天安門に黄天は立つか

今日はこの話題です。  

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10月27日、自衛隊の観閲式が埼玉県の陸上自衛隊朝霞訓練場で行われ、陸海空の部隊や防衛大学校の学生など、およそ4000人が参加し、航空機およそ50機による観閲飛行や、10式戦車など、車両およそ240両の行進が行われた。

出席した安倍総理の訓示は、こちらにその全文が公開されているけれど、安倍総理は、初代・防衛庁長官であった木村篤太郎氏の訓示を引用し「世界の平和も、また我が国の平和も、座して得られるものではなく、平和を希求する各国民の不断の努力によって実現される。…平和を侵さんとするものに対する共同の防衛によってこそ、はじめて維持されてゆくものである」と述べた上で、その"平和を侵さんとするもの"に対しては、「国際的な『鎖』によって取り囲むほかない」と述べた。

「平和を侵さんとするもの」が誰で、「国際的な鎖」とは何かなんて、今更、改めていうまでもないけれど、安倍総理の外交は見事にそれを反映している。

また、安倍総理は、訓示の中で、「『平素は訓練さえしていればよい』とか、『防衛力は、その存在だけで抑止力となる』といった従来の発想は、この際、完全に捨て去ってもらわねばなりません。力による現状変更は許さない、との我が国の確固たる国家意思を示す。」と述べている。

こうした安倍総理の方針については、海外紙も注目していて、CNBCは「現状を変えるための武力行使」は、しばしば日本の政治家や専門家が用いる表現で、東・南シナ海における中国の海洋拡張を指すと説明している。

また、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、安倍総理へのインタビュー記事を掲載し、その中で、安倍総理が「中国が法の支配でなく、力による現状変更を試みようとしていることに懸念がある。…中国はその道を取ることによって、平和的台頭の道をとることができなくなる。…その道をとるべきでない、ということを日本が強く主張することを多くの国々が期待している。日本がしっかりと主張していくことで、中国が国際社会において責任ある行動を取っていくことになることが望まれている」と述べたことを伝えている。

その名指しされた中国はというと、中国中央テレビなどのメディアが安倍総理の発言を連日大きく取り上げ批判しているようで、28日には、中国外務省の華春瑩報道官が「日本の指導者がこのところ、再三、中国に関して挑発的発言しているが、これは日本の政客が『耳をふさいで鈴を盗む』ような傲慢さと心細さの表れである」と述べている。

尖閣等であれほど軍事挑発をしておいて、日本を傲慢だなどとヌケヌケとよく言えたものだと思うけれど、正にその日、中国の足元が火を噴いた。



28日、中国の天安門広場前で、車が歩道を暴走したあと炎上。5人が死亡、38人が負傷する事件が起こった。

車が突っ込んだ場所は、歩行者用の信号がある歩道であることから、意図的にやったという見方が有力視されている。事故後、現場付近の歩道は封鎖。当局は、天安門広場への立ち入りも禁止して厳重な警備態勢を敷いている。

更に情報管理も強化。29日朝の中国メディアは、事件についての画像は一切掲載せず、ほぼ同じ原稿の使い回しで報道させるのみならず、中国版ツイッター「微博」などでの「テロではないか」、「社会に対する報復か」などの書き込みについても片っ端から削除するという徹底ぶり。

事故時に現場にいたという40代の旅行会社員は「車内から黒い旗を振りながら車が突っ込んできた」と証言していて、旗には少数民族の使うような文字が書かれていたとの目撃情報もあるという。

当局は、犯人について、ウイグル独立派が関与した可能性があるとして、宿泊施設に手配書を配るなどしているそうなのだけれど、確かに、黒い旗はアルカイダの旗でもあるから、その可能性は否定できない。

だけど、もしも、この事件が、中国の政治や社会への不満を背景にした、テロ行為だとすると、これは正に「力による現状変更」に他ならない。中国は他国に対して「力による現状変更」を試みているけれど、その一方で、自分自身も「力による現状変更」に晒されてはいないのか。

中国政府がこの行為を許さないというのなら、まず、自分の足元で「力による現状変更」が行われていることを認め、日本の主張どおり「法の支配」への道を歩むべきだろう。

筆者はこれまでいくつかのエントリーで述べているけれど、今の中国は「天地人」に見放されているのではないかと考えている。

先日、東北部のハルビン市では、PM2.5の濃度が計測不可能レベルにまで上昇。公的機関は一時閉鎖を余儀なくされ、喘息などの症状を訴える人が続出した。

今年上半期の日本企業による対中国の投資額は、前年同期比31%減の49億3000万ドルで、日本企業の中国撤退の動きが加速。更に、企業のみならず、自営業者や現地採用など、中国での生活を選んだ日本人の帰国ラッシュが相次いでいるという。

天は「死の大気」に覆われ、"地"の経済は減速し、"人"が次々と逃げ出している。見る人が見れば、"革命の刻来たり"と思っても不思議じゃない。

こんな暗黒大陸がこれからも続くのか。それとも、天安門に黄天が立つのか。




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この記事へのコメント

  • とおる

    ご参考。
    ・習体制、赤っ恥 天安門で“自爆テロ”か 党の権威揺るがす深刻な事態
     http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20131029/frn1310291811005-n2.htm
     19世紀末、中国では黒い軍旗を掲げて清朝統治に反対する武装組織「黒旗軍(こっきぐん)」が活動しており、こちらの関連も注目されている。
    2015年08月10日 15:22
  • sdi

    中国共産党を火徳とすると、相克なら水徳で黒、相生なら土徳で黄、となりますかね。
    2015年08月10日 15:22
  • almanos

    「紅天既に堕つ」でしょうね。既読かも知れませんが「2014年、中国は崩壊する (扶桑社新書)」が中々鋭い分析をしています。でも、後に天を打ち立てられるのか? 大地が死に始めていますからねぇ。黄天が建つにしても「天に黄砂舞う、地も黄砂が覆い実るものなし、ただ枯骨の花が、黄に白を彩るのみ」なんて事態になりかねないと思うんですが。
    2015年08月10日 15:22
  • 日比野

    とおるさん、コメントありがとうございます。

    黒旗軍ネタが来ましたか…。北斗七星でも旗に描いていれば…なんですけども。アルカイダの黒旗と黒旗軍の黒旗とでは、少し意味合いが違ってきそうな気もしていますけれども、現時点では何ともいえないですね。情報待ちです。
    2015年08月10日 15:22

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