民間予測を下回った4-6月期GDP速報値
昨日のエントリーの続きです。
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8月12日、日本銀行は、7月の国内企業物価指数を発表した。それによると、 2010年の平均を100とした場合、7月の指数は、前年同月比で2.2%上昇し、102.1となった。
企業物価指数とは、企業間で売買する物品の価格水準を数値化した経済指標のことで、「国内企業物価指数」「輸出物価指数」「輸入物価指数」の3つから成る。
企業物価指数は工業製品・農林水産物・鉱産物・電力・都市ガス・水道などを対象とし、国内生産品の生産者出荷段階の物価(国内企業物価指数)、輸出品が日本から積み出される段階の価格(輸出物価指数)、輸入品が国内に入ってくる段階の価格(輸入物価指数)をそれぞれ調査することで算出される。
この指数は、企業間で取引される財の価格から、その需給動向を把握して、景気動向を判断するための材料となるのだけれど、2013年になってからは、円安による影響が顕著に表れていて、輸入物価指数は、9か月連続の前年比プラス。指数単独でも、2013年2月以降は円ベースで120を超えている。
企業間の財の価格が上昇すると、それは小売価格に転化され、消費者心理に影響を及ぼす。8月9日に、内閣府が発表した7月の消費動向調査でも、消費者心理を示す消費者態度指数は、前月より0.7ポイント低い43.6と、2ヶ月連続で低下している。
消費者態度指数とは、消費者の景気の動きに対する意識を示す指標として、内閣府が消費動向調査の一部として毎月発表しているもの。この調査では、「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」の4項目について、今後半年間の見通しを「良くなる」、「やや良くなる」、「変わらない」、「やや悪くなる」、「悪くなる」の5段階で評価し、その結果を点数化して平均をとったもの。
指数は、全員が全項目「良くなる」と回答すれば100、「悪くなる」と回答すれば0となり、全項目「変わらない」と答えれば50になる。故に、消費者態度指数が50を超えるかどうかが基準とされる。
ただ、消費者態度指数は、今後の消費見通しに対する質問を基にして算出される指数であるから、実際の消費に対して先行して推移するとされ、景気動向指数の先行指標として採用されている。
消費者態度指数の推移を見ると、平成21年当たりから、時折悪化するものの大体、40前後をずっとキープしていたのが、平成25年から、アベノミクス期待からか、指数は45くらいに急激に改善していた。それがここ2ヶ月でマイナスに転じたということは、ぼちぼち、先行きの暮らしに不安を覚え始めたと見ることもできる。実際、この結果を受けた内閣府は、消費者心理の基調判断を「改善のテンポが緩やかになっている」と下方修正している。
この景気改善の"鈍化"は、GDPにも表れている。
内閣府が8月12日に発表した4-6月期のGDP速報では、物価変動の影響を除いた実質GDPの成長率は0.6%増(年率換算2.6%増)と、1-3月期の0.9%増を下回っている。4-6月期のGDP成長率がプラスになったのは、6月の猛暑で飲料、衣料、エアコンなどで個人消費が拡大したほか、緊急経済対策の影響なのだけれど、その一方、住宅投資が0.2%減、設備投資も0.1%減となっている。これは、世間は、先行きの景気が大きな買い物をしようと思うくらいには、良くなるとは思っていないことを意味してる。これは、消費者態度指数の動きとも一致している。
内閣府がこの4-6月期のGDP速報値を出す前は、民間エコノミスト達は、GDP成長率は、年率換算3.6%増との予測をしていた。だけど、蓋を開けてみれば年率換算2.6%増を大きく予測を下回った。
今回のGDP成長率について、マスコミの中には成長率がプラスだということを強調して、経済は回復している、増税への有力な材料だなんて、報道しているところもあるようだけれど、各指標を素直に見ると、世間は先行きの景気に不安を感じ始めていると思われる。こんな時に増税を決定してしまうと、折角回復し始めたかに見える景気もあっと言う間に萎んでしまう可能性がある。そうなったら、アベノミクスだって吹っ飛んでしまいかねない。
流石に政府でも、そうした懸念をしている人はいて、安倍総理の経済政策ブレーンの一人である、浜田宏一内閣官房参与は「実質が3.9%とか4%という形で出てくれば、他の政策手段、特に金融政策も使えるわけだから、少し苦い薬を国民とともにのむという判断もあったかと思うが、とてもそういう状況にない」と、消費税率の引き上げを1年程度先送りすることを安倍総理に提案していることを明らかにしている。
一方、甘利経済再生担当相は、4-6月期のGDP速報値について、経済は「堅調な成長」を続けているとし、増税について「判断材料のひとつとしては、引き続き、いい数字が出ているという認識。…判断材料として、首相に提示したい。もろもろの判断材料の中で、秋に首相が法律に従って判断する」と述べている。
甘利経済再生担当相は、GDP速報値が民間予測を下回ったことについて、「消費が牽引し、投資がまだ力不足というのが総合的な評価」だと分析しているけれど、増税決定は、その経済を牽引している消費を冷やしてしまうことは間違いない。しかも、個人消費が4-6月期のGDPに大きく貢献したといっても、その中身の何割かは猛暑という要因であり、秋や冬になっても期待できるものじゃない。
まだ、個人の収入が増えていないのに、個人消費が伸びる理由があるとすれば、それは、今年の夏のように、猛暑といった特殊な外部要因か、先行き景気は良くなるという見通しに基づいた、貯蓄の切り崩しくらいであろうと思われる。
だとするならば、その要因が今後も安定して続くという確証又は見通しがない段階で、増税を決めるとのは、ただの賭けにしか過ぎない。だけど、その賭けに勝って得られるものと、負けて失うものを考えると、そんなに簡単に賭けが出来る状況にあるとは思えない。そんなリスクを負うくらいなら、誰がみても増税しても大丈夫というくらいまで、もっと足場をしっかりと固めるべき。
アベノミクスが成功してデフレから脱却することの代償が財政再建が1、2年遅れる程度で済むのであれば、迷わずそちらを選ぶべきだと思う。
この記事へのコメント
白なまず
これまでは「いろは」でありたが、愈々一二三(ひふみ)の力 加はるぞ、「いろは」はやさしいが「一二三」は新(あら)いから、新事(あらごと)もするから その覚悟致されよ、その覚悟よいか、きたない心すててゐると、小さい心大きくなって自分でもびっくりする様 結構が来るぞ。警察いらんと申してあるぞ。八月九日、一二⨀
「いろは」は
2011(春マケ)いろはに泣く時来るぞ、いろは四十八ぞ、四十九ぞ。
【いろは 48の歌】
とりなくこゑす ゆめさませ (鳥啼く声す 夢覚ませ)
みよあけわたる ひんかしを (見よ明け渡る 東を)
そらいろはえて おきつへに (空色栄えて 沖つ辺に)
ほふねむれゐぬ もやのうち (帆船群れゐぬ 靄の中)
坂本百次郎 作
2012(夏マケ)
2013(秋マケ)秋が立ちたち、この道ひらくかた出て来るから、
「一二三」は2014年(52才)から2018年(56才7ヶ月)まで。
2014(冬マケ)黄金の巻 第五十四帖 五十二才 二(ツキ)の世の始。五十六才七ヶ月 みろくの世。
とおる
財務省・マスコミが、日本が撃沈するように、増税を煽っています。