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9月3日、安倍総理は麻生財務・金融相と甘利経済財政担当相から、消費増税の影響を検証した集中点検会合の報告を受けた。
集中点検会合(正式名称:今後の経済財政動向等についての集中点検会合)とは、消費税引上げに関して、今後の経済財政運営に、どのような留意点があり、対応が求められるかについて、幅広く意見を求める会合。
会合は8月26日から31日までの7日間に渡って行われ、それぞれ、「総論」「経済・金融①・②」、「国民生活・社会保障①・②」、「産業」、「地方・地域経済」の分野に分けて行われた。
会合の結果について、報道では、出席した60人のうち7割超にあたる44人が予定通りの増税を容認する考えを示し、14人が反対、保留が2人だったとしているけれど、出席者それぞれの賛否は次のとおり。
<総論>
岩田 一政 日本経済研究センター理事長 ×(1%ずつがデフレ脱却に有効)
加藤 淳子 東京大学大学院法学政治学研究科教授 ○
古賀 伸明 日本労働組合総連合会会長 ○(社会保障制度の将来像明確化や雇用創出、低所得者対策必要)
古市 憲寿 東京大学大学院博士課程 ○(条件つき。内外に説得力ある物語と良いサプライズ打ち出せるか)
増田 寛也 東京大学公共政策大学院客員教授、前岩手県知事 ○
山根 香織 主婦連合会会長 ×(増税自体に反対)
米倉 弘昌 日本経済団体連合会会長、住友化学株式会社代表取締役会長 ○
<経済・金融>
伊藤 隆敏 東京大学大学院経済学研究科教授 ○
稲野 和利 日本証券業協会会長 ○
片岡 剛士 三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員 ×(デフレからの完全脱却後で遅くない)
熊谷 亮丸 大和総研チーフエコノミスト ○(一定の景気下支え策を講じた上で予定通り消費増税すべき)
宍戸駿太郎 国際大学・筑波大学名誉教授、日米・世界モデル研究所代表 ×(完全雇用達成まで延期)
白川 浩道 クレディ・スイス証券チーフエコノミスト ×(小幅連続的上げが選択肢(1%ずつ5年))
武田 洋子 三菱総合研究所チーフエコノミスト ○
中空 麻奈 BNPパリバ証券投資調査本部長 ○
浜田 宏一 内閣官房参与、イェール大学名誉教授 ×(1年先送り、もしくは1%)
<国民生活・社会保障>
井伊 雅子 一橋大学国際・公共政策大学院教授 ○
石黒 生子 UAゼンセン副書記長 ○
工藤 啓 特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長 ×(若者の無業者への就労支援を)
小室 淑恵 株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長 ○
永井 良三 自治医科大学学長 ○
宮本 太郎 中央大学法学部教授 ○
横倉 義武 日本医師会会長 ○
吉川萬里子 全国消費生活相談員協会理事長 ○
<産業>
石澤 義文 全国商工会連合会会長、富山県商工会連合会会長 △(2回目は耐えられない可能性)
岩沙 弘道 不動産協会会長、三井不動産株式会社代表取締役会長 ○
岡村 正 日本商工会議所会頭、株式会社東芝相談役 ○
岡本 圀衞 経済同友会副代表幹事、日本生命保険相互会社代表取締役会長 ○
小松万希子 小松ばね工業株式会社取締役社長 ○
清水 信次 日本チェーンストア協会会長、株式会社ライフコーポレーション代表取締役会長兼CEO △(賛成でも反対でもない。総理判断に従う)
鶴田 欣也 全国中小企業団体中央会会長 ○
豊田 章男 日本自動車工業会会長、トヨタ自動車株式会社取締役社長 ○
樋口 武男 住宅生産団体連合会会長、大和ハウス工業株式会社代表取締役会長兼CEO ○
<地方・地域経済>
青柳 剛 群馬県建設業協会会長、沼田土建株式会社取締役社長 ○
阿部 眞一 岩村田本町商店街振興組合理事長 ×(一気に5%に)
岸 宏 全国漁業協同組合連合会代表理事会長 ○
坂井 信也 日本民営鉄道協会会長 阪神電気鉄道株式会社代表取締役会長 ○
立谷 秀清 福島県相馬市長 ○
谷 正明 全国地方銀行協会会長、福岡銀行頭取 ○
西田 陽一 おんせん県観光誘致協議会会長 ○
萬歳 章 全国農業協同組合中央会会長 ○
古川 康 佐賀県知事 ○
<国民生活・社会保障>
青山理恵子 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会副会長 ○
大久保朝江 特定非営利活動法人杜の伝言板ゆるる代表理事 ×(1年先送り)
岡﨑 誠也 国民健康保険中央会会長、高知市長 ○
奥山千鶴 特定非営利活動法人子育てひろば全国連絡協議会理事長、特定非営利活動法人びーのびーの理事長 ○
白石興二郎 日本新聞協会会長、読売新聞グループ本社代表取締役社長 ×(15年10月に10%)
清家篤 慶應義塾長、社会保障制度改革国民会議会長 ○
馬袋 秀男 「民間事業者の質を高める」全国介護事業者協議会理事長 ○
林 文子 横浜市長 ○
広田 和子 精神医療サバイバー ×(消費税上げ絶対反対)
<経済・金融>
植田 和男 東京大学大学院経済学研究科教授 △(判断示さず)
菅野 雅明 JPモルガン証券チーフエコノミスト ○
國部 毅 全国銀行協会会長、三井住友銀行頭取 ○
高田 創 みずほ総合研究所常務執行役員チーフエコノミスト ○
土居 丈朗 慶應義塾大学経済学部教授 ○
永濱 利廣 第一生命経済研究所主席エコノミスト ×(小刻みもしくは景気対策付の3%引き上げ)
西岡 純子 アール・ビー・エス証券会社東京支店チーフエコノミスト ○
本田 悦朗 内閣官房参与、静岡県立大学国際関係学部教授 ×(初年度1%ないし2%上げ、その後1%ずつ上げ)
吉川 洋 東京大学大学院経済学研究科教授 ○
とまぁ、有識者様は増税容認が大勢。会合の中身については、内閣府がこちらで公開しているけれど、掻い摘んでいえば、増税反対派は、増税は見送るか、やるにしても1~2%増と、景気を腰折れさせないようゆっくりやるべきだ、と述べ、増税賛成派は、増税を見送れば財政の信認が落ち、国債暴落・金利上昇の恐れがあるから予定通り増税しろ、と主張している。
要するに、反対派は、まずは景気をしっかり回復させてから、財政再建をやればよいというスタンスに対して、賛成派は財政再建を優先しないと、財政が持たないというスタンスであるように見える。「景気回復ありき」と「財政再建ありき」のぶつかり合い。
ただ、その増税賛成派ですら、予定通りの引き上げは、短期的にと但し書きをつけながらも、景気に悪影響があることを認めている。それでも行うのは財政規律の健全化が優先するからであり、ただ腰折れをさせないために、更なる景気対策を検討すべきだ、とこういうロジックのようだ。
だけど、更なる景気対策というけれど、増税して、景気対策もしてというのは、ブレーキとアクセルを同時に踏むようなもので、その状態で更に前進する為には、ブレーキを踏む以上にアクセルを踏まなきゃいけない。それならば、ブレーキを踏むのを止めて、アクセルだけ踏んだほうが、よりガソリン(財政出動)を使わずに加速することができる。つまり、増税見送りがそのまま景気対策になるという観点もあっていい。
確かに、アベノミクスで、景気の一部指標が回復の兆しを見せてきているのは事実。7月のCPI、コアCPIは、プラス0.7と上昇に転じた。だけどコアコアCPIは依然マイナスで、上昇に転じたCPI、コアCPIすら、平成22年基準の100に追いついただけ。平成22年といえば、忌まわしき民主党政権の時代でデフレ真っ只中。そんな指標に追いついただけでは、デフレ脱却とは到底言えない。
9月2日、安倍総理は政府・与党連絡会議で、「有識者、専門家の知見も吸収したうえで、種々の経済指標を確認し、この秋には最終判断したい」
と今秋に判断する方針を改めて表明している。これを受けて、甘利経済財政担当相は「1日、2日ね...、かなり確率は高いのかな。可能性はゼロじゃないんじゃないですか」と消費税増税の是非を、早ければ日銀短観が発表される10月1日にも表明するとの見方を示している。
ただ、安倍総理は、「社会保障に対応するには消費税を上げていく必要がある。同時に、日本の経済にやっと明るい兆しが見えてきた。経済成長していかなければ財政再建もできない。」と述べているから、経済成長が第一で、財政再建はその次という位置づけではないかと思われる。。
また、9月5日、菅官房長官は、BS11の番組収録で、消費税率引き上げについて「3%の引き上げはものすごい影響がある。安倍晋三首相はデフレ脱却に懸ける鬼だ。ここでできなければ、財政再建も難しいだろう。この問題は慎重の上にも慎重に推移を見ている」と述べているから、菅官房長官も「景気回復ありき」の立場。
この言葉どおりならば、安倍総理と菅官房長官の胸の内は、増税反対派の「まずは景気回復」のスタンスに近いということになる。10月の日銀短観がどんな数字を出してくるか分からないけれど、20年も続いているデフレから脱却できたかどうかの判断を、わずか半年程度の「アベノミクス」で判断するのは、やはり勇み足に過ぎると思う。あと1年や2年はじっくりと様子をみる腹があってもいい。
この記事へのコメント
とおる
ご立派(?)な人が有識者会議に入っていて笑ってしまいました。
そら
そして、政府の財政出動で雇用も生まれます。
opera
普通に考えれば、消費税増税問題はすでに結論が出ています。
安倍総理はデフレを脱却しない限り消費税増税は行なわないことを公約に掲げてきました。デフレか否かの判断はコアコアCPI(国際的なコアCPI。他のCPIは関係が無い)で行ないます。4-6月期のコアコアCPIがマイナスだったということは、まだデフレから脱却していないというです。とすれば、消費税増税は、当然延期または凍結されることになります。
消費税増税派は財政再建派と言われることが多いのですが、デフレ下での消費税増税は、消費税分は増収になっても、所得税・法人税が激減するので、全体として減収になることは確実ですから、財政再建にはむしろマイナスです。
このことは橋本政権の失敗からも明らか(当時のコアコアCPIはかろうじてプラスでした)で、その結果15年デフレに突入し、未だに脱却できていないことは周知の事実でしょう。
現時点で消費税増税を予定通り行なえば、アベノミクスは失敗し、同時に安倍政権が進めている外交・安全