日本の命運を握るアベノミクス

 
今日は、昨日のエントリーのコメント欄で、opera様から戴いた御意見についてのお返事を兼ねた雑談エントリーとさせていただきます。

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まずは、いただいた、opera様のコメントを引用します。
この会合は何のためのものなんでしょうか。個人的には、BAKAかあるいはBKDを炙り出すものにしか見えないのですがw

普通に考えれば、消費税増税問題はすでに結論が出ています。

安倍総理はデフレを脱却しない限り消費税増税は行なわないことを公約に掲げてきました。デフレか否かの判断はコアコアCPI(国際的なコアCPI。他のCPIは関係が無い)で行ないます。4-6月期のコアコアCPIがマイナスだったということは、まだデフレから脱却していないというです。とすれば、消費税増税は、当然延期または凍結されることになります。

消費税増税派は財政再建派と言われることが多いのですが、デフレ下での消費税増税は、消費税分は増収になっても、所得税・法人税が激減するので、全体として減収になることは確実ですから、財政再建にはむしろマイナスです。

このことは橋本政権の失敗からも明らか(当時のコアコアCPIはかろうじてプラスでした)で、その結果15年デフレに突入し、未だに脱却できていないことは周知の事実でしょう。

現時点で消費税増税を予定通り行なえば、アベノミクスは失敗し、同時に安倍政権が進めている外交・安全保障政策も頓挫することになるでしょう。それが分かっているなら、政権中枢が消費税増税に否定的なのは当然です。

問題は、消費税増税を進めたい勢力の意図と、延期・凍結についての政局も絡んだ条件闘争だろうと思います。
opera様の御指摘で一番重要だと思うのは、「アベノミクスの失敗はそのまま安倍政権の外交・安全保障の頓挫に繋がる」という点なんですね。私も全く同感です。

外交・安全保障は、いうまでもなく他国との関係になりますから、相手がいます。相手と交渉する際に、何が必要になるかというと、私は、端的にいえば、利害と信用に集約できるかと思います。

利害というのは、その名のとおり、相手と取引をして何を提供して何を得るかということです。要するに外交カードですね。それは時に、経済協力であったり、条約あるいは協定だったりします。互いの必要に応じて取引をして、欲しいものを得る。それがなければ、わざわざ交渉する意味がありません。

ただし、そうした互いの利害関係を充足する外交(取引)において、欠かせない点があります。それは交渉相手が約束を守る相手、つまり信用できるかどうか、です。いくら外交を行って、何某かの経済協力または条約を結んだとしても、それを一方的に反故されてしまうなら、交渉そのものが成り立たなくなります。まぁ、日本の近くの某国は今それに近いことをやっていますけれども、あれは正に信用を無くす行為で、外交相手としての前提を崩していることになります。

この観点から、理想的な外交・或いは安全保障が行える政権とは何かといえば、当然、数多くの外交カードを持ち、そして約束を裏切らない信用できる政権だ、ということになります。

外交カードには、資金であったり、技術であったり、軍事力であったり様々ですけれども、ぶっちゃけていえば、"金"と"力"になるかと思います。国家或いは、政権の統治・安定のためには、この2つは欠かせないからです。

ですから、"金"と"力"に結びつくカードを沢山もっている国は、いかなる局面でも対応できるだけの強靭さがある、ということですね。つまり、"金"や"力"を多く持っているであろう経済大国や軍事大国が、外交強者の条件を持っているということです。

そして、信用ということですけれども、対外的には、その政権の安定性がどれくらいあるかということになるかと思います。国際条約として合意できたものならまだしも、外交交渉の多くは時間がかかります。特に領土問題なんて何十年経っても中々解決するものではありません。

国際条約にしても、ゼロから初めて、一足飛びにそこまで行けるケースなどは稀で、まずは、首脳同士で信頼関係をつくって、会談を重ねることから始まり、談話、共同声明、宣言と少しづつレベルを上げていって、その最後にようやく条約にするかどうかというものです。共同声明レベルとて、何か月も前から下交渉をして、首脳会談をして、それでも共同声明にならず、談話で終わったりするケースもあるのです。

ですから、首脳個人の信頼関係はもちろんのこと、国家の信頼は、自国の政権が安定して、長くつづくという確証というか見込みがないと難しい。例えば、1年毎に首相が変わるように国を相手にしたら、その度に、交渉途中の案件を継続する気があるかどうか確認が必要になりますね。ましてや、政権交代なんかして、前政権の約束なんてしらないと、そっぽを向かれたら堪ったものではありません。ですから、政権基盤の安定は、外交における信用に大きく影響するのですね。

日本は、小泉政権以来、1年毎に首相が交代し、久しく長期政権がありません。その意味では、日本は外交カードを持ってはいるものの、その信用については、今一つ足りないという面もあるのではないかと思います。

今、日本は、中国・北朝鮮の軍事挑発のみならず、原発・エネルギー問題、デフレと、いくつも難題を抱え、国難の時期にあります。安倍総理は、地球儀外交と称して、特亜以外の多くの国々との外交関係を強化することで、これらの問題をカバーしようとしていますけれども、それらを進展させるためには、1年やそこらで足りるとは到底思えません。ある程度の長期政権でないと、これらの完成は難しいだろうと思います。

では、安倍政権は、長期政権になるか否かですけれども、確かに、与党で衆参過半数を抑え、むこう3年は国政選挙はありません。安倍総理が解散しない限りは3年の政権は約束されています。けれども、内閣支持率がうんと下がってしまえば、その限りではありません。それは、これまで何度も目にしてきた光景ですね。

ですから、安倍政権が長期政権になるには、小泉政権とまでは言わないまでも、安定した内閣支持率は、やはり必要だと思いますね。では、どうすれば、安倍政権の内閣支持率を高くキープできるかというと、これはもう、「アベノミクス」が成功することに尽きます。なぜなら、国民の大多数は景気回復を願っているからです。これは各種世論調査からもそういう傾向が見られますね。

つまり、安倍政権の支持の多くは、その経済政策「アベノミクス」に拠っており、そのお蔭で、外交安全保障も上手く回っている面は否めません。ですから、「アベノミクス」の失敗は安倍政権の致命傷であり、全ての失敗に繋がる可能性があります。おそらく安倍総理もそれが分かっているから、予定通りの増税には否定的ではないかと思うのですけれども、如何せん、財務省や与党内の増税賛成派、そしてマスコミも含めてあまりにも敵が多すぎます。これは相当大変ですね。

ここを如何に掻い潜って、「アベノミクス」を軌道にのせてゆくか。ある意味で、増税の可否を決めるといわれている来月は、安倍政権、ひいては日本の正念場ではないかと思っています。

あと、条件闘争についてですけれども、当然、可能性はあると思います。それについては、また別の機会に考えてみたいと思います。




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この記事へのコメント

  • 白なまず

    G20最終日の各国首脳の発言で、特にロシアと米国の発言をCNNのTV放送で見ましたが、日本の経済問題などは問題無いので得に発言は有りませんでした。また、ロイターの記事に【G20首脳、日本の経済財政政策に強い期待=麻生財務相】には、安倍晋三首相はサミットで、成長戦略や中期財政計画を説明し「強い日本経済の再生が、世界経済の成長に対する最大の貢献だ」との考えを重ねて強調。日本がサミットへ提出した中期財政計画には、未決定の消費増税が盛り込まれていないが、財務相は他国からの批判は「なかった」と話した。「日本は中期財政計画に沿って、健全化を推し進めることにコミットした」という。、、、とあり、消費税増税の話は無く、先送りしても外国からの文句は無さそうです。文句が有るのは国内勢力だけなので、、、
    G20最終日の焦点はシリア攻撃の話が中心だと思います。ロシアも米国もシリア政府、反政府何方が化学兵器を使用したかで真逆の意見ですが、化学兵器を使用が有ったと言っていました。だから、日本としては、化学兵器の使用の有無では懐疑的であったと思いますが、G20の意見としては日本だけ特殊な意見で、他国は全て化学兵器は使
    2015年08月10日 15:22
  • siodgp

    政府がケッシュ財団から受け取った技術を使えば五輪誘致は可能である。

    首相の五輪誘致発言は、このことを踏まえてのことなのだろう。

    政府がケッシュ財団から受け取った

    http://www.onpa.tv/2013/05/13/789-3

    これらの方法で汚染水問題も完全に解決できるし、そうすれば安全なオリンピックも実現できる。一刻もはやくこれらの技術を使って問題を解決し、オリンピックを開催すべきだろう。
    2015年08月10日 15:22
  • opera

    安倍総理は、「経済をしっかり立て直せば日本はまだ大丈夫だ」と言ったことがあったそうですが、その意味は日比野さんが指摘した内容そのものですね。

     消費税増税は、仮に延期になったとしても1年では余り意味がありません。来年になったら、また同じことが繰り返されるだけだからです。理想は、小泉政権時のように、凍結し「わが政権が続く限り消費税増税は行なわない」と明言してしまうことですが、難しいかもしれません。
     消費税増税については一般に財政再建のために必要だと信じている人が多いかもしれませんが、消費税増税で政府歳入が増収になったのは最初に消費税を導入した時だけです。当時はバブル後期で資産価格上昇は酷かったですが、物価(コアコアCPI?)自体はインフレ率1~2%程度で、それが数年間続いていました。つまり、あの位にならないと消費税を増税しても増収にはならないということです。
     しかも、財政再建とはプライマリーバランスの黒字化のことではなく(バブル期には黒字化していましたが)、政府債務の対GDP比率削減を意味します。これは麻生政権時に国際的な基準に基づいて変更されたものですが、経済が成長しGDPが拡
    2015年08月10日 15:22

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