今日は、訪米中の安倍総理の話題です。
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9月26日、国連総会出席の為、ニューヨークを訪れている安倍総理は、アメリカのシンクタンク「ハドソン研究所」が開いた会合と、ニューヨーク証券取引所とで、それぞれ演説を行った。
ハドソン研究所での演説の要旨は次のとおり。
ハドソン研究所での安倍総理演説要旨 2013/09/26と、このように安倍総理は、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の見直しに理解を求めたうえで「積極的平和主義」の立場からアメリカと連携して世界の平和と安定に貢献していく決意を述べた。
具体例で話す。国連平和維持活動(PKO)の現場で、日本の自衛隊がX国の軍隊と活動していたとする。突然、X軍が攻撃にさらされる。しかし、日本の部隊は助けることができない。日本国憲法の現行解釈によると、憲法違反になるからだ。
もう一つの例は公海上だ。日本近海に米海軍のイージス艦数隻が展開し、日本のイージス艦と協力してミサイル発射に備えているとする。突然、米艦1隻が航空機による攻撃を受ける。日本の艦船はどれだけ能力があっても、米艦を助けることができない。集団的自衛権の行使となり、違憲になってしまうからだ。こういった問題にいかに対処すべきか、私たちは今真剣に検討している。
私の国は、鎖の強度を左右してしまう弱い一環であることなどできない。私はわが国安全保障の仕組みを新たなるものにしようと懸命に働いている。日本は初めて国家安全保障会議(NSC)を設立する。初めて国家安全保障戦略を公にする。
本年、わが政府は11年ぶりに防衛費を増額した。すぐそばの隣国に、軍事支出が少なくとも日本の2倍で、米国に次いで世界2位という国がある。毎年10%以上の伸びを20年以上続けている。私の政府が防衛予算をいくら増額したかというと、たったの0.8%にすぎない。従って、もし私を右翼の軍国主義者と呼びたいのであれば、どうぞ呼んでいただきたい。
日本は地域、世界の平和と安定に今までにも増してより積極的に貢献していく国になる。私は愛する国を積極的平和主義の国にしようと決意している。私に与えられた歴史的使命は、日本に再び活力を与えることによって、積極的平和主義の旗の誇らしい担い手となるよう促していくことだ。
ハドソン研究所は、ワシントンにある保守派のシンクタンクであり、1961年に軍事理論家のハーマン・カーン(Herman Kahn、1922-1983)によって設立された。
ハドソン研究所は、保守的な立場から国家安全保障に献身し、創造力や先見の明のある指導者を選出し、「ハーマン・カーン賞」を毎年、贈っているのだけれど、なんと、今年のハーマン・カーン賞に安倍総理が選ばれた。
これまでのハーマン・カーン賞の受賞者は保守派のアメリカ人ばかりで、ロナルド・レーガン元大統領、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官、ジョージ・シュルツ元国務長官、ブレント・スコウクロフト元国家安全保障問題担当大統領補佐官、ディック・チェイニー元副大統領、ミッチ・ダニエルズ元インディアナ州知事らが受賞している。今回の安倍総理の受賞は、外国人初となる。
安倍総理のハーマン・カーン賞の受賞について、ハドソン研究所社長兼CEOのケニス・ウェインスタイン氏は、「今年は、"伝統と決別"し、日本の経済活力を復活させるために必要な改革を進めている力のある"変革型リーダー"として、表彰する」とし、安倍総理を「勇敢でビジョンを持った指導者であり、効果的なガバナンスへの見識も兼ね備えている、この賞にふさわしい人物」とコメントしている。
伝統を態々破ってまで安倍総理に「ハーマン・カーン賞」を贈るということは、当然それなりの意図がある筈。少なくとも、今のうちに安倍総理にアプローチを掛ける意味があると考えているものと思われる。つまり、安倍総理は日本の指導者として、長期政権を築いて、影響力を発揮するだろうと読んでいるのではないか。勿論、次の大統領選も視野にいれての"先行投資"的な意味合いもあるだろう。
安倍総理の演説も、保守派のシンクタンクでのものに相応しく、国家安全保障戦略を前面に出したものとなっている。
続いて、安倍総理は、ニューヨークの証券取引所で演説を行い、今度は「アベノミクス」をアピールした。その要旨は次のとおり。
ニューヨーク証券取引所での安倍総理の演説要旨 2013/09/26と、思いっきり「アベノミクス」を売り込んでいる。
エネルギー・原発=日本の省エネ技術の高さは群を抜いている。ここに日本の成長機会があり、皆さんの投資機会がある。日本は原発の安全技術でこれからも世界に貢献していく。 放棄することはない。福島の事故を乗り越えて、世界最高水準の安全性で、世界に貢献していく責務がある。日本のエネルギー技術は、ポテンシャルの塊だ。だからこそ、電力システム改革を進める。電力自由化を成し遂げて、日本のエネルギー市場を大転換していく。
規制改革=フロンティア技術を実証したい企業には、独自に安全を確保する措置を講ずれば、規制をゼロにする新しい仕組みをつくる。日本を米国のようにベンチャー精神のあふれる「起業大国」にしていきたい。規制改革こそが全ての突破口になる。環太平洋連携協定(TPP)=年内の交渉妥結に向けて日米でリードしていかなければならない。
成長戦略=足元の日本経済は極めて好調だ。長いデフレで縮こまっていた企業のマインドは確実に変わってきている。日本に帰ったら直ちに成長戦略の次なる矢を放つ。投資を喚起するため、大胆な減税を断行する。バイ・マイ・アベノミクス(アベノミクスは買い)。ウォール街の皆さまは常に世界の半歩先を行く。今がチャンスだ。
この演説で、安倍総理は、日本のエネルギー供給を保証すると共に、規制改革と投資を喚起するための減税を行うとした。つまり、日本はこれから投資のチャンスに溢れていますから、どんどん投資してくださいとアピールしたということ。これは、日本の景気回復および経済成長の一端を、海外からの投資によって賄おうとしているようにも見える。
現在、安倍総理は、消費増税による景気腰折れ対策として、復興法人税の前倒し廃止や、法人税の実効税率引き下げに強い意欲を示しているけれど、これなんかは、正に「投資を喚起するための減税」と言える。だから、これは、海外からの投資を呼び込むという"戦略"とリンクしているのではないかと思う。
つまり、法人減税は、国内向けには、景気腰折れ対策であると同時に、海外向けには、投資促進政策にもなっているということ。一石二鳥を狙った戦略。
安倍総理が、本当にこうした戦略を視野にいれているとすると、今後も、更なる海外からの投資を呼び込むために、国内の様々な規制を緩和ないしは撤廃をしていくことが予想される。当然そこには、TPPも絡んでくるだろう。だから、表向きには、安倍総理の今後の動きは"新自由主義者"に近い動きをするようにみえるのではないかと思う。
海外からの投資をデフレ脱却の一助につかうという戦略。これが上手くいくかどうかは、まだ定かではないけれど、少なくとも、実際に海外から投資して貰うまでには、多少の時間が必要になる。したがって、この戦略を成功させるためには、安倍政権が長期政権であることが望ましい。
安倍総理がこうした構想を持っているのであれば、どこかで国民に説明しなければならないし、「日本を取り戻す」ことと「新自由主義的な構造改革政策」をどう調整していくのか、両立するしないを含めて、そうしたことも国民にきちんと説明して納得させる必要があると思う。
この記事へのコメント
TT
朱鷺池
確認行動。世界は受け入れるか。日本は受け入れない。ミアシャイマー氏の
大国の覇権拡大のリアリズムは受け入れますが、アジアにおいて、どの国家の
覇権も日本は拒否する。安部さんの動きは一点。
白なまず
問題は日本の資金が投資に回らない事であるから、個人の貯金や企業の資金を投資に回す事が有利になる政策を行えば良いはずなのに、それを試みないのか?
インフラや公共投資などの規制緩和をして外資や海外企業の参入を促しても日本人が納得する品質をクリアできなければ災害時にボロが出て国民は決して許さないだろう。銭勘定で済民は出来ない。株が上がっても、帳簿の金が増えるだけで実利が無い単なる数字に過ぎない。
僅かな金で必要な事を実現できる事もあれば、いくら金を使っても何一つ実現できない事もある。重要なのは、資金を集めるよる前に必要な事を調べ上げて、必要性を訴え、国民や企業の賛同を得られれば資金は集まるはずである。
例えば、リニア新幹線の資金調達を国が出す事にJR東海は何色を示しているようであるが、それは口出しして欲しくない為のようである。そこで、国民から直接ファンドの様な形式で資金調達し、それなりに利益還元や特典(リニアの優待券や商品券など)を約束するような物でオリンピックに間に合うように必要な資金調達が可能ではない
ちび・むぎ・みみ・はな
さらさらない. 安倍首相の真意はグローバル資本
にたいする目儚ましであると思いたい.
TPPも日本が後出しジャンケンを始めたので
各国からいろんな要求が新たに出て
収集がつかなくなりつつあると聞く.
安倍首相の外交は良く考えられているから,
経済も同様であると思いたい.
それも消費税に関する決断で分かるだろう.
消費税増に対する事後処置をするにしても,
事前に宣言しなければ国民には無効である.
それを理解していると信じるしかない.
55
新自由主義的な政策をやる人は自己責任とか努力が足りない、規制緩和が足りない
構造改革が足りないこれが永遠に続きますから責任は負わないですね
おそらく説明なんかないのではないでしょうか