安倍総理は消費増税を決断したのか

 
今日は簡単に&雑談で…

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消費税増税を巡るマスコミの憶測・トバシ記事が物凄いですね。

先週なんかは、主要各紙がこぞって、安倍総理が来年4月の増税の意向を固めるとの見出しを並べていました。それに対して、都度、菅官房長官が、まだ総理は増税を決断していない、と否定するパターンが続いています。

9月11日、読売は、「消費税率、来年4月に8%。首相意向固める」との記事を掲載しましたけれども、その記事を読んだ安倍総理は「あんなのはデタラメだ!」と声を荒げたと「プレジデント」誌が伝えていたりして、情報は錯綜しています。

ただ、マスコミ報道を時系列で追っていくと、段々と、「増税しそうだ」から「増税を決めた」という表現に微妙に変わってきているのが気になるといえば気になりますね。

先週前半までは、「増税の意向」という表現だったのが、先週後半からは「増税を決断した」という言い方に変わってきています。そして、今週は、増税は決まったという前提で、景気減退を食い止めるための、「法人税減税に意欲」だとか「復興法人税前倒し廃止で調整」という記事が増えてきているように見えるんですね。

例えば、産経は9月19日に「消費税来春8%、首相決断 法人減税の具体策検討指示」という記事を掲載し、増税を決断したと言い切っています。

ここまで言うからには、何か決定的な証拠、或いはリークでもあったのかとも思えるのですけれども、同じく産経の田村秀男編集委員が22日付の記事「『現金支払機』の増税デフレ 中川元財務相の『遺言』に思う」の冒頭で、「18日昼、安倍晋三首相が苦悩の末、消費税増税を決断したと聞いたとき、ふと、『9月は日本にとって因縁の月か』と思った。」という一文をさり気なくすべり込ませているんですね。

消費増税反対論者である田村秀男氏をして、こんな一文をかかせるあたり、それなりの情報元からのリークがあったのではないかと思えてなりません。もしも18日に、誰かから産経の記者に「増税を決めた」とリークしたのだとすれば、19日付の記事で「増税を決断した」という"断定記事"を書けたのも頷けます。

また、25日付の時事通信の記事「安倍首相、来月1日夕に記者会見=消費増税と経済対策」では、「安倍晋三首相は消費税率を予定通り、来年4月に5%から8%に引き上げる方針について、10月1日午後6時から記者会見して正式に表明する。自民党幹部が25日、明らかにした。」とこれも断定しています。しかも、自民党幹部が明らかにした、とソース元をも書いていますから、情報をリークした"自民党幹部氏"自身、情報元を明らかにしてもよいと了解しているのでしょう。

これらのことから、少なくとも、どこかの筋からは、マスコミに「増税するよ」という情報リークがなされていることは、間違いないかと思われます。

では、そのリーク情報の真偽はどうなのか、ということなのですけれども、安倍総理自ら、「増税する」と表明したわけではありませんから、正直分からないという他ありません。

ただ、敢えていうとすれば、安倍総理自身が、18日なり25日なりの時点で、自らの本心を他者に打ち明けているのかどうか。打ち明けている場合には、それは菅官房長官なのか、側近なのか、はたまた幹部なのか、といったどの範囲にまで話しているかということがポイントになると思います。当然、打ち明けている範囲が広ければ広いほど、そこから外にリークする確率は高まってきます。

まぁ、それでも、失言しない男・菅官房長官からその手の情報がリークされることはありえないでしょう。ですから、リーク元はそれ以外ということになるかと思いますけれども、実際、リークされるかどうかは、リーク元である側近或いは幹部と、それにぶら下がっている記者との信頼関係が何処まであるかに拠ると思われます。

筆者は、これまでのエントリーで何度も述べているように、来年4月の消費増税には反対で延期すべきだと思っていますけれども、そうした希望を脇において、客観的にみた場合、残念ながら、もう増税はほぼ決まったのではないかと見ています。

なぜなら、安倍総理は、22日放送のテレビ朝日のインタビューで「消費増税のリスクについて、その結果には責任を持つ」と発言しているからです。もしも、"増税延期"を決断したのなら、「増税延期した場合の株安や国債暴落のリスクについて、その結果には責任を持つ」という発言になってもおかしくないですし、むしろ、そのほうが自然だと思うのですね。

実際、このテレビ朝日のインタビューは17日に行われていますから、安倍総理がこの日までに増税を決断したのなら、翌18日に産経に増税を決断したとリークされた説とも辻褄が合います。

今、官邸では、消費増税に備えて5兆円規模の景気対策を纏めていると報道されていますけれども、筆者は仮に、安倍総理が既に来年4月の8%増税を決めていたのだとしても、やはり、それによる景気の腰折れを相当気にしているのではないかと見ています。

安倍総理は、増税の結果に責任を持つと発言すると同時に、そのあとの10%への引き上げについて「経済は生き物だ。(8%に)上げた場合、その後の推移を見ながら判断しないといけない。世界経済のさまざまなリスクが顕在化するかどうかも重要なポイントだ。そういうものもよく見て判断していかないといけない」 と述べています。

つまり、8%への引き上げによって、景気が腰折れしたら、その次の2015年の10%への増税は見送るかもしれないと牽制しているのですね。ですから、5兆円規模の経済対策をしても、景気が腰折れするかもしれないとの不安も持っているのではないかと思います。

その意味では、仮に来年に消費税増税して、景気の腰折れが見えてきたら、また追加の経済対策を打つことになるのではないかと思います。であれば、最初から来年の増税など見送るべきではないかと思うのです。




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この記事へのコメント

  • 55

    増税すれば市場や国際的な信認が得られるなら
    増税して財政出動毎年10から20兆程度、数年間続ければいいのに
    そうすれば増税のデフレ効果を抑え景気も拡大していくと思いますが
    もしくは景気対策なんかせず増税して景気悪くして誰かのせいにしてしまえば・・・しかし自分の責任だと言ってしまったのならもう遅いですかね。
    増税、新自由主義的な政策(規制緩和、構造改革、法人税減税など)と橋本政権と同じ道ですか。おそらく今増税してしまうと2年後くらいから増税の影響が来ますか選挙でどうなる・・・また政権交代ですか・・・
    2015年08月10日 15:22
  • mony

    TPPといい増税といい法人税減税といい、野党時代とやることが
    変わってしまった。やはり経団連の影響が強いのか・・・
    まずは発表を待ちますか。
    2015年08月10日 15:22
  • 八目山人

    安倍さんが財務省に負けたというより、高橋洋一氏が言っていたように、大型予算を組むには税収アップが絶対条件なのでそのルールを盾に取られたと見るべきでしょう。(景気が良くなれば税金が増えるという予想で予算を組むという選択肢は財務省には無い。)

    まだ第二の矢も十分でなく、国土強靭化や防衛費増額のお金をどこから捻出するかと言う事です。
    三橋グループが言っている、そんなものは国債を出せばいいなんてことは通りませんから。
    消費税を上げた結果が税金総額の減収になるとしても、来年度予算を組むには数字の裏付けや帳面上のつじつま合わせが必要です。
    消費税を3%上げればその額分アップした予算が組めます。
    安倍さんはそちらを選択したのだと思います。まあそれでもいいじゃないですか。彼は国会議員一の愛国者です。
    2015年08月10日 15:22
  • opera

    消費税増税を決定してしまえば、景気が悪化し、税収が減少し、安倍政権は短命政権に終わる可能性が飛躍的に高まることが予め分かっているのに止められないとするなら、戦後レジームの脱却どころか、悪い意味での戦前回帰そのものですね。
     これは単にマスゴミの問題というだけでなく、官僚・政治家の劣化はもちろん、国民の堕落そのものかもしれません。
     要するに、本質を理解せず、危機感が足りないということでしょう。何しろ、3.11の大震災の直後でも、復興対策・予算を決定する前に財源問題を気にして、復興増税を唯々諾々と受け入れてしまうほど国民の意識は鈍化し、家計簿的発想が染み付いてしまっています。そこには危機的状況における国家の役割りどころか、侵略や災害・デフレといった危機そのものに対する感度の低下が見て取れます。
     また、消費税増税問題はいつから財源問題になってしまったのか。当初言われた直間比率の是正はどうなったのか。消費税増税とセットになるのは法人税減税ではなく所得税減税であるという常識すら無くなっています。
     この国の根本的なところが腐っている可能性を直視すべきでしょうね。

    cf.【宍戸駿太郎氏イン
    2015年08月10日 15:22
  • sdi

    私には、アベノミクスのコンセプトと消費税増税と経済対策の抱き合わせ論は矛盾してるとしか思えないんですがね。ちぐはぐくというか統合失調症というか・・・。、
    「消費税増税と経済対策の抱き合わせ」派の方々の中には、東京オリンピック効果に期待する向きもありますが、1964年と今とでは日本のマクロ経済の規模が違いすぎます。「1964年の夢よもう一度」と言う考えは捨てたほうがいいですね。
    このままいくと来年今頃は、「アベノミクスって何だったの」と嘲笑されかねない。
    2015年08月10日 15:22
  • AA

    こんにちは。
    興味深い記事をありがとうございました。

    報道によると、消費増税に伴う経済対策として法人税減税などが検討されているようですが…
    法人税減税が公約であるとは言え、そもそもこれらは別に議論されるべきことですよね?
    「法人税減税するために消費増税で穴埋め」はやめて欲しいです。
    2015年08月10日 15:22
  • そら

    安倍首相に期待していただけに、がっかりですね。日本が成長することは無いな。株の操作だけでは実体経済に結び付かない。株が暴落した時に我に帰るかもしれません。自分だったら消費税廃止して、皆さん消費してくださいって言うのに。
    2015年08月10日 15:22

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