歴史を忘却する韓国
7月29日、サッカー東アジア杯で、初優勝を飾ったザックジャパンが帰国した。
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ザックジャパンは海外組を招集せず、Jリーグ所属のメンバーで構成した急造チームだったけれど、結果として選手層の厚さを見せつける形となった。特に最終戦の韓国戦では、押し込まれる場面が多かったけれど、耐え抜いて数少ないチャンスをものにした、ドーハの悲劇を生中継で見ていた筆者にとって、今の日本代表の強さは隔世の感がある。
さて、その日韓戦で、やはりというか、またというか韓国がやらかした。それは、韓国が自国有利な対戦日程を組んだだとか、練習場に仕切りがなく、韓国代表の宿舎から丸見えで偵察し邦題だとか、試合に関することじゃない。韓国のサポーターが、スポーツに政治を持ち込んだこと。
日韓戦の試合会場で、韓国サポーターは、「歴史を忘却した民族に未来はない」という横断幕を掲げ、のみならず、安重根をプリントした巨大幕をもスタンドに広げた。
今回は試合中に日本サッカー協会(JFA)が抗議して、問題の横断幕はハーフタイム中に撤去されたのだけれど、無論、応援時の政治的な主張は、国際サッカー連盟(FIFA)の規定で禁じられている。この問題について、JFAの大仁邦弥会長は東アジア連盟に抗議文を提出したのも当然だし、7月29日、菅官房長官は「国際サッカー連盟(FIFA)は応援時に政治的主張を行うことを禁じており、横断幕が掲げられたことは極めて遺憾だ」と述べたのも当然のこと。
だけど、この撤去という当たり前の処置に、韓国サポーターは不満だったらしく、後半からの自国の応援を拒否。後半は日本サポーターの応援の声だけが響くという、韓国では有り得ない事態となった。筆者も吃驚した。
問題となった横断幕に綴られた「歴史を忘却した民族に未来はない」という言葉は、朴大統領が日本批判したときの言葉だし、安重根も、中韓首脳会談でハルビンに石碑を建てたいと口にした人物。なんだかんだいって、一国のリーダーの言動は、国民の行動に影響を与えるということのなのかもしれないけれど、こんなタイムリーな横断幕を出して、政治的意図はなかったなんて言い訳は通用しない。
それにしても、最近の韓国は、自分の気に入らないものとなれば、なんにでも噛みつく。
7月27日、韓国出身で日本に帰化した評論家の呉善花・拓殖大学国際学部教授は、韓国への入国を拒否されたことが明らかになっている。
入国拒否の理由は明らかにされなかったそうなのだけれど、韓国では、呉善花氏に対する批判が渦巻いていた。呉善花氏は「SAPIO」7月号で、韓国のハングル優先政策が未だに韓国人がノーベル賞を受賞できていない原因のひとつだとする論を述べていたのだけれど、韓国メディアは、呉善花氏の入国拒否を伝えるニュースの中で、この「SAPIO」の記事を取り上げたそうだから、どうやら、呉善花氏の主張は気にいらなかったようだ。ソウル新聞は「親日・反韓女性評論家」と表現し、 ニュースサイト「マネートゥデイ」は「韓国語を公に侮辱した」と批判している。
そして、韓国は宮崎駿監督の「風立ちぬ」についても、軍国主義の反逆者を美化したと批判している。だけど、「歴史を忘却した民族に未来はない」と本気で思っているのなら、歴史については、多面的に見てしかるべき。なぜなら、自分達の歴史認識だけでしか過去を見ないのであれば、そこから零れ落ちる"歴史"も当然出てくるであろうから。
先日、ようやく日本で出版された「竹林はるか遠く」にしても、これも"歴史"の一面を綴ったものの筈。だけど、韓国は、それを真摯に受け止め、検証することもなく、国内での発売を中止している。韓国は、「竹林はるか遠く」という歴史を封印した。
韓国から「風たちぬ」への批判を受けた、宮崎駿氏は、「主人公堀越は、軍の要求をたくさん受けたが、それなりに対抗して生きていた人物である。その時代を生きたので、無条件に罪を背負っていくべきだろうか?私の父も戦争に加担したが、良い父親だったと思う。その時代はどんな時代だったかが重要な問題だ」と反論しているけれど、これは要するに、過去をまた別の面から見てみようという試みでもあると思う。
それを汲み取ることなく、自分の歴史観に反するものは最初から拒否するという態度こそ、「歴史を忘却」する行為に他ならない。
韓国では、「風たちぬ」は9月に封切りだそうだけれど、もしも、呉善花氏の入国拒否よろしく、「風たちぬ」の上映を拒否するようであれば、韓国はますます思想統制というか思想鎖国に向かうことになる。
呉善花氏は、くだんのSAPIOの論文の中で、ハングルが優先され漢字が使われなくなった結果として「さらに恐ろしいのは文化の断絶である。古典や史料がどんどん読めなくなり、大学の研究者たちでさえ60年代に自らの指導教授が書いた論文を読むことができないのだから、問題の根はとても深い。…折に触れて漢字の復活が議論されたが、『世界一優れた文字を守れ』と主張するハングル至上主義者たちの反対に遭い、今や教師の世代に漢字を教えられる人材がいなくなってしまった。自分たちの大統領である『朴槿惠』はおろか、過去の調査では大学生の25%が『大韓民國』を漢字で書けないとするものもあった」 と指摘している。
これは、ハングル以外の文字文化を拒絶したということでもあり、その意味では「竹林はるか遠く」の出版拒否に通ずるものがある。だから、彼らが自分に都合の悪い歴史を全て拒絶する態度を続けるのなら、やがては、彼らの歴史認識は、自分達だけの中でだけ通じる非常に狭いものになってしまう可能性がある。
既にそれは、日韓併合を結果として進めることとなった、安重根を英雄視するのみならず、それを他国にまで強要するような態度の中に芽生えているようにさえ見える。
韓国は歴史を忘却し始めた。
この記事へのコメント
白なまず
とおる
・なぜ、呉善花さんは祖国・韓国へ入国できないのか?
http://bylines.news.yahoo.co.jp/nishimurakohyu/20130730-00026855/
> ハングルが優先され漢字が使われなくなった結果として「さらに恐ろしいのは文化の断絶である。古典や史料がどんどん読めなくなり、
「歴史を忘却した民族に未来はない」・「文字が読めず文化の断絶のある」国は、韓国だけで無く、韓国が擦り寄る中国も同様。
sdi
「世の中には(事実と異なる意味での)普遍的な真理がある」
「真理は絶対的なものである以上、あらがうことは不可能」
木村幹教授が、朱子学由来の韓国人の独特の考え方として上記2点を挙げていました。この真理という言葉は「時代精神」という言葉に置換え可能です。
この「真理=時代精神」が周囲の状況から帰納的に導きだされるのではなく、自分たちの側から「これが真理=時代精神だ」と提示してくるから厄介です。そして当然のことですが、彼らにとって「真理=時代精神」に逆らうことなぞ論外なわけです。ハングル至上主義や離米卑日従中政策も、そういう意味で彼らにとって「真理」であり「時代精神」」なのでしょう。
今までにも書いてますが、我々にできることは韓国人がそういうイデオロギー的な考え方をする集団であることにを十分わきまえた上で、こちらの損害がなるべく少なくなるような対策を模索することです。
opera
90年代初頭の慰安婦問題は朝日の捏造が発端とはいえ、韓国で大騒動になった理由の一つに、女子挺身隊と慰安婦の区別もつかなくなっていた韓国人の歴史認識の劣化がありました(それゆえ、日本が迎合すれば事態が悪化するのは明らか)。
以前もコメントしたように、韓国の歴史観()とは、単一の価値観を先に設定し、それに都合の良い事実のみを収集する、無ければ捏造することも厭わないというもの。
しかし、本来の歴史観とは、まず過去の事実の確定が先にあって、確定された複数の事実を繋ぎ合わせてどのような歴史像をを描くかという解釈の問題。したがって、着目する事実群や優先順位が異なれば、当然異なった歴史観が生じる。これは日本も欧米も変わらない(というより、社会科学全般の基本的発想そのもの)。
韓国の発想に複数の歴史観が生じうる余地はありません。
では、漢字教育を復活させれば良いのか。
しかし、これも簡単な話ではない。ハングル至上主義など建前に過ぎないでしょう。もし漢字教育が公式に復活すれば、現在漢字の読み書きができない現役世代は