5月28日、中国の重慶から北京に陳情に来ていた7人が、中国を訪れているアメリカのドニロン大統領補佐官に直訴の手紙を渡そうとして、中国当局に拘束される事件が起こった。

彼らは、オバマ大統領に、6月に予定される米中首脳会談で、中国の人権問題に触れてほしいという趣旨の手紙をドニロン報道官に渡そうとしていたという。
今、中国では、こうした陳情者が急増している。それは、中国の地方政府の債務問題が関係している。
2008年のリーマンショックのとき、中国政府は、経済対策として、4兆元の景気刺激策を行った。これによって、地方政府がインフラ投資を積極的に行ったのだけれど、地方政府は、その投資資金を「融資平台」と呼ばれる会社を経由して銀行などから調達した。この時の投資によって、景気は急激に回復したのだけれど、それが不動産バブルを招くことになった。これが今になって、地方政府の債務問題となって重くのしかかっている。その額は途方もない。
今年4月に、中国銀行業監督管理委員会(CBRC)の尚福林・主席は、「地方政府系資金調達会社向け総融資残高は2012年末時点で9兆3000億元(約150兆円)だった。うち、35.5%が3年以内に返済期限を迎える見通しだ。…この総融資残高は地方政府の12年の財政収入の1.5 倍に相当する」と述べていて、これが銀行システムに難題をもたらす恐れがあると指摘している。
それほど、借金を抱えている地方政府が、どうやって借金を返済しているのかというと、実は、その多くは、二束三文で地元の土地を強制的に収用し、その土地を高額で売り飛ばすことで財源とし、返済に充てている。要するに、地方政府が「土地転がし」して、借金の返済をしているということ。
中国では土地は基本的に公有地。ゆえに債務返済を急ぐ地方政府は、どんどん土地を差し押さえ、次々と売却していく。そのとき不動産をめぐる争いは、しばしば暴力的にもなる。
こちらで、中国地方政府の強制立ち退きの様子が纏められているけれど、それはもう酷いもの。
住民と開発業者の立ち退き補償の話し合いがついていないのに、無理矢理立ち退かせるために、アパートを建物ごとなぎ倒したり、ある日突然、夜中にハンマーを持った300人が押しかけて、自宅を破壊するとか。もう無茶苦茶。中には、地元政府が病院の土地を開発業者に売り払った為、病院が立ち退きを求められるケースもあるそうだ。
2012年10月11日、国際人権非政府組織(NGO)のアムネスティ・インターナショナルは、中国での土地収用のための強制立ち退きが過去2年間に急増し、強制立ち退き時の暴力行為で住民が死亡したり、逮捕投獄、自殺するケースもあったと報告している。
アムネスティが調査した40件の強制立ち退きのうち、立ち退きを拒否したり抗議した住民が死亡したケースが9件。2010年3月に湖北省武漢市であったケースでは、取り壊し対象の家に住む70歳の女性が掘削機で生きながらにして埋められたという。有り得ない。
アムネスティは「中国では、潜在的にこうした違法な強制立ち退きをさせられるリスクにさらされている人が何百万人もいる。強制立ち退きに関する抗議は、大衆の不満として最大の問題」と指摘する。
冒頭で述べた陳情者もその被害者であり、拘束された内の一人、袁影さんは、両親が残してくれた唯一の財産である自宅を、賠償金を支払われることなく壊された。彼女は、数年前から北京と地元を往復する陳情者となり、民政省と裁判所、新聞社などを回ったものの、全く相手にされなかった。
彼女は、ニュースで、アメリカのドニロン補佐官が北京に来ていることを知り、陳情者仲間と、アメリカ大使館を訪問しようと相談していたのだけれど、打ち合わせの電話が当局に盗聴されていたらしく、2ヶ所の宿舎のうち、1ヶ所が警察に急襲され、4人の仲間が当日未明に捕まったのだという。まるで漫画の世界でしかお目に掛かれないような弾圧国家。
習近平政権になってからというもの、中国は思想弾圧を強めている。
5月11日、香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストなどは、中国の複数の大学教員の話として、中国政府が、北京や上海の大学側に対して、「自由・人権などの普遍的価値」、「報道の自由」、「公民社会」、「公民の権利」、「党の歴史的誤り」、「権力と資本が癒着した階級」「司法独立」の7項目について授業で触れないようにとの通達を出したと報じている。
何でも、北京の大学には党中央委員会から機密扱いの文書で通達があったらしいのだけれど、大学の教員側からは「そんなことも話題にできないのでは、大学にいる価値はない」との批判の声が上がっている。
それに、中国の弾圧は、思想だけじゃない。ジャーナリストの櫻井よしこ氏によると、ウイグルでは毎年、14歳から25歳前後のウイグル人女性数万人が、故郷から遠く離れた大都市に連れて行かれ、寮生活をしながら安い賃金で働かされる。そして、ウイグル語を禁じられ、生活習慣も変えられた上に漢民族の男と無理やり結婚させられるのだという。いわゆる、民族浄化をやっている。
しかも、チベットやウイグルでは、3人を超える集まりは、それがどれほど他愛のない平和的な集まりであっても、罰せられる。学校の教室にはカメラが設置され、教師が民族の言語や文化について、子供たちに教えないよう監視。新疆ウイグル自治区では街中の至るところに6万台もの監視カメラが設置されているという。
ジョージ・オーウェルの名著「1984年」では、その舞台となった、仮想の超大国「オセアニア」は、思想・言語・結婚などあらゆる市民生活に統制が加えられ、市民は常に「テレスクリーン」と呼ばれる双方向テレビによって、すべての行動が当局によって監視されていた。
大学で「自由」を教えないよう指示したり、地方少数民族の行動をカメラで監視しているのなんて、正にこの「1984年」を彷彿とさせる。
2013年の中国は、「1984年」に向かって、物凄い勢いでタイムリープしている。
「分かるだろう、ニュースピークの目的は挙げて思考の範囲を狭めることにあるんだ。最終的には<思考犯罪>が文字通り不可能になるはずだ。何しろ思考を表現することばがなくなるわけだから。必要とされるであろう概念はそれぞれたった一語で表現される。
…自由という概念がなくなってしまったときに、<自由は隷従なり>といったスローガンなど掲げられるはずもない。思考風土全体が変わるのだよ。実際、われわれが今日理解しているような思考は存在しなくなる。
正統は思考することを意味するわけではない。その意味するところは思考する必要がないこと。正統とは意識のないことなのだ。」ジョージ・オーウェル著 「1984年」より
この記事へのコメント
白なまず
、、、天に一柱 地に一柱 火にも焼けず水にも溺れぬ元の種隠しておいての今度の大建替ぞ、何んなことあっても人間心で心配するでないぞ、細工は隆々仕上げ見て呉れよ、此の神はめっ たに間違いないぞ。三千年 地に潜りての経綸で、悪の根まで調べてからの経綸であるから、人間殿 心配せずに神の申す様 素直に致して下されよ。末法の世とは地の上に大将の器(うつわ)無くなりてゐることざぞ。オロシヤの悪神(あく)と申すは泥海の頃から生きてゐる悪の親神 であるぞ。北に気つけて呉れよ、神の国は結構な国で世界の真中の国であるから、悪の神が日本を取りて末代の住家とする計画でトコトンの智恵出して何んなこ としても取る積りで愈々を始めてゐるのざから余程褌締めて下されよ、、、
ひふみ神示 第11巻 松の巻 第六帖 (二九七)
今の世に出てゐる守護神、悪神を天の神と思ってゐるから なかなか改心むつかしいぞ。今迄の心すくりとすてて生れ赤子となりて下されと申してあろが。早よ改心せねば間に合はん、残念が出来るぞ。この神示わからん うちから、わかりておらんと、分りてから、分
mohariza
世の中の権力者は、いつの時代でも、何処の国(地域)でも同じです。
ちび・むぎ・みみ・はな
こんな民主主義とはかけ離れ, 国民の居ない
支那を助けるような投資をしていて良いのだろうか.
ISOにはそんなことを禁止する条文はないかも知れないが,
そもそもISO以前の問題だろう.
トヨタは会社設立の頃の社是に戻るべきでは
ないか.
儲かれば良いのか.
弁信
朱鷺池
法と、人権を守る事を国是とする。
経済を立て直し、自立的防衛力を、整備し協力できる国を
作るべきで、その力は国民が普遍的に持つ。
sdi