昨日のエントリーの続きです。

8月27日、潘基文国連事務総長の「日本の政治指導者は極めて深く自らを省ろ」発言について、菅官房長官は「我が国の立場を認識したうえで行われているのか、非常に疑問を感じる」と批判した。この菅官房長官発言に対して、韓国はどう反応したのかというと、同日27日、韓国外務省の副報道官が「韓国政府が評価するのは適切ではない面がある」 と述べ、論評を避けた。
それは、そうだろう。なぜなら、こちらも下手をすれば国連憲章に抵触する恐れがあるから。昨日のエントリーでは、中立を謳った国連憲章100条には、肝心の中立の定義がされていない、述べたけれど、100条1項には「いかなる政府からも又はこの機構外のいかなる他の当局からも指示を求め、又は受けてはならない」という一文がある。定義されていない中立とは違って、これだけは、何が駄目な行為なのかしっかり定義されている。
だから、もし、今回の潘発言を韓国が喜び勇んで、これを支持、引用しようものなら、韓国が潘基文国連事務総長へ発言するよう依頼したのではないかと疑われてしまう可能性がある。あらぬ疑いを掛けられるよりは、知らんぷりしている方が無難。
だけど、もしも、国連事務総長が韓国出身ではなく、他の国の出身者がこの種の発言をしたとしたら、どう反応しただろうか。おそらく、大喜びで世界中に宣伝したのではないかと思う。
何せ、5月の米韓首脳会談で、朴大統領はオバマ大統領に対して「日本は正しい歴史認識を持つべきだ」なんて発言している。国のトップが他国に対して、反日工作をしている。
まぁ、慣例から、国連事務総長は、常任理事国およびそれに準ずる大国から選ばれることはないのだけれど、仮にアメリカ出身の国連事務総長が、今回の潘氏のような発言をしたならば、躍り上がって喜ぶに違いない。
おそらく、韓国は、自国の批判に説得力がないと、自分で自覚しているか、自国からの批判だけでは十分ではないと感じているのだろう。
だけどこれは、逆にいえば、大国が日本に味方をし、韓国に忠告するような逆のケースが起こると、途端に機嫌が悪くなることを意味してる。
8月26日、アメリカ共和党のマケイン上院議員が、ソウルでの記者会見で、「日本が、アジアで平和と安保に寄与すると強調しているように、韓国も未来志向で前に進まねば」とコメントしているのだけれど、韓国メディアはこれに反発。韓国文化日報は記者のコラムで「友邦の国民感情を刺激するのに十分だ。…日本の過ちを厳しく指摘できないのなら、せめて相手国が最も敏感に考える部分では、言葉を慎む節度が必要ではないか」と述べている。
この記者は「相手国が最も敏感に考える部分では、言葉を慎む節度が必要だ」なんて言っているけれど、それならば、マケイン氏だけでなく、陛下への侮辱発言を行った李前大統領にも同じ言葉で持って批判すべきだろう。もしかしたら、かの記者は、日本が尤も敏感に考える部分を知らなかっただけなのかもしれないけれど、陛下侮辱発言以降の日本の反発をみてもそれに気づけないとするならば、記者としてはあまりにも鈍いと言わざるを得ない。
因みにマケイン氏は、8月21日に安倍総理と会談し、その後の記者会見で、尖閣問題について「『日本の領土だ』というのが米議会と米政府の立場だ。問題の性質は紛争ではない。中国が日本の基本的権利を侵害していること」とコメントしている。
だけど、尖閣についてのアメリカ政府公式見解は「尖閣諸島は日米安保の対象範囲だが、領有権についてはどちらの立場も取らない」というものだから、マケイン氏の発言はそれから一歩踏み込んだ形。
まぁ、同盟国の上院議員と中立が建前の国連事務総長との立場の違いはあるけれど、従来のスタンスから一歩踏み込んだという意味では、マケイン氏の発言は、くだんの潘事務総長発言と同じだといえなくもない。
だから、マケイン氏の発言とて、放置すれば、それが既成事実となって、日本にとってはいい方向で積み重なることになる。だけど、そんなに都合良くいかないのが世の常。
マケイン氏の発言の翌日の22日には、中国外交部の洪磊報道官が「中国固有の領土であるという基本的事実は変わらない」とすかさず抗議。そしてアメリカ国務省のサキ報道官も「領有権についてはどちらの立場も取らない」と政府の立場ではないことを述べている。
このように発言ひとつとっても、それが自国に不利な方向に既成事実化しないように、すかさずコメントをするのが普通。そうして、互いに牽制しながら、会談や交渉に臨んで、実際にカードを切っていくのが外交。
ところが、中国や韓国は、尖閣を係争地だと認めろ、だとか、歴史認識を正せ、だとか、自分達が望むカードを日本が先に出さない限り、席につかないといっている。勝負したければ、参加料を払えとばかり条件を付けている。
それに対して、安倍総理は、台は別にあなたの所だけじゃありません、参加料フリーの台は他にもありますから、と東南アジアや中東、欧州その他の台にいって、カードを切って、着々とチップをものにしている。
中韓は、うちの台でゲームしない日本が悪いと一生懸命批判しているのだけれど、安倍総理は、ゲームする気はありますが、席に着くのにチップを払わなければいけないのはおかしいでしょ、としれっとしてる。それが今。
あとは、世界はこの構図をどうみるかだけれど、安倍総理が参加費無料の台を何度も何度も回って、これが普通だ、スタンダードなのだ、という実績をどんどん作ってしまえば、中韓のチップを払え、さもなくばゲームはさせない、という言い分がどんどん異常に見えてくるはず。
ましてや、参加チップを要求するのが日本に対してだけで、他の国々とは条件なしで会談をする態度を彼らが取るようなことがあれば、彼らは日本に対してだけ嫌がらせをしているのだ、と見るようになる。そこまでに持って来れば、中韓に対する牽制も随分と有利になる。
安倍総理は、8月24日から6日間の日程で、バーレーン、クウェート、カタールの中東3カ国とアフリカのジブチを外遊する"地球儀外交"を展開している。健康には十分注意していただきたいけれど、"地球儀外交"をどんどん進めて、世界各国に安倍の"判子"を押しまくってきていただきたい。
この記事へのコメント
白なまず
アメリカ「シリアは国際法違反!」→記者「日本への原爆投下は国際法違反だったのか?」→米「……」
http://military38.com/archives/31318227.html
sdi
「潘氏『日本での誤解残念』 歴史問題、対話解決訴え」なんて言動しているようです。
外務省が「ふざけた事抜かすと国連分担金払うのやめっぞ、そうなったらてめらどうなるか解ってんのか?あ?」と国連を脅し挙げた成果なら良いんですが、潘基文というか韓国サイドがその動きの先手をとってトーンを下げたとするとやっかいですね。今後彼らは同じ手口を繰り返すでしょう?
慰安婦問題と同じです。「嘘が本当になるまで嘘を付き続ける」彼らお得意の手口ですね。
とおる
・【早い話が...】NHK裁判の予定、韓流ドラマ垂れ流しの狙いは何か?[桜H25/8/28] - YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=FSFudhEuv7I
(7分14秒~)
独仏の大使が来て、エリゼ条約で、犬猿の仲だった独仏が、どうして仲良くなったかを説明した。それは、「我々(独仏)は共に、民主主義の近代国家だったから、文明国だったから、和解できた」と口を揃えて言った。「日本と中国・韓国とは別の話ではないか。」(つまり、中国・韓国は文明国ではないので無理)