更に更に昨日のエントリーの続きです…
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8月21日、岸田外相は、新日鉄住金が戦時徴用された韓国人4人から提訴され、ソウル高裁で個人賠償を命じられた問題について、「わが国は日韓請求権協定で解決済みとの立場だ」と述べ、協定の原則を崩さないよう、新日鉄住金と連絡を取り合い対処する方針を示した。
これは、8月18日に複数のマスコミが、韓国最高裁で敗訴が確定した場合には、新日鉄住金が賠償に応じる意向であると報じたことが、その発端。報道があってから、ネットを中心に新日鉄住金に対して批判の声が上がり、中には「売国企業だ」というものまであった。
ジャーナリストの中にも、「新日鉄住金としては賠償金の約3500万円は大した金額ではないだろうが、日本の外交方針に完全に反する。暴力団にみかじめ料を払う商店と同じ。韓国司法の異常さを追及すると同時に、日本政府としては新日鉄住金に対しても『公共事業への入札禁止』ぐらいの徹底した対応をすべきだ」と厳しく批判していた。
ところが、当の新日鉄住金はというと、19日に自社のHPで、「当社は、先般のソウル高裁の判決は、徴用工等の問題を完全かつ最終的に解決した1965年の『日韓請求権協定』、すなわち国家間の正式の合意を否定するなど不当な判決だと考えており、7月30日に大法院(韓国最高裁)に上告いたしました。今後、大法院にて、当社の主張の正当性を明らかにしていく所存です。」と、報道を完全否定した。
新日鉄住金の公式発表の文面では、「日韓請求権協定」を取り上げ、"国家間の正式の合意を否定するなど不当な判決"としているから、その辺りは、ちゃんと認識している。少なくとも公式レベルでは、売国的行動はしていない。
新日鉄住金の否定発表があってから、また誤報をやらかしたのか、とマスコミに批判が集中。この問題については、マスコミの"誤報"によって、逆に注目を浴びた感がある。
自民党の片山さつき氏は、「韓国最高裁で判決が確定しても、新日鉄住金は絶対に賠償金を支払ってはいけません。日本政府としては、日本企業を守る仕組みを作るべき。例えば、韓国側に差押を受けたときの費用や、韓国からの撤退する費用を日本政府が負担する仕組みを考えるべきです」 と述べ、 韓国最高裁が"賠償判決"を下した場合には、「日韓請求権協定第3条に従って仲裁委員会を開く」か「日韓投資協定の仲裁裁判規定を用い、国際司法裁判所に提訴」などの対応策を挙げている。
このうち、前者の「日韓請求権協定」については、7月31日のエントリー「政府の立場に反する韓国司法」で取り上げているけれど、その第三条でちゃんと、外交ルートで解決できなかった紛争については、仲裁委員会を開いて、その決定に服することになっている。
また、後者の「日韓投資協定」については、こちらに、その概要及び本文が公開されているけれど、仲裁裁判規定というのは、第14条がそれに該当すると思われる。次に引用する。
第十四条このように、第14条は、国対国の紛争処理について定めたもので、仲裁裁判所に付託することができるように定められている。
1 両締約国は、いずれか一方の締約国による要請に応じ、この協定に関連するすべての紛争を解決するため、又はこの協定の解釈若しくは適用若しくはこの協定の目的の実現に関するすべての事項を討議するために、速やかに協議を行う。
2 この協定の解釈又は適用に関する両締約国間の紛争であって、協議により満足に解決できなかったものは、いずれか一方の締約国の書面による要請に基づき、適用可能な国際法の規則に基づき行われ、かつ、拘束力のある決定を得るために仲裁裁判所に付託される。この条に別段の定めがある場合その他両締約国の別段の合意がある場合を除くほか、次に掲げる範囲のもの以外の事項については、UNCITRAL仲裁規則を準用する。
(a)UNCITRAL仲裁規則のうち両締約国により修正される範囲
(b)UNCITRAL仲裁規則のうち3の規定に従って任命された仲裁人により修正される範囲。ただし、いずれの締約国も異議のないことを条件とする。
3 2に規定する要請の受領の日から二箇月以内に、各締約国は各一名の仲裁人を任命する。このようにして任命された二名の仲裁人は、仲裁裁判長となる者として第三の仲裁人(第三国の国民でなければならない。)を選定する。この3の規定に基づく仲裁人の任命に関する他の事項については、三名の仲裁人から構成される仲裁委員会の仲裁委員の任命に適用されるUNCITRAL仲裁規則を準用する。この場合において、UNCITRAL仲裁規則中の任命権者は、ICSID事務局長とする。
4 両締約国の別段の合意がある場合を除くほか、第三の仲裁人の選定の日から六箇月以内にすべての文書の提出が行われ、かつ、すべての弁論が終了しなければならない。仲裁裁判所は、最後の文書の提出又は弁論の終結の日のうちいずれか遅い方の日から二箇月以内に決定を行う。当該決定は最終的なものであり、かつ、拘束力を有する。
5 仲裁裁判長その他の仲裁人に係る費用及び仲裁手続に係る他の費用は、両締約国が均等に負担する。もっとも、仲裁裁判所は、自己の裁量により、両締約国のうちいずれか一方がより多くの費用を支払うべきことを決定することができるものとする。
岸田外相が述べているように、政府は、新日鉄住金と連絡を取り合い対処する方針を出しているから、この問題については、はっきりと国がバックアップについた形。
それに、国が「日韓請求権協定で解決済み」との立場を明言している以上、その方針で押していくことは間違いない。この問題について、安倍政権は、外務、経済産業両省を中心に対応を進めていて、韓国側に働きかけるだけでなく、世界各国に対し、韓国が法的安定性のない無法国家であることをアピールすることも検討しているという。やられたらやり返す「しっぺ返し戦略」を取ろうとしている。
何より、マスコミが騒いだお蔭で、国民の注目を集めてしまった。もう後には引けない。皮肉にも、マスコミの"誤報"によって、その"誤報"とは正反対に向かう流れが明確になった。
それにしても、ここまでくると、韓国の態度は、反日を超えて、"排日"の段階に突入したかのような印象を受ける。7月10日にソウル高裁が、個人賠償を命じる判決を下したとき、新日鉄住金の法務担当者が「本当に法治国家なのか」と呟いたそうだけれど、仮に、韓国最高裁が新日鉄住金に対して敗訴の判決を下したならば、それは明らかに国家間条約を無視した行為であり、世界からは、まともな法治国家とは見做されなくなるだろう。
民間企業にしてみれば、国家間条約をも無視して賠償を命じられるような国に、安心して投資なんか出来る筈もない。例え、国がバックアップについて交渉をしてくれたとしても、100%の勝利が保証されているわけでもない。ましてや、相手は、日本からの債務を踏み倒し続けている韓国。リスクが大きすぎて、投資の対象にはならなくなっていく。
だから、そんな事態ともなれば、新日鉄住金だけじゃなくて、韓国に投資している、他の邦人企業も撤退していくことになると思われる。ただでさえ、外資系の大手金融機関が相次いで、韓国から事業撤退や縮小をしているときに、日本企業まで撤退しては目も当てられない。
反日が高じて"排日"を選んだ韓国。だけど、その先に待ち受ける運命を見据えているのか甚だ疑問。日本に対して「未来がない」なんていう前に、自国に未来があるのかどうかを考えたほうがいい。
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