今日は極々簡単に…

10月15日、臨時国会が召集された。
安倍総理は、衆参両院本会議で所信表明演説を行い、経済再生と財政再建、社会保障改革を同時に達成する強い"決意"を表明した。
所信表明の全文はこちらにあるけれど、一部マスコミは、「避けた論点が多過ぎる」とか、「1強のおごりはないか」とか、批判の社説を載せている。
まぁ、彼らが未だに「安倍憎し」でいるのならば、そういう書き方もするのも彼らにとっては自然なことなのかもしれないけれど、それが説得力を持ったものなのかどうかはまた別の話。
こちらのブログでは、今回の安倍総理の所信表明は、安全策に徹した、書きどころの少ない演説だとした上で、マスコミの各社説を比較し、所信表明を肯定する記事は楽だけれど、否定するのは大変だと指摘している。苦しい書き方をした記事になればなるほど、説得力が落ちてゆくのは言うまでもない。
一昨日のエントリーで指摘したように、今の安倍総理は「全方位型ポピュリズム」戦略を取っている気が見受けられるのだけれど、その安全運転に徹した演説の裏に潜む本音とは一体どのようなものなのか。
筆者は、5月26日のエントリー「安倍総理のココロコネクト」で、音声感情認識技術を取り上げ、安倍総理の今年2月28日の施政方針演説をこの技術で分析すると、喜びや快活な感情が顕著に表れ、気力に満ち溢れている状況が読み取れたことを紹介したけれど、この2月の施政方針演説と、今回の所信表明演説の動画を聞き比べてみた。
上の動画の左側が今年2月の施政方針演説、右側が今回10月の所信表明演説なのだけれど、2月の演説の方が、若干興奮気味というか、高揚している風に聞こえるのに対して、今回の演説はそこがやや平板になっていて、2月の時ほどの興奮はしていないように筆者には感じられた。
まぁ、音声感情認識技術で今回の演説を分析すれば、また別の結果が出てくるのかもしれないけれど、もしも、筆者が感じたように、2月と比較して感情の抑揚が低調になっているのであれば、その分、心の余裕が無くなってきていることも考えらえる。
この"安全運転型演説"は、その後の代表質問でも見受けられたようで、産経新聞は代表質問の答弁から、安倍総理は、優先度に応じて政策課題を3分類している、としている。
この記事では、安倍総理は「淡々」「お願い」「怒り」の3つの「表情」をみせたとしているけれど、筆者には、これらはそれぞれ、「未来」「現在」「過去」に対応しているように見える。
「未来」というのは、もっと先に実現すればいいとして、優先順位をそれほど上げていないもので、集団的自衛権とか憲法改正なんががそれにあたり、「現在」というのは、正に今国会で成立させたい、優先順位が高い課題。そして、「過去」とは、既に、ある程度方針が決まったり、法案提出又は、通過したという具合に、実施段階にあるもの。
「未来」に分類した政策については、詳しく答えると後々問題になるかもしれないと考えれば、当たり障りのない答弁になるし、「現在」に分類した政策を通したければ、反発を受けて法案が通らなくならないように、極力下手に出ることになる。そして「過去」に分類したものが、現政権の足を引っ張ることになっては困ると思っているのなら、それに対する批判は直ぐに反論して打ち返し、早々に芽を積むことになる。
これらは、全て、安全策に徹していればこそ。
だから、安倍総理は、自身のやりたいことを前面に出すよりも、確実にやれることから着手することを優先し、極力敵をつくらないような政権運営をしているのだろう。
この方針の狙いは、第二次安倍政権の長期政権化にあると推測されるのだけれど、それ狙いどおりにいく為にはやはり結果が重要。第二次安倍政権が真っ先に着手したアベノミクスが頓挫したら全てが水の泡になる。
筆者が、安倍総理の演説から受けた僅かな変化がただの杞憂で終わることを祈る。
この記事へのコメント
白なまず