
参院選で大敗北を喫した民主党が大荒れに荒れている。

1.荒れる民主党
7月23日に行われた民主党の党役員会で、細野幹事長が正式に辞意を表明。執行部は必死に引き止めを図ったのだけれど、細野氏の意思は固く、慰留を断念。
翌24日、海江田代表は菅元首相と都内のホテルで会談し、東京選挙区で党公認を取り消した無所属候補を支援したことを理由に離党を勧告した。
菅氏に対して、海江田代表は「菅元代表と鳩山元代表の言動について厳しく対処すべきだという多くの意見をいただいた」と述べたのだけれど、菅氏は「党を辞める気はない。処分が決まれば従う」と、これを拒否した。
海江田代表は除籍(除名)処分も辞さない構えでいるのだけれど、菅氏周辺は「無所属候補を支援したのは菅氏だけではない。1人だけ離党を求めるのはおかしい」と反発している。
鳩山元首相についても、尖閣諸島を巡り、「中国側から見れば、(日本が)盗んだと思われても仕方がない」などの発言を繰り返したことで、これも除籍(除名)とする方針。鳩山氏はすでに離党しているけれど、離党前に遡っての処分を検討するという。
と、まぁ、残って欲しい細野氏には逃げられ、追い出したい菅氏には居座られるという有り様。落ち目の組織はどこもこんなものなのかもしれない。
2.優位に立つネット情報
今回の参院選では、どこのテレビ局も特番を組んで放送していたけれど、大手マスコミにも陰りが見られたように思う。それは、情報の速報性において。
民主党の細野氏の幹事長辞任についても、その第一報はマスコミからではなかった。なぜなら、細野氏本人が、どこよりも先にツイッターで辞表の提出を明らかにしてしまったから。
スクープを取り損ねた新聞などは「ツイッターで明らかにした」と後追いするしかなかった。何処よりも新しい情報を伝える筈のマスコミが、「New」を伝える存在でなくなった。
この現象は細野氏だけじゃない。参院選の開票が始まるや否や、当確を決めた候補者達は、ツイッターやフェイスブックで喜びの声を上げたし、安倍総理もFBで「参議院選挙、17日間を通じて、国民の皆様の大きな期待を肌で感じました。『この道をブレずに進んで行け』との皆様の声をしっかりと受け止め、我々に課せられた責任をしっかりと果たしていけるよう、これからも全力で前に進んでいきます」と「勝利宣言」をしていた。
マスコミはこれらの本人の声を良くて同着。大抵は後追いで報道するという始末。FBやツイッターなど、個人が広く情報発信できるツールを手に入れたお蔭で、生の一次情報がマスコミを経由することなく、ダイレクトに国民に届くようになった。
筆者は、去年の衆院選の前に、「安倍総裁のネット優位化作戦」、「デタラメ記事と安倍FBの反撃」のエントリーで、普段マスコミに話さないようなコメントをネット上で行ない、情報格差をつけるべきだ。そうしてネットの優位性を確立すれば、マスコミはネットの後追いをするようになる、と述べたけれど、今の状況は、まさにこの「ネット情報優位」状況が出来上がりつつある。
自民党の平将明衆院議員は3月のJ-CASTニュースのインタビューで、「今は、当事者の政治家がツイッターなんかで直接発言しちゃって、記者より早い。…読者も記事を読むより、ツイッターでキーパーソン抑えておけばいいってことになる。マスコミはこれまでは他社との戦いだったのが、全然違うライバルが出てきた」と述べているけれど、そういうこと。
3.無双が速報を超える日
これに危惧を覚えたのか、マスコミからは、政治家が国民全体に広く発表すべき話を、フォロワーにまず伝えるというのは如何なものか、なんていう声も上がっているようだ。だけど、いくらマスコミが広く情報を伝えられるからといって、偏った情報が、さも公平中立であるかのように報道されるくらいなら、本人のコメントという、ある意味"偏っている"と、最初から明らかになっている情報を主体的に取りに行くほうがよほど健全ではないかと思う。
たしか、どこかのタレントか何かが番組を批判されて「嫌なら見るな」と発言して騒ぎになったことがあったような記憶があるのだけれど、「嫌なら見るな」というロジックが通用するのなら、その裏返しである「知りたいならフォローする」というのもOKな筈。
何れにせよ、これまでマスコミが独占してきた情報の速報性については、その一角が崩されようとしていることは間違いない。速報性がウリになる時代は終わった。
では、マスコミの存在意義はどこに見出すべきなのか。それはおそらく、情報の質、というか、そこしかない、そこからしか出てこないといった、「オンリーワン」もしくは「レア」な情報になるのではないかと思われる。
今回の参院選の選挙特番では、テレビ東京の「池上彰の参院選ライブ」の視聴率が最高10.3%と民放トップをマークしたという。まぁ、あの番組を見ていた人には、お分かりだと思うけれど、池上氏は、歯に衣を着せず、ズバズバと質問を投げかけ、候補者達の本音というか、本当は喋りたくないであろうことさえ、引きずり出してみせた。その様子はネット上で「池上無双」とまで呼ばれていた。
このように、その人しか持ってない情報、レア情報、それを発信できる人は、速報性で勝負する必要なんか全然ない。そうした高い質を持った情報を発信できる人や番組。こうしたものがこれからの時代に求められるようになってくると思う。
この記事へのコメント
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GDP比で世界最悪の水準だ。だから増税・財政再建は急務だ
鎖国するのか世界の孤児になるのか農協は既得権益だTPP
岩盤規制をぶっ壊せ構造改革だ非効率なものは淘汰だ
これじゃあね・・・
しかもあれだけ決める政治だの先送りにしないだの騒いだくせに自民党が勝つとなったらねじれは必要じゃないの?的な論調や、スピードか熟慮かなんて平気で書くような報道機関がありますから・・・期待はできません(´・ω・`)