだという。

このように、中南海は、政治闘争の道具としてネットを使っている。ターゲットを定めて、検閲という蛇口を少し捻るだけ。世論を作る必要もない。

勿論、この"手"は、地方政府に対しても同じように働く。地方政府は中南海に賄賂でも送らない限り、北京のサーバーにアクセスできない。ネット上で、自分達に民衆の怒りの矛先が向けられていても、首謀者が特定できなければ、対処の仕様がない。



2011年7月、中国版新幹線が、温州で衝突脱線事故を起こしたけれど、当局は、最初、事故車両を地中に埋めて隠そうとした。これをみた中国のネット民は憤慨し、事故発生後5日間で1千万件を超す批判がネットに投稿されたという。その結果、担当の鉄道省大臣は更迭され、10年間の禁固刑を受けることとなった。

中国では、ウェイボー(中国版ツイッター)は、れっきとして、メディアとして扱われる。その理由は、漢字で最大140文字まで記述できるので、英語よりもずっと多くのことを記すことができるから。事実、ウェイボーは「マイクロブログ」と呼ばれ、既に、3億人の購読者がいる。

マイケル・アンティ氏によると、中南海は、中央こそ正しくて 地方官僚は悪党だというイメージを広げようとしているため、地方の農民など被害者は、陳情人として北京に言って、中央官僚に問題解決を嘆願する。ところが、余りに多くの人が嘆願にくると革命のリスクが高まるため、最近では彼らを送り返すようになった。

そこで、陳情者は、ウェイボーで陳情し、その呟きが偶然に記者や教授、有名人その他に拾われるのを待つのだそうだ。マイケル・アンティ氏は、こうしたことが、中国人の声なき人々にも発言の機会を与えることになり、今や中国人の考え方や生活に変化を巻き起こしているのだという。

2010年5月、チベットのダライ・ラマ法王14世猊下と中国の一般市民とのツイッターによるオンラインチャットが行なわれている。チャットは、市民から寄せられた、およそ300件の質問の中から絞り込んだものに対して、ダライ・ラマ猊下が応えるという形で行われ、交流は1時間にも及んだ。

無論、中国当局はツイッターのアクセスを制限しているのだけれど、サードパーティーのアプリケーションやサーバーからはアクセス出来たりするなど、結構抜け穴があるのだという。

マイケル・アンティ氏は、アメリカのサイト管理者は余程のことがない限り書き込みを削除しないことから、中国人にとってツイッターは、100%自由な発言が許される、初めての公共空間なのだとしている。

こうした、市民レベルの動きに対して、アメリカはいち早く反応していて、北京のアメリカ大使館は毎月、既存メディアとは別に、主要なネット・オピニオンリーダーを招いて意見交換会をしているという。「反米」サイトの運営者でさえも招いて。

先程、中南海はサーバ上の検閲を閉めたり緩めたりすることで、世論を自然誘導させるといったけれど、北京に置かれていないサーバに、中国民衆がアクセスできるようになれば、中南海の意図とは別の世論が形勢される。

つまり、今の一般の中国人には、中国共産党指導部が流す情報とは別に、ツイッター等の独自に情報を得るルートが作られつつあるといえ、それによって、中南海と一般市民との間で、情報格差、意識格差が芽生えている可能性がある。

その意味で、穿った見方をすれば、習政権が大学で「自由を教えないように」との通達は、それだけ市民レベルでの自由な発言を恐れ、それならば、いっそのこと、"自由"という概念そのものを無くしてしまって、発言そのものをしようとは思わなくさせようとしているのではないか。民衆が声を上げることがなければ、規制なんか必要なくなるし、ましてや、天安門のように、武力で押しつぶすこともない。そこまで考えてやっているのだとすれば、なんとも恐ろしい。

不幸中の幸いなのかどうかは分からないけれど、中国には、つい十数年程前まで、"自由な社会"だった香港がある。自由の風に頬を撫でられた人々が居る。

5月26日、その香港で、中国の民主化を求める市民らによるデモ行進が行われている。香港には"自由の風"がまだ吹いている。

人民を無知にさせることで権力を維持しようとする中南海と、自由の風。両者の戦いが中国の未来を握っている。




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この記事へのコメント

  • 白なまず

    支那政府がどんなに情報を制御しようとしても、手遅れでしょうね。例えば、サーバですが、海外のサーバ化は日本の2チャンネルでも実施されているように、コストが安いと言う理由だけでなく、海外にサーバを設置する事で日本の法律の影響を少なくする事も狙っていると思われ、日米間に法的な取り決めが成されない内容であれば抜け道になる。事実日本語のアダルトサイトは存在するし、今の所どうしようもない。そして、もし、将来法律が出来て取締が可能になったとしても、今度は、サーバをネット上で固定化しないような技術であるファイル交換ソフトなどをベースとして、裏サイトなどから不特定のポート(IPアドレスにサービスを割り振る受付窓口のような物)を変化させながらファイル交換し、通信自体も暗号通信にすれば情報を監視し、問題が有れば遮断する様なプログラムでは感知できない。また、既に日本のスマートフォンで利用できるソフトで、自分の携帯がサーバになり特定、不特定の人にファイルを公開出来るソフトもあるので、やろうと思えば複数の携帯間を移動するサーバだって構築できそうである。そして、ネットラジオなどの放送感覚で配信できる全端末へ配信でき
    2015年08月10日 15:22
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    支那の春は, アラブの春がかくあった様に, ナンセンス.
    国民が存在しない国で政府が倒れれば単に無政府状態.
    我々は日本と言うあまりに特別な文明圏にいるから
    「国民」を当然の前提条件として考えるが, 労働者階級
    が国民である国はロシア・欧米を除き少なかろう.

    一時は宇宙開発もできる国と騒がれたが, 何のことはない
    ロシアのロケット技術を買った(盗んだ?)だけ.
    同じことを南朝鮮がやろうとしたが.
    後付けの理論になるが, 国語で先端科学を議論できない
    国が独自な先端技術を開発できる訳がない. できるのは,
    欧米(或はロシア)の技術を持ってくるだけ.
    英語にのめりこむことの愚かさが分かる.

    つまりだ, 英語を使用して技術を議論する限り,
    その発想は英語圏のそれを越えないし, 民間の技術にもならない.

    大学でTOEFULを必修化する?
    「日本のフィリピン化」とはけだし名言である.
    教育再生会議には期待したが, 産業競争力会議(?)に
    TOEFULを押しつけられるようでは情けない.
    グローバル主張するグローバル知らず: グローバカ. (名言だ)

    自民党にも沢山のグローバカが存在し, 国
    2015年08月10日 15:22

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