今日はこの話題です。

9月9日、防衛省統合幕僚監部は、尖閣諸島北東の公海上空で9日午前、無人機とみられる航空機が数時間にわたり飛行したと発表した。空自は、スクランブル対応したのだけれど、領空侵犯には至らなかったのだけれど、機体は尖閣・魚釣島から北東約200キロ付近でうろうろした後、北西へ同じコースを引き返した。
無人機については、同日夜、中国国防省報道事務局が「年度計画に基づき、中国軍は最近、東シナ海の関連海域で定例訓練を組織した」との談話を発表していることから、中国機ではないかと見られている。
いよいよ、中国が無人機まで繰り出してきた。だけど、この事態は昨年から予見されていたこと。
2012年9月、アメリカの元CIA専門官が組織する国際安全保障の調査機関「リグネット」は、「中国が無人で紛争諸島主権を強化する」という題の報告作成し、中国海軍が最近、海洋での無人機使用を強め、特に尖閣に向けて将来、頻繁飛行させる計画だと指摘していた。また、同じく昨年9月には、当の中国国家海洋局が、尖閣周辺などの監視に無人機を投入する方針を表明していた。だから、予見通りといえばその通り。
無人機について、中国軍は主に情報収集・警戒監視・偵察活動に使用しているとされているのだけれど、オーストリアのシーベル社製 S100型無人ヘリ18機をすでに購入したほか、国産の「BZK-005」無人偵察機を実戦配備している。
今回、尖閣に接近した無人機についても、撮影された映像から、この「BZK-005」ではないかという見方もでているようだ。
「BZK-005」無人機は、哈爾濱航空工業集団公司と北京航空航天大学無人機研究所が共同開発したもので、2004年の珠海航空ショーにおいて試作機の映像が公開され、存在が知られるようになった。
「BZK-005」は、双胴双尾翼形式で、胴体尾部のエンジンで後ろ向きに置かれたプロペラを回転させる推進式配置を採用。この配置によって機首部分に偵察用機材を搭載することが可能となり、プロペラに邪魔されること無く、良好な視界を確保している。また、胴体と主翼は、なだらかに一体化するブレンディッドウイングボディを採用し、垂直尾翼に傾斜角を付けるなど、ステルス対策が施されていると見られている。
ただし、機体が大型のため、滑走路を利用して離着陸をするようなのだけれど、150キロの偵察用機材が搭載可能で、40時間を越える滞空能力を有し、操作は、衛星通信を使って地上から遠隔操作。中高度での長時間の偵察・監視任務に従事する高高度滞空型UAV(HALE-UAV)に分類される。
今回の無人機の尖閣接近について、小野寺防衛相は「特異な事例だ」と指摘。政府関係者も「運用能力はかなり高く、偵察飛行が恒常化すれば尖閣をめぐる状況はいっそう複雑になる」と警戒感を強めている。
また、翌10日には、中国海警局の船8隻が尖閣周辺の領海に侵入。挑発をまた一段とエスカレートされているのだけれど、中国はそれを国内宣伝に使っている。
9月10日、中国国家海洋局は「釣魚島の権利維持に向けたパトロール1周年を回顧する」と題する文章を発表し、「外交交渉と海上パトロールの二重の圧力を受け、日本の公船は中国のパトロールに対して危険な行為を取れなくなった。…釣魚島海域の管理能力を確実に強化した」と、尖閣周辺での活動の成果をアピール。また、国営中央テレビは、尖閣周辺の領海に侵入した中国海警局の船の動向を実況中継して、国内宣伝を強化している。
これに対して、菅官房長官は、9月10日の記者会見で、尖閣の実効支配強化のための公務員常駐を、選択肢の一つだとし、「実際、どのような状況で検討するかは戦略的観点から考えていくべきだ」と述べている。
先日、2020年の東京オリンピック招致が決まった直後のタイミングで中国が、いきなり、領海侵犯と無人機派遣を仕掛けてきたのは、オリンピック開会が決まったこともあり、無人機を撃墜することなどできないだとうという読みもあるかもしれない。尤も、先のアメリカの調査機関「リグネット」は、中国の無人機派遣を警告した報告書で、「日本は現在の憲法の制約下では、たとえ自国の領空侵犯でも、外国の無人機を撃墜はできないだろう」との見方示し、中国も日本のその制約知っているため、無人機の尖閣空域へ飛行をあまり恐れないとしている。
筆者は2009年に「無人哨戒システム」などのエントリーで、尖閣上空にラジコン飛行機を飛ばして常時紹介活動をさせたらどうか、と述べたことがあるのだけれど、これなんかは、正に無人機による哨戒活動そのもの。
実際、防衛省は来年度予算の概算要求で、アメリカの無人偵察機グローバルホークを導入する費用を計上する方針でいる。元々は2016年度からの導入を検討していたのだけれど、昨今の情勢を鑑み、計画を前倒し。2014年度から18年度で3機購入するという。
筆者としては、尖閣に公務員を常駐させるのなら、高性能のカメラを装備した飛行船を尖閣上空に浮かべてやって、尖閣海域と周辺空域を撮影し、その動画をネットに24時間ライブ中継してやればどうか。
きっと、日本のコアな"軍オタ"ネットユーザーが24時間監視して、接近する怪しい船舶や無人機の型や所属、侵入経路など、たちどころに解析すると思う。現実に日本の領海、領空が脅かされている事実を目の当たりにすることで、国防意識もぐっと高まるに違いない。
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