参院選挙も目前に迫ってきました。
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7月13~14日、産経新聞とFNNが1実施した合同世論調査で、インターネットを使った選挙運動の解禁に伴い、参院選の投票でネット上の情報を「参考にする」と答えた人は31%と、「参考にしない」の65.1%を大きく下回っている結果となった。
これは、他の調査でも同じ傾向のようで、NHKの世論調査でも、「ネット選挙運動を参考にする」という人は25%、「参考にしない」という人が60%オーバーとなっている。但し、20代に限ってみれば、「参考にする」という人が5割にのぼっているそうだ。
また、朝日新聞が全国のインターネット利用者2000人を対象に実施したモニター調査によると、ネット選挙の解禁で「投票に行きたくなった」という人は「大いに」と「やや」を合わせて15%で、「そうなっていない」は77%だったから、ネット選挙になったからといって、投票率が劇的に上がるという傾向は見受けられない。だけど、ここでも。20代については、「行きたくなった」が23%と、他の年代に比べて多い。
だけど、筆者には、これらの世論調査での、ネットでの選挙情報を参考にする、しないといった設問は、ちょっと漠然としすぎているという印象がある。
もう少し、ネット情報に対するアプローチや、情報の中身そのものについても見ないと実情は見えてこないと思う。
朝日の世論調査では、参院選の公示後、「ネット上で選挙に関する情報を集めた」は10%、「ネット上で政党や候補者が投票を呼びかける投稿や動画を見た」は7%。「ネット上で政党や候補者からメールなどで直接投票を呼びかけられた」「ネット上で自身が政党や候補者の応援をした」はともに3%にとどまるという結果となったようだけれど、この設問をネット情報に対して、自分で能動的にアクセスしたか、それとも受動的に情報を受け取ったか、という切り口で分けると次のようになるかと思う。
ネット情報能動派:「ネット上で選挙に関する情報を集めた(10%)」この内、"ネット情報能動派"に区分した3つの回答については、それぞれ同じ回答者が複数回答してダブっているであろうことを考慮すると、その割合は10%から最大20%の間に収まるであろうと思われる。
「ネット上で政党や候補者が投票を呼びかける投稿や動画を見た(7%)」
「ネット上で自身が政党や候補者の応援をした(3%)」
ネット情報受動派:「ネット上で政党や候補者からメールなどで直接投票を呼びかけられた(3%)」
筆者は、過去エントリーの中で、何度か、選挙におけるネットの影響力を、見積もろうとしたことがあるけれど、いずれも政治関係のブログはブログ全体の15%ほどしかないという結果だった。
これは、先の"ネット情報能動派"の割合であろう10%~20%の丁度真ん中の値。従って、朝日の世論調査の結果は、やはり現状を表したものではないかと思う。
朝日の世論調査では、「選挙に関する情報を集めた」「投稿や動画を見た」「投票を呼びかけられた」という人のそれぞれ8割以上が、これらの経験は参院選の投票先を決める際の「参考になる」と答えているから、ネット選挙によって、実際の投票率を挙げたいのであれば、つまるところ、政治に対して関心のある人の割合そのものを地道に増やすしかないだろう。
その一方で、ネットというツールの最大の強みは、候補者がいてもいなくても、夜中だろうがなんだろうが、その候補者の情報発信を受け取ることができるということ。
これは、いわば、個々の有権者の家に候補者の選挙ポスターが貼ってあり、クリックひとつでそれが喋って街頭演説してくれるようなもの。更に、ツイッターやチャットなんかでリアルタイムに候補者本人と会話できるところまでくると、候補者の戸別訪問にかなり近づいてくる。
だから、ネットも使い方次第で、政治に関心を持って貰うという地道な活動にも繋がる可能性は十分にあると思う。
だけど、今回の参院選では、まだそのネットのメリットは十分生かされていないようだ。
今回のネット選挙では、「これから街頭演説を◯◯で行います」とか「党首が◯◯時に◯◯へ応援へかけつけてくれます」といった、「リアルタイム情報」が中心で、政策云々というよりは、候補者のイメージアップや、名前の売り込みに力点を置いているサイトが多いようだ。
これは、ネットを使うけれど、さして政治に興味を持っているわけではない「ネット情報受動派」にとっては、有益な情報になるのかもしれないけれど、自分でネットから情報を仕入れる「ネット情報能動派」にとっては、少々物足りない情報ではないかと思われる。
だけど、いくらネットで「これから街頭演説を◯◯で行います」と、政治に興味を持っていない層に訴えかけたとしても、彼らは、そもそも候補者のサイトにアクセスしないし、自分でアクセスするような政治に興味を持っている層にしてみれば、街頭演説がどうこうだけでは物足りない。要するにネット上での有権者のニーズを、きちんととらえ切れておらず、ネットでの情報発信が空回りしている可能性がある。
まぁ、初めての試みだから、ある程度は仕方ないにしても、今後は、もう少しカテゴリ分析というか、ネットユーザーのニーズをキャッチした上でのネット選挙運動が必要になってくるのではないかと思う。
この記事へのコメント
sdi
現状では「あくまでも選挙運動の手段のひとつでしかない」という程度ですね。
深月
広告組み合わせ実験などでこなれてゆくに従って、ネット選挙にも多少の有意な変化はありそうですね。
今回、政治系統のネット情報に余り反応しない一般人として眺める立場になりましたが、TVでネット情報の表示が合わせて出来るようになったら、ずい分光景が変わるだろうなと感じるところがありました。