走る進次郎と痩せて枯れゆく民主党

 
昨日のエントリーのつづきです。
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着実に足場を固める、与党の選挙戦に対して、野党は早くも敗戦処理の匂いが漂う。

7月15日、民主党の海江田代表は、公示直前を含めて3度目となる九州入りをし、佐賀、長崎、福岡の3県を遊説した。

海江田代表は、「私たちも景気を良くしたい。でも安倍晋三首相の経済政策と決定的に違うのは『今がよければよい』ではないということ。5年先10年先も景気が順調に回復するには働く人の雇用、賃金を安定させ、社会保障を充実させなければならない。いま高級外車や高級時計がいくら売れたってダメなんですよ!」と力説したのだけれど、演説に足を止める人は少なく、聴衆は動員を含めて150人程。4年前の政権交代の衆院選は言うに及ばず、昨年末の衆院選と比べても、熱気なんて感じられない。

一方、同じく15日に九州入りした、小泉進次郎議員には、黒山の人だかり。15日の朝9時半、進次郎議員は、佐賀市川副町の戸ケ里漁港で街頭演説をしたのだけれど、公共交通機関が殆どない漁港での演説にも関わらず、車や自転車でおよそ500人の聴衆が集まったようだ。

進次郎議員は「ここに来たのはアベノミクスの実感がまだまだ届いていない場所だからです。地方の信頼を一つ一つ積み重ね、成長戦略を前に進めるため、思いを直接訴えに来ました。私たちは地方で小規模でも頑張っている農家や漁師の方々を後押ししていきます。…TPPや社会保障改革は待ったなしだが、自民党内にも色んな意見がある。衆参ねじれが解消されれば、『野党に潰された』と言い訳はできません。自民党の真価を問うていただきたい」と訴えた。

演説終了後は、握手やツーショット写真撮影にも気さくに応じ、人気を高めている。確か進次郎議員は、TPP推進派だった筈なのだけれど、自民党執行部はその彼にTPP反対が多い地方農村部への遊説させている。

果たして、これがワザとそうしているのかどうか分からないけれど、ちょっと気になるといえば、先月30日に行われた、横須賀市長選。自民・公明は、元副市長の広川聡美氏を推薦。進次郎氏も応援に入ったのだけれど、結果は無所属現職の吉田雄人氏が1万票の差をつけ勝利している

この結果については、進次郎氏の力不足ではなく、現職への評価なのだ、という論評もあるようなのだけれど、逆に言えば、地方は中央からちょっと人気者が行ったからといって、簡単に動くものではないということでもある。

それを考えると、執行部がTPP反対派の多い地方農村への遊説に、進次郎議員を差し向けるのは、或いは、愛の鞭なのかもしれない。

まぁ、それでも、進次郎氏の演説を聞いた人の中には、よくここまで来た、と感心していた人もいるし、なにより人が集まったことも事実。片や、九州都心部で遊説した民主党の海江田代表の演説に足を止める人は少なく、都心部を敢えて外して遊説する進次郎氏に人気が集まる。

だから、トータルでみれば、自民党の「川上作戦」は功を奏しているといっていいと思われる。

実際のところ、選挙情勢は、1人区は沖縄以外は全部自民が取る勢いで、複数区の2議席目を野党各党が互いに凌ぎを削っているような状態。畢竟、野党が他の野党を攻撃する選挙戦を呈している。

みんなの党の渡辺代表は、千葉県松戸市内の街頭演説で「民主党は3年前の政権交代で本当に日本をよくぞここまで劣化してくれた。民主党という政党はもう日本から消えてなくなってもらって結構です。」と口を極めて批判しているし、共産党の志位委員長も19日に大阪で行われた演説会で、維新の会について「『既成政党打破』が売り物だが、最悪の既成政党・自民党の補完勢力としての姿があらわになりました。…庶民の街・大阪の名誉にかけて、落ち目の維新に『ノー』の審判を」と口撃してる。

ただ、みんなの党は、6月29日に、民主党と参院選で競合しない複数の1人区で選挙協力を行うことを確認している。それでいて、複数区の選挙では、消えてなくなってかまわないとこき下ろす。選挙協力の合意文書を交わした時点で、両党は、「民主党とみんなの党は、行財政改革や選挙制度改革などで方向性を共有している。規制改革の徹底の実現のために必要な協力を行う」とコメントしていたのだけれど、それで消えてくれとは、ちょっと信義が通らない。

まぁ、選挙なので、口でいう分には何でもアリなのかもしれないけれど、それも度が過ぎると信用を無くす。

みんなの党は、当初、維新の会との選挙協力を模索していた。ところが、橋下共同代表の例の慰安婦発言から雲行きが怪しくなり、後ろ足で砂をかけるように、民主と手を組んだ。

橋下共同代表は、みんなの党が民主党と選挙協力を決めたことについて「民主党と価値観が一緒になるわけない。政策が第一の政党ではないことがはっきりした。結局は選挙で、自分の勢力を拡大することだけ目的」と批判しているけれど、頷けるものがある。

いずれにせよ、各党は、選挙の結果について責任を問われることになると思うけれど、一番それが厳しいと思われるのは何といっても民主党であることは間違いないと思われる。党内でささやかれている勝敗ラインは改選44議席の約半数の20議席。これだけでも大敗北なのに、それが勝敗ラインとなるのが、今の民主党の凋落を表している。

だけど、情勢はそれすらも届くかどうか。普通であれば、敗北すれば、当然、代表辞任ということになる筈なのだけれど、民主党内では、20議席を割っても責任論を棚上げする形で海江田氏が続投するとの見方が強まっているのだという。

その理由は、党衰退の原因は、民主党政権そのものにあり、責任は鳩山、菅、野田の各元首相にもあると党内で見られているから。無理に新しい代表を出そうとしても、却って党分裂の引き金になりかねないというお家事情が絡んでいる。

だけど、そうであるならば、尚更、その責任を民主党全体で取る姿勢を見せない限り、何時まで経っても党勢が回復することはないだろう。その責任は、選挙の度に取らされることになる。




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この記事へのコメント

  • sdi

    >その責任を民主党全体で取る姿勢を見せない限り、何時まで経っても党勢が回復することはないだろう。

    党名ょ「日本社会党」にもどしたほうがすっきりするんじゃないかな?今回の参議院選も結局は労組組織票が唯一の命綱、という状況でしょう。
    2015年08月10日 15:22

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