安倍総理の増税天秤

 
昨日のエントリーの続きです。

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昨日のエントリーでみたように、政府が景気回復の指針としているコアコアCPIではまだまだデフレ脱却とは言い難い。

7月10日、浜田宏一内閣官房参与は、共同通信のインタビューに対し、消費税増税について、税収が増えずに財政再建につながらない恐れがあるという理由で「急ぐことはない」と先送りも検討すべきとの考えを示した。更には、11日には浜田参与は名古屋市内で講演し、「心配なときは1%ずつ、なだらかに上げていく。…急激に上げるより摩擦が少ない。…初めに2%上げ、1%ずつ上げていく」のも一案だとも述べている。

また、麻生財務相は、7月9日午前の閣議後会見で、国内景気は「1、2月に比べれば今の方が戻っている」との認識を示した上で、「景気が良くならないとやらないと書いてある」と消費増税法の附則18条に触れ、GDPや所得・賞与動向などを勘案し、税収の伸びも「大きな指標になる」と述べている。

麻生財務相の景気は1、2月に比べれば戻っているという指摘については、昨日のエントリーで指摘したように、冬よりは夏のほうがCPIが改善する傾向があるから、それを指摘しただけとも解釈できる。本当に回復したかについては、もう少し様子をみる必要があるだろう。

安倍総理も6月9日に出演したNHK番組で、来年4月からの消費増税について、これからの税収次第であるとした上で、「経済成長の足かせになってはいけない」と述べている。

では、その税収がどうなっているかというと、7月3日に財務省が発表した12年度の一般会計決算の概要で、税収は補正予算時の見積もりと比べて、1兆3244億円上回ったことが明らかとなっている。

内訳としては、法人税が9兆7583億円で、11年度に比べて4.4%増。 所得税は13兆9925億円で、昨年に比べて3.8%増となり、その要因として、円安・株高による企業業績の改善や配当税収の増加による源泉所得税の増加などが挙げられている。

要するに、アベノミクスに期待しての円安・株高効果が、税収増に繋がっているわけなのだけれど、補正予算が閣議決定されたのは今年1月15日、国会提出が1月31日だから、見積もりをしたのは、その前、おそらく昨年12月頃だと思われる。この時期は日経平均は9000円から10000円。円相場も1ドル82~85円という段階。

だからこの時期の見積りと、年度末3月頃の日経13000円台、1ドル95円での税収見積もりを比較すれば、それは税収は増えるだろう。

だけど、アベノミクスに期待しての円安・株高上昇局面での税収見積もりをみて税収増だから消費増税だというのは、筆者には勇み足のように思える。

増税をすれば景気が冷え込むのは当たり前。それはこれまでも何度も経験した筈。年度末3月頃の日経平均、円相場の水準はリーマンショック前に届くか届かないかという水準。その後、株や円は乱高下して、7月現在は3月頃とくらべてわずかに円安ドル高の水準にとどまっている。

日本はここ20年ずっとデフレを続けていて、リーマンショックで超デフレになっていた。それがリーマンショック前程度になったからといって、デフレ脱却というのは感覚がズレてしまってる。

穿った見方をすれば、わざわざこの時期に、税収増見込みになるだなんて報道するあたり、何やら、安倍総理の税収増が増税の条件になる発言を受けての、増税キャンペーンの一環だと言えなくもない。

だけど、現実はリーマンショック前になっただけ。コアコアCPIもデフレの真っ只中。

ただ、安倍総理の消費増税に対するスタンスで感じられるのは、浜田参与なり、麻生財務相なり、色んな人に、時には正反対と思われるかのような発言をすることを許容して、どちらにでもいける構えを取っているように見えること。

浜田参与が「増税先送り又は緩やか増税」発言する一方で、麻生財務相は「景気回復基調だが、まだ決めてない」と言う。そして、安倍総理自身は「税収増が条件だ」とした後で、財務省から「見積もりよりも税収増」発表が出る。

つまりは、増税先送り論と増税条件が整った論の両方が同時に出ているわけで、実は、安倍総理の胸先三寸でどちらにもいけるようにしている。増税と先送りの両天秤作戦。

ゆえに、これがどっちに傾くかは、最終的には世論の声ということになるのではないか。世論が財務省又はマスコミによる景気は回復しているキャンペーン、増税キャンペーンに乗せらせて、増税してもいい、となれば、そっちに傾く公算は高くなるし、逆に、景気回復なんてまだまだ、増税なんてとんでもないという声が大勢を占めれば、先送りされる可能性が高くなると思う。

アベノミクスの成否は国民が握っている。




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この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    > アベノミクスの成否は国民が握っている

    「政治の決めては国民が握っている」のは
    国民国家であれば当然のことだ.

    だから, TPPにしても, 尖閣にしても,
    北方四島にしても, 沖縄にしても, 全ての鍵は
    国民が握っている.

    ところが, あたかも「影の利権」でそれが
    歪められているかの様なデマゴーグを流すのが
    真っ赤な(嘘の)朝日であり毎日(が嘘の)新聞.
    沖縄の状況を見れば良く分かる.
    最近読んだ「国難の正体」(馬渕睦夫)によれば,
    それらは国民国家が嫌いなグローバリストと
    共産主義者達の戦略のためであるらしい.

    グローバリストの草刈場である米国を見れば分かる.
    米国の主権は米国国民が持つ筈だが, いまや
    「主権とは誰のものだとWASPいひ」の状況だから
    「本当にキリスト教徒?」の大統領の下で
    グローバル資本家によるグローバル資本家の
    グローバル資本家のための政治が続いている.
    これらは全て, 際限無き移民政策と, 際限無き
    マイナリティ政策, つまりあれだ, 米国版人権擁護
    システムで国民主権がズタズタとなったためだ.
    今日食べるものが心配な国民層がどうして未来の
    国の方向
    2015年08月10日 15:22
  • 白なまず

    、、、イエスは当時のユダヤ人に向かいやがて多くの信仰深い外国人が天の国で席につくと説きました。「いつか、東や西から大勢の外国人が来て、天の国でその席に着く。でも、もともと天国に入るはずの多くの人が、外の暗闇に追い出され、そこで泣きわめき、歯ぎしりして苦しむ事になるのです」

    、、、イエスのこの言葉を理解出来ないユダヤ人の指導者たちは、手に手に石を取り上げイエスに投げつけようとした。しかし、イエスは身を避けて宮を抜け出した、と記されています。この時、イエスの話を理解出来ないユダヤ人の指導者たちから、すでにその命をねらわれていたのです。イエスは、天国の話が人々に理解されなくても、それはまぎれもない事実(真実)であると言っています。イエスの言葉、特に天国の話は、この地上での理屈や価値判断だけでは、正しく理解する事が困難なのです。イエス自身が、人々は理解出来なくされている(隠されている)と言っています。

    、、、天国(神の国)についての話を理解出来ないユダヤ人の指導者たちからは、(自分を、神(天の父)の子供と表現した事に対して)神を冒涜しているとの中傷をうけ、彼らから命を狙われるその口実の一つ
    2015年08月10日 15:22
  • 55

    しかし国民は公務員減らせ・給料減らせ、議員削れ、政府支出を減らせ(無駄を減らせ)などなど緊縮をお望みのよう・・・
    しかも構造改革、規制緩和、行政改革などにもデフレの日本ではやったらまずいものまで・・・
    2015年08月10日 15:22

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