リストラとタイムシェアリング

 
昨日のエントリーのつづきです。

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昨今は、日本でも大企業のリストラも珍しくなくなった。とくに、電機業界などでは大規模リストラが相次いで行なわれている。

シャープ、NEC、ルネサスエレクトロニクス、パナソニックなどなど、世界に名だたる大企業が、千人、一万人単位のリストラを次々と発表し、実施してる

これらの企業は、解雇の4要件を満たした上で行なう「整理解雇」ではなく、役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向といった、いわゆる「解雇回避努力義務」の段階でリストラを行っていて、「整理解雇」にまで至っていない。

これだけみると、表向き「整理解雇」までいかなくて済んでいるように見えるのだけれど、その実態は穏やかなものとは限らない。例えば、少し前から話題になっている「追い出し部屋」というのがそれ。

これは、希望退職に応じないリストラ対象社員を集めて、自己都合退職に追い込むといわれる部署の通称で、大手電機メーカーを中心に設置されているとされる。2012年12月に朝日新聞がその存在を報じて以来、世間に知られるようになった。この"部署"に配属されると、社内失業状態に陥り、自らの出向先を探すことや雑用などの単純作業ばかりを強いられたあげく、最終的には"自主的"な退職を選ばざるをえなくなることから「追い出し部屋」と呼ばれているという。

また、追い出し部屋でなくとも、自己都合退職を選択するよう、何度も面談を繰り返すという事例もあるようで、共産党が国会その他で、何度か取り上げている。

こうした事態を受けて、厚生労働省が企業への聞き取り調査を4月頃から行なっているのだけれど、まだ報告できるような形にはなっていないようだ

人事ジャーナリストの溝上憲文氏によると、企業経営者は、現状の解雇ルールである、労働契約法16条の「合理的理由のない解雇は無効」という規定および、解雇の4要件は、具体性を欠き、解雇しにくいことからもっと解雇しやすいように法律でルール化してほしいと主張しているという。

無論、従業員側としては、簡単に首を切られては困るということで、反発する向きもあるだろう。

ソフトバンク・ヒューマンキャピタル社の調べによると、2011年春の新卒者に対する意識調査の結果、内定先で定年まで働きたいとする回答が67.3%に及び(積極的に「思う」29.0%、「どちらかといえば思う」38.3%)と前年度よりも7.8ポイント増加。エン・ジャパンによる2009年春の新卒予定者対象調査でも「入社する会社でいつまで働きたいかが」という質問に対し、「定年まで」という回答が41.0%で第1位という結果となっていて、新卒者の終身雇用願望が高まっている。

だから、仮に解雇をルール化して、解雇しやすいようにしたとしても、実際にバンバン解雇を実施するような会社には、逆に新卒が就職を希望しないことも考えられる。

会社としては、比較的人件費が嵩む中高年層をリストラして、若年層を採用したいと思っていても、リストラ自体が若年層を敬遠させるとなると本末転倒。



では、雇用を維持しながら、人件費を抑えるとなると、これはもうボーナスカットや給与の削減しかない。

その意味で、昨今注目されているのが「ワークシェアリング」という概念。ワークシェアリングとは、従業員1人当たりの労働時間を減少することで、雇用水準を維持する方法のこと。例えば、リーマンショックのあった2009年、トヨタは、国内全12工場で計11日間操業停止したのだけれど、そのうち2日を休業日として、この日の賃金を2割カットしている。

ワークシェアリングは、人件費を圧縮しながら雇用を維持する策として注目されているのだけれど、各企業がワークシェアリングの導入を進めていくかどうかについては、まだ分からない。2009年3月、エン・ジャパンが行った「ワークシェアリング」に関するアンケート調査によると、「ワークシェアリングによって、雇用問題が解決するとは思えない」と答えた企業が60%と過半数を超え、「雇用維持に必要」が29%、「雇用創出に必要」が11%という結果が出ている。

また、ワークシェアリング導入を「難しい」と感じる企業が66%、「検討はするが導入は難しい」が17%と、殆どが導入に消極的。その理由を尋ねると、、「担当業務が切り分けられない」が55%、「既存社員の給与を下げることができない」が54%という回答が得られている。

ただ、「担当業務が切り分けられない」というのは、フルタイムといった元々の勤務体系を基準にして業務を割り振っているからで、最初からワークシェアリングを前提とした勤務体系が取れるのであれば、そうした問題もある程度吸収できるのではないかと思われる。

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アースミュージックアンドエコロジーというブランドで有名な「クロスカンパニー」という会社があるのだけれど、この会社は2011年8月から、女性支援制度の更なる充実のため、短時間勤務を前提とした「4時間正社員」・「6時間正社員」の採用を行なっている。

無論、時間は短くとも、れっきとした"正社員"で基本給、賞与の算定方法および休日、休暇はフルタイム正社員と同様。ただし、時間が短い分だけ、給与は安く、6時間勤務の場合は142500円、4時間勤務の場合は95000円、となっている。

まぁ、この6時間、4時間正社員の勤務内容は、主に販売・接客のようだから、業務の切り分けもそれほど問題にはならないのかもしれないけれど、最初から4時間なら4時間、6時間なら6時間と決まっていれば、それにあわせた業務の振り分けが為されることになる。

勿論、4時間正社員、6時間正社員制度は、フルタイムの就業時間を短縮するワークシェアリングとは違うから、これを持って雇用問題が解決できるわけではないけれど、例えば、4時間正社員制度を取る会社がいくつかあったとして、午前はA社の4時間正社員で、午後はB社の4時間正社員という具合に、「掛け持ち」社員が制度として可能になるのなら、それは労働者にとっての解雇に対するリスクヘッジになるのではないかと思う。

形的には、仕事とバイトの掛け持ちに似ているといえなくもないけれど、一応両方とも「4時間正社員」であれば、バイトよりは安定しているし、会社でフルタイム8時間働いた後、3、4時間かそこらバイトして、朝から深夜まで働き通しといったこともなくなる。

また、A社、B社が異業種であれば、2つとも同時に倒産或いは解雇されるといったリスクも減るだろう。経営者が倒産リスクを減らすために、解雇ルールを明確化して解雇しやすくするのであれば、労働者側も解雇リスクを減らす方策もあっていいのではないかと思う。

まぁ、実際は、企業秘密や技術など、他社に漏らせない内容の扱いをどうするかといった別の問題もでてくるだろうけれど、それを言ったら、電気メーカーの大量リストラなんかは、もうそれだけで、技術の外部流出をさせていることになる。

だから、解雇を容易にすることは、同時にそうしたことも前提にした上での経営を求められることになるし、労働者側も、仕事の掛け持ちや、転職が当たり前になるという意識改革が必要になるだろう。




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この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    ワークシェアリングは日本的職業概念を消失させる.

    政府の国内投資を継続的に増やせば良い話しだ.
    例えば, 国土保全法案を新たに通して, 予算の
    ○○%以上は必ず国土保全に使うこととすれば良い.
    そうすると, あらゆる産業が活性化する.
    若年人口が減っているのだから, 若年層の
    失業率はあっと言う間に下がるだろう.
    2015年08月10日 15:22

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